2010年1月17日日曜日

ピートとパパの会話(その78 小沢が解る?Ⅶ)


パパ 「えらい事だぞピート」
ピー  「何なん?」
パパ 「1月15日に内閣法制局長官が辞任したんだ」
ピー  「単なる交代なんだろ?」
パパ 「国会答弁禁止に抗議しての辞任だと言われちょる」
    「そこが問題だ!」
ピー  「それがえらい事なん?」「一体、内閣法制局って何?」
パパ 「内閣法制局は、法律や条約案の審査を行ったり、法令解釈を議員に
    代わり国会で答弁したりする」
    「特に、憲法解釈などに問題や矛盾がないかを審査することが重要な
    担務でもある」
ピー  「憲法九条なんかの解釈論が正しいかどうかの審査もするんだね」
パパ 「だから、内閣法制局は、”法の番人”と言われている」
ピー  「うん? すると、国会答弁禁止ということは、政治家に全て権限が
    集中され、審査も解釈も法制局は殆ど無関係となるのか~」
パパ 「そのとおり、時の内閣にとって極めて都合の良い法解釈が出来る」
    「つまりは、憲法上出来ないことでも、出来ると言い得る」
    「官僚の国会答弁禁止とは、これはま~よく考えたものだ」
    「小沢どんに脱帽するよ」
ピー  「そこに何か下心があるな~。心配になってきたぞえ~」
パパ 「一例を話すと、今回辞任した内閣法制局長官は、安倍、麻生内閣下
    で、憲法九条を拡大解釈して集団的自衛権を認めるよう迫られた」
    「しかし、それを言うなら首を切ってくれ、と突っぱねた」
ピー  「ほほう、正に法の番人だ」
    「小沢どんは、国民の手前、内閣法制局を無くすわけにいかない
    から、国会答弁を禁止にして無力化したんだな」
    「何を狙っているのだろう?」
パパ 「小沢どんの真意は、憲法九条の拡大解釈にある」
    「かつて、国連決議による海外での武力行使を考えたんだが、内閣
    法制局長官の国会答弁で阻止された」「それを今回、可能にしようと
    いうことさ。ついでに諸々の法案についてもそうだ」
ピー  「小沢どんの一連の数の流れを見ていると、一党独裁体制に移行
    するような気がするね」
パパ 「その危険も考えられる」「これはもう、渡部恒三氏が言うように、
    戦前の大政翼賛会だね」
ピー  「大政翼賛会って何?」
パパ 「近衛文麿内閣が画策した一国一党組織で、戦争へ向かっての
    国民総動員体制を指す」
    「しかし、組織体制は、右翼から左翼まで包含した合同組織じゃった」
    「そのため、組織的には不安定な状態でもあったんだ」
    「今の民主党の内情によく似ておる」
ピー  「ええっ? 一国一党って、三権分立や司法権の独立を認めない
    ソ連型社会主義のやり方じゃんかー」
    「中国が好きなのも、一党独裁体制だからかも知れないなぁ」
パパ 「小沢どんのやり方は、一党独裁に近いような感じがする」
ピー  「だから渡部恒三爺ちゃんが、今の小沢は何でも出来ると言った?」
    「独裁体制じゃんかぁ」「でも、二大政党制はどうしたのさ?」
パパ 「プロセスを示さないから幻かも知れない。というか息の掛かった
    政党を別途擁立して、院政を敷くんだろうね」
    「このまま行くと、二大政党制はマヤカシになる」
ピー  「マヤカシ? 夜店のおっさんみたいだな」
    「じゃ~、小沢どんの目的は、実質一党独裁体制だと?」
パパ 「そこが誰にも解らんが、今までのやり方を見ると・・・」
    「更に、議員立法も禁止しようとしている」
ピー  「議員立法ってよく聞くけど・・・?」
パパ 「議員立法は、内閣への事前説明なしに提出することが出来る
    法案だ」「だから、その法律に賛同するのであれば、与野党を
    問わず参画することが出来る」
    「制度は、衆院では20人以上、参院では10人以上の賛成で
    提出可能だ」「党議拘束にも左右されない。そこがミソだ」
ピー  「ほう、内閣の意向に沿わなくても法案提出が可能なんだね~」
パパ 「そう、特に連立内閣の場合は、野党議員が提出する議員立法に、
    特定の与党議員が賛同する場合もあり得るよ」
ピー  「すると、国会で成立する可能性も出てくる?」
パパ 「そうだよ~。しかも内閣は、それに対する拒否権が無い」
ピー  「そうか、小沢どんに不利な法律も出てくる訳だな~」
    「それで小沢どんは、議員立法を阻止しようとするのかぁ~」
パパ 「そうじゃよ。それが小沢どんの仕掛けというか、今回のカラクリだ」
    「小沢どんは、このように民主主義を守っている機能をどんどん
    破壊していく」「これはいつか来た道だ」
ピー  「いつか来た道?」
パパ 「だから、先程の大政翼賛会なんだよ~ん」
ピー  「あ、そうか」「パパは憲法九条云々より、民主主義の機能が
    排除されることを心配しているのだね」
パパ 「そのとおり、これは法治国家とは言えないよ」
    「何故新聞が、このような一大事を一面トップで報じないのか
    不思議だね~」
ピー  「不正献金問題の方が、話題性に富むんだね。きっと」
パパ 「はは、こんなの与野党の議員ともあり得る話じゃんか」
    「それに、小沢どんは平気の平左衛門で居座るよ」
ピー  「イラ菅や福島おばはんが徹底追及しないのも不思議だね」
    「パパの言うように、連立政権内の民主主義機能が麻痺してるんだ」
    「でもよく検察は追及できるね? 内閣の法務大臣配下だろうに」
パパ 「検察は、三権分立の独立性を辛うじて保っているのさ」
    「そこが、民主主義国家の良心だよ」「でも今回の一件で、小沢どんは
    検察の動きに法的拘束を仕掛けてくるぞう~」
ピー  「法務大臣に圧力を掛けるということ?」
パパ 「法務大臣は、検察庁法で検事総長に対してのみ指揮権があるとして
    おり、個別事案に直接指揮命令を下すことは出来ない」
    「つまり、個別事案の指揮命令権は、検事総長のみにあるのさ」
ピー  「それは、不当な政治的圧力を受けないためだね」
パパ 「しかし、検察庁は行政官庁だから、法務大臣は検事総長には
    小沢どんの調査を止めろと言える権限がある訳で、
    これが指揮権発動だ」
ピー  「法務大臣による指揮権が発動されればどうなるの?」
パパ 「当然小沢どんの調査は中止されるか、藪の中に葬り去られる」
    「過去、法務大臣の指揮権発動は、1954年の造船疑獄時に一回だけ
    あったが、世論の批判を浴びて法務大臣は辞職した」
ピー  「小沢どんは、しきりに身の潔白を説明しているが、本当かな?」
パパ 「それは、検察が明らかにしてくれる」
    「民放のワイドショーに惑わされてはならないよ」
ピー  「ワイドショーね~」
パパ 「さて、ここで民主党自体に自浄作用があるかどうかが試される」
    「そして、民主党とその内閣に法治国家の精神があるかどうかも解る」
ピー  「近代国家というのは、法の独立を如何に守れるかだねぇ」
パパ 「日本の場合、明治に起こった”大津事件”が、それを証明している」
    「いつかその話をしようぜ」
ピー  「えっ! 大津。おいらの住んでいるところだ。興味が沸くね~」