ピー 「今日の話題は?」
パパ 「'その20'で話した'男と女の続編'だよ」
ピー 「あ~、何故男と女が存在するのかってことだろ」
「そういや~、結論を聞いとらんね」
パパ 「3つのヒントを話した筈だよ」
ピー 「その1.弁証法、その2.進化論、その3.染色体
だったね」「でもさ、これだけじゃ分からんよ」
パパ 「それではお答えしましょう」
「異なる染色体どうしで生殖作用をすると、進化のスピード
が速くなるんだ」
「だから、男と女が存在する」
ピー 「進化のスピード?」
パパ 「んだ、第三の性が存在すれば、更に進化のスピードが上がる」
ピー 「よう分からんが、じゃ何故第三の性が存在しないの?」
パパ 「自然界では、そこまでスピードを上げる必要がない、
ということかな」「二つの性だけでもややこしいしね・・・」
ピー 「そこに弁証法がどう関係してくるのさ?」
パパ 「弁証法は関係しない」
「進化という概念を認識し易くするだけさ」
ピー 「う~ん? おいらには、よく分からん」
パパ 「弁証法ちゅーのは、事物の変化を対立物の闘争と捉えるんだ」
「そして、その闘争を通じて、矛盾の少ない方向へ事物が変化
して行くと説く」
ピー 「うんうん、対立物とは男と女だと言ったよね」
「じゃー、矛盾とは?」
パパ 「ここでの矛盾とは、環境変化とそれに適応しようとする生物の
変化状況の総体を指す」
「あらゆる事物は、個別の矛盾をはらんでいる総体であると
解釈するんだ」
ピー 「分からんのう?」
パパ 「環境変化に対して敏速に対応するには、進化のスピードを
上げる必要がある」「でないと、多細胞生物は絶滅するんだな」
「多細胞生物は、構造が複雑じゃけん、自身で簡単に変化でけん」
ピー 「ほう・・・」
パパ 「だから、男と女の染色体が、闘争することによって進化を加速
するというか、うまく適応できる生態系を生み出すんだ」
ピー 「進化というのは、矛盾が少なくなる方向へ行くということかぁ」
「これは、競争原理じゃんか~」
パパ 「でもさ、男女という異なる染色体どうしで生殖作用をすると、
何故進化のスピードが上がるのか? これは、科学的に説明
し難いんだなぁ」「嘘かも知れない。ま、推論なんだけどね」
「だからパパは、弁証法の概念を持ち出して、多分こうだろうと
思惟的に認識したのさ」
ピー 「宇宙や自然は変化して行くんだろ」
「生物は、その変化に対応するために進化が必要なんだね」
「しかし、おいらが考えるに、生物が進化しているようには
感じないんだけどねぇ」「カエルはカエルじゃんか」
パパ 「そのように、事物が始めからあったように考える事を
形而上学(けいじじょうがく)と言う」
「形而上学は、事物を静止して見るんだ。弁証法とは対極を成す」
ピー 「でも、何も無けりゃ進化する必要がないじゃん」
パパ 「進化の切っ掛けは、突然の天変地異だと考えているんだ」
ピー 「例えば?」
パパ 「造山運動による気候の変化とか、何千万年の周期で地球に
やってくる大流星群の衝突とか、植物の光合成で酸素が
大気中に充満してくるとか」
ピー 「酸素ねぇ~、30億年前の大虐殺のことだね」
パパ 「そういう絶滅の危機に遭遇すると、そこで対応的に進化が始まる
と、パパは考えているんだ」
「従って、自然の変化が緩慢な時は、進化も停滞する」
ピー 「突然変異とかは?」
パパ 「突然変異は、適応障害を起こして大抵駄目だね」
「とんでもない方向へ行くのを、自然に防止してるんだろうね」
「ま、突然変異は、数撃ちゃ当たる式かな」
「でないと、世の中に突然変異ばかり出来ちゃう」
ピー 「しかしね、なんでまた宇宙というか、自然はそないな仕掛けに
なっちょるのよ」
パパ 「パパも分からん」
「ほんで、どうして宇宙や自然が変化するのか、科学で説明
できないんだなぁ」
ピー 「宇宙的な運動が関係してるんじゃないの?」
「ニュートン力学で説明でけへんの?」
パパ 「ニュートンは古いし、量子力学でも説明でけへんのとちゃうか」
「その説明できない部分を補完するのが、哲学と宗教だと、
パパは考えている」
ピー 「なるほどねぇ~、我思う 故に我あり、か」
「我とは何ぞや。なんちゅーのは、科学で説明でけんわな」
パパ 「え~とね、医学が未発達の頃は、シャーマンというか、
呪い師が医を担当していた」「呪文を唱えたりしてね」
「しかし、医学が発達してくると、呪文より医術の方が明らかに
効くと分かってくる」「すると医者が呪い師に取って代わる」
ピー 「天動説とかもそうだね。宗教の間違いを科学が証明したりする」
「矛盾に仮説を立て、実験や観測によって事実を証明する」
「科学は実証主義だね」
パパ 「反対に宗教は、観念的だと言える」
ピー 「科学が発達してくると、宗教も不要になるの?」
パパ 「高等生物にとって、観念的な不安が解消しない限り、
宗教は必要だと考えているんだ」
ピー 「高等生物の・・・ 観念的な不安?」
パパ 「次回は、宗教の話をしようか」