2009年5月16日土曜日

ピートとパパの会話(その56 月の砂漠)


パパ 「暫く暗い話題が多かったから、今回はオーディオ談義だよ」
ピー  「上の写真は何かね?」
パパ 「35年前に、機材を集めて組立てたレコードプレーヤーだよ」
    「昨日、20年ぶりに整備したんだ」
ピー  「周囲に変なギザギザが見えるね」
パパ 「回転するとストロボによって、このギザギザが静止して
    見えるんだ」「その動きでレコードの回転数を正しく調整する」
ピー  「ほう、面白いデザインだね」
パパ 「英国のガラード社の製品だよ。401といって、当時のジャズ喫茶
    の定番ターンテーブルじゃった」「京都の老舗のジャズ喫茶
    ヤマトヤで、今でも使っているんじゃないかな」
ピー  「ガラードって?」
パパ 「英国BBCに放送機材を納入している音響機器メーカーだよ」
    「1970年当時、このデザインはガラードしか無かった」
    「その後、パイオニアが最初に真似をしたよ」「真似だから
    不細工なデザインじゃった」
ピー  「そんな古いターンテーブルが動くの?」
パパ 「何の問題も無い。そういう設計がされているんだ」
    「ガラードは、局仕様だからね」
    「今やプレミアが付いて、購入価格の数倍の値で取引されている」
ピー  「右のパイプは何よ?」
パパ 「トーンアームといって、レコードの音を拾うカートリッジを
    取り付ける装置だよ」「これは、日本のマイクロ精機製だ」
    「でも、日本製はね~・・」
ピー  「駄目なの」
パパ 「そうではないけど、英国のSME製と比較すると、加工精度が
    何ともね・・・。英国製は芸術品だよ。パパも2本使っている」
ピー  「レコードプレーヤーを何台持っているの?」
パパ 「う~ん、5台かな」「うち1台は、組立てずに置いてある」
ピー  「1台あれば、充分じゃんか」
パパ 「そこが趣味だ。調整も難しいんだぞ~」「ある友人は、SMEの
    トーンアーム調整に一晩かかったと言っていた」
ピー  「音を拾うカートリッジは?」
パパ 「写真は、グレース製でF-8Cというものだよ。これも35年以上前の
    ものだ。こやつも日本製で、あまりよろしくない」
ピー  「よろしくないって?」
パパ 「素人的に表現すれば、派手さが無いということかな」
ピー  「レコードを聴くだけなのに、大袈裟な装置だね」
パパ 「通常は、簡単に扱えるナショナルのフルオートプレーヤーを
    使っている」「こちらの方が、派手な音作りがされていて
    素人受けがする」「他に局用や米国製のカートリッジも使って
    いるけど、各々特徴がある」「その僅かな差を楽しむんだ」
ピー  「パパは、CD派じゃなかった?」
パパ 「そらもう、物理特性は、CDが遥かに優れている」
    「そういうことが分かって聴いているんだよ~ん」
    「レコードは、何と言ってもヴィンテージだからね」
    「それなりの味わいがあるというものじゃよ。ハハハ」
ピー  「パパは、再生装置の仕掛けそのものに興味があるんだね」
    「写真に写っているレコードは?」
パパ 「米国のBLUE NOTEと呼ばれるジャズレーベルだよ」
    「ウェストレックスのカッティングマシンで製作されている」
ピー  「それ何よ?」
パパ 「世界のレコードカッティングマシンは、ノイマン、ウェストレックス、
    スカリーが3大ブランドだ」
    「BLUE NOTEは、ウェストレックスということで売出している」
ピー  「音が良いの?」
パパ 「音が良いかどうか、パパには分からない」
    「オーディオフリークの中には、トーンアームをウェストレックス用に
    調整し直して聴くという人もいる」
ピー  「面倒だね」
パパ 「ひとつ、レコード選びの極意を伝授しようか」
    「レコードは、キング製を選ぼう」
ピー  「キング?」
パパ 「そうだじょー。キングは、音質が良いとされている」
    「実際に、ある電気音響専門店で聴いたが、良い音がしていたね」
    「これは、カリスマ店員に教えて貰ったんだ」
    「ま、堂島ロールのようなものだ」
ピー  「ほほう、レコードと言っても色々難しいんだね」
パパ 「オリジナル盤は音が良いとか、180グラムの重量盤が良いとか、
    そういう話がごまんとあるよ」
    「で、オリジナル盤、要するに初回プレス盤なんだけど、初回
    だから音が良いだろうと、三千円のLPに何十万円ものプレミア
    が付く恐ろしい世界だったりする」「ここでも悪徳商人が暗躍
    するんだなぁ」
ピー  「写真のレコードは何という曲?」
パパ 「リー・モーガンのザ・ランプローラーの中に入っている
    デザート・ムーンライトという曲を聴いちょる」
ピー  「デザート・ムーンライト、’月の砂漠 ’ だね」
パパ 「そう、月の砂漠。日本の童謡だ」
    「リー・モーガンは、日本にもこんな素晴らしい曲があるのか、
    といって感心したらしいんだが・・」
ピー  「何か問題でも」
パパ 「本国で自分が作曲したように言いふらしたらしい」
    「70年頃のFM放送で、日本のDJが愚痴っていた」
    「その時の放送内容を覚えていたから、このリー・モーガンの
    デザート・ムーンライトを買ったのさ」
    「それでは、リー・モーガンの デザート・ムーンライト を聴いてみよう」

パパ 「リー・モーガンは、女性好きが災いして数奇な運命を辿る」
    「調べてみると面白いよ」
ピー  「大体パパは、どこでレコードを買っているのさ?」
パパ 「東京では、現在でも新譜のレコードが沢山発売されているし、
    中古レコード店も山ほどあった」
    「ここ大津市は、そのような文化に程遠い生活環境だ」
ピー  「そりゃ、困った環境だね」「田舎の生活は、三日で飽きると
    言っていたね」
パパ 「んだ、でも大津のパルコで中古レコード展を6月初めまでやって
    いるよ」「この前、中古レコード屋から通知が来た」
ピー  「何故そんな通知が来るの」
パパ 「登録してあるからさ」
    「パルコ4階で、ジャズ、フュージョン、レゲエ、ロック、
    クラシック、演歌、オールディズ、JPOPなどの中古レコードと
    CDを販売しているよ」「地方向けの巡回図書館のようなものだ」
ピー  「そうか、巡回か。店を出すほどの需要がないんだね」
    「やはり田舎だ」
パパ 「見に行けば、青春時代に聴いたレコードが見つかるかもね」
ピー  「よし!」