2008年11月4日火曜日

ピートとパパの会話(その29 都会人の田舎暮らし-③)


ピー  「高原生活は、大変だということが分かったけど、
    まだ何かあるんかいな」
パパ 「まだまだ。今回は水周りの話だよん」
    「とにかく高原の冬は、マイナス10℃以下の極寒になる
    からして、その対策が生存の可否を握っているね」
ピー  「おいらは、北欧系なんだけど、面倒な生活は嫌だね」
パパ 「いや、対策をしっかりしておけば問題ないよ」
    「北極圏にだって生活している人はいる」
ピー  「何かさ、パパの話を聞いていると、サバイバル風
    なんだよね」
パパ 「ま、それくらいの覚悟が必要だね」
    「先ず、水道の引き込み管は、深さ90cm以上に埋設
    しなければ、冬場に凍結して水が出なくなる」
ピー  「皆さん、そんなことまで勘定に入れてるのかな~」
パパ 「温暖地の工務店は、多分知らないな。こういうことは、
    現地の工務店に任せるべきだよ」
    「それと、最低2箇所に浸透式の水抜き詮を設置する
    必要があるよ」「これがないと、全面凍結だ」
ピー  「恐ろしいね、高原生活ちゅーのは」
パパ 「都会の文化生活を、そのまま持ち込むからだよ」
    「昔の井戸があれば、水周りは解決するのさ」
    「で、長期間家を留守にする場合は、水抜きをして
    出かけるんだよ」
ピー  「何とまー、面倒臭いことだね~」
パパ 「こんなの高原生活の序の口だ」
    「もっと大変なのは、水道管の立ち上げ部分にヒーターを
    捲かねばならないことだよ」
    「でないと、日中でも水道管が凍結する」
ピー  「ちょっと待ってよ。水道管を暖める必要があるの?」
パパ 「んだ。水道管にヒーターを這わせて、断熱材で
    グルグル捲きにするんだ」「サーモスタット付きだから、
    常にon/offを繰り返している」
ピー  「えらい重装備なんだね、高原ちゅーところは」
パパ 「まぁ、このヒーター代だけで、月2万円かかるかなぁ」
    「それと、サーモスタットがよく故障するんだよ」
ピー  「水を飲むだけで、月2万円! やってられないね」
    「そこへ薪代がプラスだろう。冬場の常駐は厳しいね~」
パパ 「最近の寒冷地住宅は、水道管を家の中から立ち上げて、
    凍結を防ぐようになっているけど、ヒーターは必要
    だろうねぇ」
    「給湯器も同じようなパイピングが必要だし、24H電源を
    入れておかないと凍結するよ」
ピー  「う~ん、おいらは井戸水でいいや」
パパ 「高原住宅のトイレなんだけど、昔の日本式が多いね」
    「所謂ポットン式だ。簡易水洗になってはいるけどね」
ピー  「どうして? 最新の水洗式の方が快適じゃんか」
パパ 「そらもう、凍結防止のためだね」
    「常駐していて、常に室温が凝固点以上ならいいけどね」
ピー  「旅行で家を空ける場合なんか、どうするのさ」
パパ 「水洗タンクに専用のヒーターを入れて凍結を防ぐか、
    完全にタンクの水を流して空にしておくのさ」
    「それと、水洗便器の消臭ますに、常に水が溜まって
    いるだろ」「そいつが凍結して便器が割れる可能性が
    あるんだな」
ピー  「なんや、えげつないことになりそうだね~」
パパ 「そう、えげつないことに・・・」
    「で、皆さん考えたんだな~」
    「便器に車のラジエーター用の不凍液を入れておくんだ」
    「さすれば、長期間不在でも凍結しない」
ピー  「不凍液ね~、変わった使用法があるもんだ」
パパ 「生活の知恵さ」
ピー  「ウォッシュレットなんかどうなの?」
パパ 「そうくると思った」
    「凍って壊れてしまうよ」
    「寒冷地用のウォッシュレットは、タンクにヒーターが
    付いているんだ。そういう仕様のものを設置しないと
    壊れて使えなくなるよ」
ピー  「旅行中でも大丈夫なの?」
パパ 「通電さえしておけば凍らない」
ピー  「電源を切れば?」
パパ 「凍るから水抜きをしておく必要がある」
    「問題は、ウォッシュレットのタンクは水抜きをしても、
    何処かに水が溜まっているんだな。そいつが悪さをする」
    「だから、常駐者以外は、ウォッシュレットをつけていない」
ピー  「寒冷地は大変だ。おいら、ハワイがいいな」
パパ 「それに、田舎は下水道が無いから、汲取りの
    バキュームカーが走っているよ」
    「あたり一面、田舎の香水を撒き散らしている」
ピー  「田舎の香水? そんな車、街じゃ見かけないね~」
パパ 「最近は、合併浄化槽を設置した地下浸透式トイレもあるよ」
    「これも清掃メンテナンスが必要だ。自分でするか、プロに
    頼むかだね」
ピー  「メンテナンスを一括して引受けてくれる所はないの」
パパ 「あるよ。都会人用の管理会社だ」「年間費用が必要だが、
    何か故障しても、直ぐ来てくれるよ」
    「都会人向けに開発した居住地には、必ずあるね」
ピー  「便利じゃんか」
パパ 「それとね、高原は大抵積雪があるから、樋をつけると
    雪の重みで破壊されるんだ。だから、樋がついている住宅を
    見かけないね」
ピー  「こんな色々なこと、本には載っていないね」
パパ 「そらもう、本には楽しいことしか載せないよ」
    「危険なのは、全て電気に頼っていることだね」
    「高原ちゅーところは、積雪で電線が切れて停電することが
    度々ある。落雷もそうだよ」
ピー  「そうなると、凍えてしまうね」
パパ 「命が危ない。大抵の人は、薄着で電気毛布を使っているし、
    寝ている間にあの世へ行っちゃう」
ピー  「気をつけないと」
パパ 「だから、予備として、電気を使わない暖房器具が必要なんだ」
ピー  「どんなもの?」
パパ 「薪ストーブがあればいいが、無ければ電気を必要としない
    石油ストーブとかね」「懐中電灯や灯油ランプも必要だね」
    「一番いいのは、一目散に下界へ降りることだね」
ピー  「おいら、灯油ランプ好きなんだ」
パパ 「灯油ランプは、パパも使っているよん。暗いけど」
ピー  「しかしまあー、高原って、生活するには最悪の地域だね」
パパ 「最近は、整備されているから大丈夫だろうけど、熊や猪
    との遭遇もあるね」「鹿との遭遇は、日常茶飯事だよ」
    「結局、夏は高原。冬は下界での生活が理想だね」
    「遊牧民のように」
ピー  「車は、4WDが必要かな?」
パパ 「勿論だね」「んじゃー、次回は車の話をしよう」