2008年9月10日水曜日

ピートとパパの会話(JAZZ編その15)


ピー 「でさ、ジャズという新興音楽が、どうして世界に
    拡散していったのか不思議なんだけど」
   「ジャズって、米国南部の、それも黒人音楽じゃんか」
   「それが何故世界的に・・・」
パパ 「推察して見よう」
   「時代は遡り、1933年のナチス政権発足、1941年の日米開戦が、
    現在におけるジャズの発展に結びついたと考えているんだ」
ピー 「また歴史か~。それは結果論じゃないのぉ」
パパ 「物事は、一度原点へ帰納し、そこから演繹すると理解
    し易い」
ピー 「また訳のわからん事をいふ」
パパ 「歴史の前提はさておき、推察を始めよう」
   「アメリカは第二次世界大戦中、前線兵士の士気高揚のため、
    グレンミラーやカウントベイシーの演奏が入ったV-DISC
    というレコードを、航空機から戦場へ投下したんだよ」
   「日本でいう軍歌が、アメリカではジャズだったんだ」
ピー 「ジャズが軍歌。アメリカは粋だね~」
パパ 「フォスターやガーシュインでは、お上品過ぎて戦意高揚
    にならんわな。もう、鉄砲なんか置いて家に帰ろうとなる」
   「厭戦気分だ」
ピー 「ジャズのリズム感が、戦意高揚に役立ったのかな?」
パパ 「パパはそう考えているんだけどね」
   「大体やね、白人社会で野卑なる音楽と思われていたジャズが、
    理由無くして軍隊で使われる筈がないよ」
ピー 「だとすれば、国策だね」 
パパ 「米国は戦争に勝利後、日本やドイツを始めとする敗戦国の
    大部分へ占領軍を駐留させた」
   「これは、日本・ドイツ・イタリアが世界大戦を始めなければ
    なかったことだ」
ピー 「第二次世界大戦が無ければ、ジャズの拡散も無かった?」
パパ 「そう!」
   「ジャズは、米軍が進駐した各国へ兵士と共に拡散した」
   「GI達の持ち込むレコードからはジャズが流れ、進駐軍の
    将校クラブでは、ダンス音楽としてスウィングジャズが
    演奏された」
ピー 「にゃ~るほど」
    「ヒトラーの出現や日本の真珠湾攻撃が、結果的にジャズの
    世界制覇に結びついたのかな」
    「ジャズは、米国南部の単なる黒人音楽だったのにね」
パパ 「歴史は、強国の文化・芸術が世界を席巻するという事実を
    教えてくれる」
   「パパが子供の頃、進駐軍の家族が、米軍専用の売店PXへ
    キャデラックで乗り付け、あたり一面にゴージャス、
    そして、最高にリッチな雰囲気を漂わせながら買物を
    していく様子は、そらもう羨望の的だった」
   「羨望の的は、彼等の音楽にも向けられた。つまりジャズね」
ピー 「だけど、日独の大衆は、敵国の音楽を割とすんなり受入れ
    たんだね」
パパ 「同じ大衆同士は、理解し得るのさ」「これ以降、ポップス
    を始めとして、戦勝国の音楽がどんどん入って来るように
    なった」「英国からはロックだ」
ピー 「昔から日本人とドイツ人は似ているというね」
パパ 「何故似ていると思う?」
ピー 「さー? 顔付は全然違うしね」
パパ 「ちゃんと理由がある。いずれ伝授しよう」
ピー 「ところで日本は、コカコーラの看板や横文字の氾濫からして、
    アメリカのコピーのような国という感じがする」
パパ 「まぁ、しゃーないね。戦争に負けたんだから」
   「だけど同じ頃、ソビエトからもイデオロギーの
    プロパガンダとして、ロシア民謡なんかが入ってきた」
ピー 「燃えろペチカ、カリンカ、トロイカ、カチューシャだろ」
パパ 「よく知っているね」「京都四条河原町にあった歌声喫茶
    '炎' でも良く歌われた」
ピー 「ソビエトって社会主義国だったんだろ。なんで日本に?」
パパ 「そうだね~、ソビエトの社会体制ちゅーのが、当時の
    日本のインテリ層を魅了したからだろうね」
ピー 「プロパガンダの効果ありだね」
    「で、ソビエトの社会体制ってなによ」
パパ 「そらあんた、唯物史観と労働価値説に基づいた
    プロレタリア独裁の体制だよ」
    「他に、江田ビジョンてーのがあってさ、米国の生活水準、
    イギリスの議会制度、日本の憲法、それとソビエトの
    生活保障が良しとされる考え方があった」
ピー 「そのソビエト体制って、1990年頃に崩壊したじゃん」
パパ 「そのとおりじゃ、山ほどの矛盾を抱えていたからね」
   「でも、当時のソビエト体制下に音楽留学した日本人も
    いたんだよ」「前橋汀子ね」
ピー 「汀子さんて、ヴァイオリニストの?」
パパ 「Yes. その汀子さんだよ。魂のヴァイオリニスト」
   「次回は、汀子さんの話をしようじゃないか」
ピー 「パパも好きだねぇ」