ピー 「先日、ハドソン川に旅客機が着水したね」
パパ 「怪我人が出なくて良かったね~」
ピー 「飛行機ちゅーのは、管制塔と交信しながら飛ぶんだろ?」
パパ 「管制塔と交信するのは、空港周辺だけだよ」
ピー 「うん? 空港周辺だけ?」
パパ 「そうだよ~、皆さん管制塔が、全ての飛行指示をしていると
思っているけど、航空機は最低6箇所から航空管制指示を
受けるんだ」
ピー 「ヘ~」
パパ 「では、航空無線を通して、JAL123便の羽田から大阪空港までの
フライトを体験して見よう」
ピー 「お~、おいら、そんなの初めてだよ。何だか楽しそうだね」
パパ 「先ず、航空機は、クリアランスデリバリーに無線でフライト
プランの承認を受けるんだ」
「承認されれば、グランドコントロールに地上管制の支持を請う」
「ここからトーイングカーに誘導路まで引っ張っていかれるんだ」
ピー 「後ろ向きに引っ張られて、向きを変えて地上走行するんだろ」
パパ 「操縦士は、この段階で飛行機のエンジンを始動するんだ」
「地上管制官は、ここで初めて管制塔と交信せよ、と支持を出す」
「例えば、Japanair123 contact tower 118.1. とね」
「118.1とは管制塔と交信する周波数で、118.1メガヘルツという
ことだよ」「Towerとは、管制塔のことだ」
ピー 「ややこしいね」
パパ 「管制塔というのは、主に飛行場の離着陸のみを管制している
んだ」「ま、目で確認できる範囲ということだね」
ピー 「管制塔1本で、何もかもしているんじゃないのか~」
パパ 「で、管制塔は、滑走路の離着陸状況を確認しながら、出発待ちの
航空機に出発承認を出すんだ」
「Japanair123 wind 340 at 5,cleared for take off runway 03.」
(日本航空123, 風は340度方向から5ノット、滑走路03から
離陸を許可する)
ピー 「英語で交信するんだね」
パパ 「操縦士は、Cleared for take off runway 03 Japanair123
と答える」「そして、ギューンと滑走・上昇していくんだ」
ピー 「緊張の一瞬だね」
パパ 「更に管制塔は、Japanair123 contact deperture on 120.8
(日本航空123、 120.8メガヘルツで出発管制と交信せよ)と
指示するんだ」
ピー 「出発管制って何よ?」
パパ 「上昇中の航空機を航空路までレーダー誘導する部門だよ」
「Japanair123 maintain 9 thousand rader contact.
(日本航空123, 9000フィートを維持せよ。レーダー誘導を行う)」
「操縦士は、出発管制官の上下左右へのルート指示に従って、
機体を航空路までもっていくんだ」
ピー 「へぇ~?、操縦士が勝手に飛行してるんじゃないの?」
パパ 「ちゃうね、全て地上からの指示どおりに操縦しているだけさ」
「次に出発管制官からJapanair123 contact Tokyo control 125.9
と指示が出る。ここから日航123便は、航空路管制の空域に入る」
ピー 「あちこちと交信するんだね。大変だ。で、操縦もするし」
パパ 「機長は、上昇中めちゃ忙しいから、交信は副操縦士の担当なんだ」
「すると今度は、航空路管制官から指示が入る」
「Japanair123 climb and maintain flight level 20000.
(日航123, 上昇して高度20000フィートを維持せよ)」
ピー 「飛行機は、管制官の指示どおりに飛ばないと駄目なんだね」
パパ 「そうさ、航空路は一番経済的なルート設定になっているから、
狭い空域に航空機がひしめき合うんだ」
「だから、広い空と言えども、管制官の指示どおりに飛ばないと、
空でドッチンコするんだよ」
ピー 「あ~、それでニアミスなんちゅーことが起こるのかぁ」
パパ 「で、航空路に入ると少し落ち着くから、カンパニーラジオ
という無線で、飛行状況を会社に連絡するんだ」
「操縦士と会社は、日本語で交信するから内容が良く分かるよ」
ピー 「例えば」
パパ 「日航123です。オペレーションノーマル、上昇中10000フィート
で軽い揺れがありました。大阪到着予定は何時何分です。
行って来まーす・・・。てな具合に連絡する」
ピー 「なるほど、この辺で操縦士も一服するのかな」
パパ 「そうそう、スチュワーデスも機内サービスを開始する」
パパ 「国際線だと、操縦士達は弁当を食べたりする」
「但し、機長と副操縦士は、別々のコックが作った別々の弁当を
食べる」
ピー 「ほう、食べ物の好みが違うんかいな?」
パパ 「ちゃう! 同時に食中毒にかからないためだ!」
ピー 「げっ! 飛行機の操縦ちゅーのは、そこまで気を使うの~」
「えらく怖い乗り物だね~、ほんと」
パパ 「それに、操縦士と管制官のやり取りは、密室で行われている
から、重大な問題が発生していても全く分からん」
「だからパパは、飛行機に乗るのが怖くてたまらんのさ」
ピー 「ふ~ん、重大な問題って?」
パパ 「実際の話だが、フィクションということで話そう」
「普段航空機は、英語で交信しているけど、突然旅客機の操縦士
から、’日本語で言います!鈴鹿上空で雷が2度落ちました!
今のところ飛行に問題ありませんが・・・’とか」
「左エンジンに振動があります!到着後調査願いますー!」
「何もしないのにフルスロットルになりますー!
過去そういう例が無いか、直ぐに調べて連絡下さいー!・・・
もう悲壮な声だったね」
ピー 「えっ! 知らないだけで、操縦室ではそんなことが起こっているの?」
パパ 「そ、何も知らされない乗客は気楽なもんだよ」
「酒を飲んでグーグー寝ている」
ピー 「おいら、飛行機に乗る気がしなくなったよ~」
パパ 「さて、次回は、いよいよJAL123便が着陸態勢に入る」
「それと、国際線操縦士の航空路争奪合戦も少し話そうかな」
ピー 「出発がこれだと、着陸は更に難しそうだね~」