パパ 「今日は、アナログとディジタルの話だよ」
ピー 「パパのことだから音楽に関係するんだろ」
パパ 「そう、CDとレコードの音質差についてだ」
ピー 「CDはディジタル。レコードはアナログなんだよね」
パパ 「よく知っているね」「どちらの音が良いと思う?」
ピー 「巷では、レコードの方が良いと言ってるね」
パパ 「そうかな~?」「思い込みだと思うけどね~」
ピー 「なして思い込みなん?」
パパ 「パパは、レコード購入時、同じ内容でCD化
されたものを同時に買うことがあるんだ」
ピー 「上の写真だね」
「勿体無い事をするね~」「また何のために?」
パパ 「レコードは好きなんだけど、取扱が面倒だし~」
「CDだと気を使わなくてもいいし~」「少々傷が付いても
問題無く再生するし~」「レコードのようなスクラッチ
ノイズも発生しないし~」
「じゃけん、何時もはCDで聴いちょる」
ピー 「うん? だったら最初からCDを買えばいいのに」
パパ 「ジャケットに想い入れがあるんだなぁ~、イヒヒ」
「レコードと同じデザインのCDジャケットがあっても、
小さすぎてインテリアに向かないんだよー」
ピー 「同じ曲だろう? 訳分からん。この前の形而上学や弁証法
じゃないけど、動機が不純ちゅーか、矛盾しちょる」
パパ 「でだね、パパの音響機器は、レコードとCDが全く同時に
聴けるんだ」
ピー 「何じゃそれ?」
パパ 「同時に聴くことで、レコードとCDの音質差がリアルタイムで
聴き分けられる」
ピー 「どちらが良いの?」
パパ 「そらもう、CDの方が素晴らしい」
「雑音が無いし、音のダイナミックレンジに圧倒的な差がある」
「リモコンで曲の途中からでも再生OKだし、先送りや後戻りが
自在にできる」
ピー 「ダイナミックレンジって何よ?」
パパ 「小さな音と大きな音のレベル差だ。デシベルという単位を使う」
ピー 「差? デシベル?」
「レコードもCDも同じように録音されているんじゃないのぉ?」
パパ 「ちゃう、レコードは、大きな音や強烈な低音を録音すると、
音が隣の溝へはみ出すんだ」「また、円周長が内周に行く
ほど短くなるから、振動数の多い高音ほど録音が難しい」
「片やCDは、このような致命的な欠陥が無い」
ピー 「レコードへの録音は、色々な問題を抱えているんだね」
パパ 「じゃから、レコード制作時は、リミッティングアンプや
コンプレッサーという音の大きさを制限する音響機器を挿入
するんだ」「更に、RIAAイコライジングという操作をする」
「つまり、音のダイナミックレンジを小さくして作るんだよ」
ピー 「なんだかな~、レコードちゅーのは、音楽性や芸術性が
損なわれている感じじゃん」
パパ 「おお、気が付いたかね」
「CDのダイナミックレレンジは96デシベルと言われるんじゃが、
レコードは、10デシベル以上低いんじゃないかな」
ピー 「そのデシベルという単位がわからん」
パパ 「デシベルというのは、信号の大きさを対数で表現したものじゃ」
「10デシベルの差は、電力比で10倍違う」
「6デシベルは4倍、20デシベルだと100倍の電力差だよん」
ピー 「じゃ、レコードとCDでは、音の大きさに10倍の差があると
いうこと?」
パパ 「数値的にはね。レコードで10Wの音が出ていれば、CDでは
100Wの音になる」「これは、物凄い音量差として聴こえる筈だ」
「CDは、よりライブに近い音量感が得られるということじゃよ」
ピー 「ほほう、より音楽的・芸術的ということかぁ」
パパ 「この差は、同じ曲をCDとレコードで同時に聴かないと
分からん」
「でもね、CDは高域に丸みを感じるんだな~」
「専門的には、ローパスフィルターを通した音ということかな」
ピー 「そんなの感じるの?」「ローパスフィルターって?」
パパ 「普通のCDは、理論的に問題があって、2万ヘルツ以上の音を
出せない。だから、それ以下の音を通すローパスフィルター
という電子回路に音を通過させてカットするんだ」
ピー 「すると、どんな音になるの?」
パパ 「先ほど言ったように、2万ヘルツ以上の高音がカットされて、
雑音が無くなり音が丸く聴こえる・・・ように感じる」
「レコード愛好家は、この2万ヘルツ以上の音が含まれて
いないから、CDの音は劣ると言うんだが・・・」
ピー 「そうなの?」
パパ 「2万ヘルツ以上の音は、殆どが雑音だ」
「雑音を聴いて音がエエとは、単なる酔狂としか思えん」
ピー 「それは言いすぎですな~」
パパ 「大体やね、45歳過ぎから聴力が落ちてきて、12000ヘルツ以上
が聴こえなくなる。家にある発信器で実際に測ったんだよ」
ピー 「ってことは、レコードに2万ヘルツの音が入っていても無意味?」
パパ 「ってことになるね。特に歳を取って来るとね」
ピー 「CDはさ、0と1のディジタル録音だから、不連続というか、
音質的に劣ると言うよ」「それに、読取り精度の問題から
音質が劣化しているってさ」
パパ 「それを説明するには、CDのサンプリングとか量子化の話が
必要だけど、専門的になるから割愛するね」
ピー 「何のことかわーらん」
パパ 「ま、CDは、レコードより遥かに優秀ということさ」
「レコード愛好家は、アナログからディジタルへの演算に、
観念的な違和感を感じるんだろうな~」
ピー 「音楽を鳴らすのに演算?」
パパ 「ディジタルということは、演算、つまり数学で表現できると
いうことだよ~」「だから理路整然とするし、綺麗な世界だ」
「実際、演算されたCDを聴いてみても、何の問題も無いじゃ
ないか」
ピー 「そうか、CDがどうとか言っている人は、ず~とレコードだけを
聴いてきたから違和感を感じるんだね」
「新しい事象に、感覚的な対応が追い付かないからかなぁ」
パパ 「読取り精度の問題は、エラーコレクティングコードの設定が
されているから、あるビットを読み落とすなんてことは
まずないね」「あっても演算処理で自動修復するんだ」
「また、CDをディジタル複写しても、100%同一のものができる。
100%だよ」「アナログでは絶対不可能だ」
ピー 「そうなの、まるでクローンだね」
パパ 「CDプレーヤーは、内部のマイコンでデータ処理を行って
いるからね」
「それも2進法の演算だよ。絶対の信頼感がある」
ピー 「え~!データ処理? 音楽を扱っているんじゃないの~?」
パパ 「音楽を2進数に量子化し、データとして処理するんだよ」
ピー 「0と1に変換するという事?」
パパ 「そう、だからディジタルなのさ」「再生時には、0と1を
アナログに変換する」
ピー 「ふ~、CDプレーヤーというのは、コンピューターなんだね」
パパ 「そ、多少なりともコンピューターの方式論を理解して
いないと、CDの本質も分からないかも知れないねぇ」
「だから、ディジタルをアナログと同じ扱いで論ずる人が
いるんだ」
ピー 「おいらは、聴くだけでいいや」
パパ 「何時かさ、簡単にコンピューターの方式論をやって見ようか」
ピー 「ま~た、ウンチクを始めるのかぁ」