2008年9月25日木曜日

ピートとパパの会話(その18 自給自足編)


パパ 「日本で自給自足って可能だと思うかい?」
ピー  「可能じゃないの、実際にやっている人もいるよね」
パパ 「不可能だ! 算数で説明がつくよ」
パパ 「では、自給自足を具体的に考察して見よう」
    「パパは20年程前、自給自足に必要な一人当たりの
     耕地面積を基に、日本の国土で養える人口を
     推定3000万人と見積もった。穀物生産だけでね」
    「これは丁度、江戸時代の人口と一致する」
ピー  「たったそれだけの人口!」
パパ 「そこでだ、日本の人口は、約1億2千万人だよね」
    「自給自足の場合、パパの計算からすると3000万人しか
     養えないから、残り9000万人は飢死するしかないね」
ピー  「えーっ!」
パパ 「政府発表の食料自給率40%から計算しても、4800万人しか
     食えない」「これはカロリーベースの自給率で、
     約2580Kcal 程度を想定している。この数値は少々メタボだ」
ピー  「残り7200万人の食料は、単純計算で輸入に頼っている
     ということだね」
パパ 「平成18年の農業人口は、約790万人だから、自給率100%想定
     の4800万人から換算すると、農民一人当たり5人の国民を
     養う勘定になるね」「これは、江戸時代の25倍以上だ」
ピー  「すごい効率アップだね」
パパ 「農業の機械化によるものだろうね」
ピー  「仮に1億2千万人を食わすとなると、2400万人の就農人口と
     更なる耕地面積の拡大を必要とするね」
パパ 「耕地面積は、穀物生産だけで今より4倍必要となる」
    「全て机上計算だけど、こりゃ自給自足は無理というものだよ」
ピー  「何か手立ては?」
パパ 「後進国並に摂取カロリーを1700Kcal まで落とせば、
     自給率60% 約7200万人くらいは自給可能だろうけど」
    「これは1965年頃の自給人口に相当する」
ピー  「それでも4800万人分の食料輸入が必要なんだね」
    「自然農法でやればどうだろう」
パパ 「自然農法や有機農法は、自給自足とはまた別の問題だよ」
    「これは農業技術の範疇で、技術的な結果を自給自足に
     結びつけているに過ぎない」
ピー  「この前他界した福岡正信氏は、自然農法の提唱者だっけ」
パパ 「彼は、穀物のみで蛋白質の補給も可能だと言っていたな」
    「それと、農民以外は全て石油依存の職業だと説いていた」
    「医師も技術者も科学者も商人も全てね」
    「相対性理論なんか糞食らえだと言うんだ」
ピー  「変わった人だね」
パパ 「国民皆農主義で、脱石油による自給自足を目指して
     いたと思う」
ピー  「農業以外は、無駄で不要だという考え方だね」
    「だけど日本には、医療も政治も軍事も外交も必要だよね」
パパ 「たちまち電気・水道・ガスをどうするかだ」
    「福岡という人は、原始共産主義者のような気がする」
    「かつて、ポルポト政権が、原始共産社会を目指したん
     だけど、農業以外で食っていた人々を殆ど虐殺した」
    「世界は、敵対勢力への虐殺だと言うけれど、農業経済的
     に考察すると、別の答えが出てくる・・・・」
ピー  「日本の自給自足の実体ってどうなのかな」
パパ 「そうだね~、自給自足の人々の生活は、農業以外で生活を
     賄っている人々によって保障されているって、分かるかな」
ピー  「つまり、政治、外交、軍事、医療、教育、商工業について、
     その全てを食料輸入組の人々がやってくれている」
    「だから、その傘の下で何の心配もなく自給自足が出来る
     ということかな」
パパ 「そういうこと。単純に国民皆農とか自給自足を押し付ける
     人々は、そのことに気付いていないんだ」
    「それと、何千万人もの食えない人々が出てくることもね」
ピー  「日本は、平和外交と貿易の促進を図らねば」
パパ 「次回は、パパの完全無農薬栽培の実験報告をしよう」