2010年2月1日月曜日

ピートとパパの会話(その81 国家と経済戦略)


ピー  「左の写真は何をしているの?」
パパ 「ユスリタカリの相談だ」
ピー  「ヘッ?」
    「先日、鳩やんが施政方針演説をぶち上げたね」
パパ 「労働なき富は問題だとか。鳩やんのおっ母が、毎月1500万円も
    支払っていた労働の中身を知りたいものだねぇ」
ピー  「共産ムーミン谷の志位ミンもそないなことを言っていたな~」
    「ところで、日本経済はどうなるのだろう?」
パパ 「日本の一般大衆は、世界の企業から見放されるぞ」
    「デフレ蔓延の日本相手じゃ~儲からん、とね」
ピー  「ほんまかいな」
パパ 「むか~し、40年位前かな~、本田宗一郎がTVのインタビューで
    言っていたことを思い出すなぁ」
    「彼は、国家より自分の会社が大事だ。と、2回続けて言った」
    「NHKの司会者が、えらくハッキリ言いますね~、と驚いていたよ」
ピー  「ほえ? 国家あっての企業じゃないのぉ」
パパ 「特に本田のおやっさんの場合は、当時の通産省から自動車製造の
    認可を得るのに四苦八苦していたからねぇ」
    「国家の許認可権というものに嫌気がさしていたのだと思う」
ピー  「国家は当てにならないと?」
    「それで通産省に怒鳴り込んだのかぁ」「で、日本経済は?」
パパ 「日本はデフレで物が売れないし、人口も減少するし、賃金は高いし」
    「企業がそんな市場を相手にすると思うかい?」
ピー  「そら儲からないわな」
    「世界の企業は、中国・インド市場に販売戦略をシフトしているね」
パパ 「なんたって、あと30年位は経済成長が見込めるからねぇ」
    「耐久消費財は、中国やインドの巨大市場向けになっていくよ」
    「資本主義が拡大していくためには、大量消費が必要だからね」
ピー  「中国・インドは人口が多いから、潜在的需要も大きいのかな」
パパ 「日本市場は、餃子の王将、UNIQLO、ニトリといったデフレ対応商品
    を扱う企業のみになっちまうよ」「製造業は、低コストの国へ
    シフトして行くし~」
ピー  「日本は、バブル期より数段下った生活水準になったのかなぁ」
    「このまま行くと、中国の中古自動車を買う羽目になりそうだな~」
パパ 「大企業は、本社機能を法人税の安い国へ移すかも知れないよ」
    「本田宗一郎じゃないけど、日本に本社を置いて置く必要が無い」
ピー  「じゃ、何故さっさと移さないの?経済はグローバル化しているのに」
パパ 「今んとこ、優秀な人材による研究開発や質の高い労働力によって、
    世界に冠たるMade In Japanを何とか維持している」
    「だから日本に留まっているだけさ」
ピー  「ほう、それが日本に利益をもたらす源泉なんだね」
パパ 「これが無くなれば、企業はさっさと意味の無い日本から
    出て行くだろうよ」
ピー  「すると日本政府は、高水準な教育や高品質の商品を生み出して
    行く施策を推進する必要があると言うことか~」
パパ 「そう、それが日本国家を維持していく重要素だよ」
    「中国は日本のことを、あんな国はあと20年もすれば無くなる、
    と言ってはばからない」「安穏としていると、技術力も何もかも中国に
    追い抜かれるぞ~」
ピー  「鳩やん、大丈夫かな~? 今の政権は何とも心もとないしなぁ」
パパ 「スパコンが2位では駄目なの? なんちゅー事を言ってるようでは
    話にならないよ」「このような議員はクビに相当するな~」
ピー  「クビ?」
パパ 「国益を考えなくちゃ~ね」「米国の議会は国益優先で戦略を立てる」
ピー  「でも、そんなお金のかかるものは、他国に任せておけば~」
パパ 「あのね、研究開発による波及効果ってものがあるのさ」
    「得られた技術が民生品にも応用され、商品価値を生み出していく」
    「しかも、世界に先駆けてだ」「うまくやれば日本に莫大な富を
    もたらす。米国のIT企業のようにね」
ピー  「将来の飯の種なんだ」「宇宙開発なんてーのも、軍事以外にそういう
    波及効果をもたらすから、世界は競って技術開発をするんだねぇ~」
パパ 「それに、科学学会での研究発表は、スパコンで解析したデータを基
    に行われる。遅いスパコンではデータ解析が出来ないから、世界から
    取残される。と、科学者が言っておったな」
ピー  「スパコンが遅いと、あらゆる開発や経済に影響が出てくるのかぁ」
パパ 「経済的に考えれば投資なんだ」「投資を怠れば、リターンも何も無い
    という事だよ」「青色LEDの研究開発と同じだよん」
ピー  「国力が衰退する?」
    「研究の財政が乏しいなら、米国債を売って研究開発費にすれば?」
パパ 「確かに日本政府は、米国債を68兆円($:90円)以上貯めこんでいる」
    「これを霞ヶ関の埋蔵金と呼んでいるんだ」
    「だけど売れないんだな。これが~」
ピー  「買った国債が何故売れないのさ?」
パパ 「日本が米国債を一斉に売ると、米国は債務超過となり経済破綻
    する」「株価やドルも大変な値下がりをするよ。世界恐慌の発生だ」
    「結果的に米国債は紙切れとなり、日本も破綻する。だから売れない」
ピー  「為替介入どころじゃなくなるね」
パパ 「日本が米国債を売ると言っただけで、ニューヨーク市場の株価が
    下る」「いつぞやの故橋本首相の失言のようにね」
    「しかも、米国債を売る場合は、米国の承諾を必要とする約束がある、
    と言う人もいる」「米国債を売るという発言は、タブーなのさ」
ピー  「なんじゃそれは~」
パパ 「現在、政府が保有する米国債だけで68兆円前後だ。民間が買った
    米国債を入れると200兆円とも600兆円とも言われている」
    「財務省は、問題になるのが分かっているから総額を公表しないんだ」
ピー  「なぬ~、そんなにあるの?」
パパ 「日本政府が米国債を買い続けるのは、対米貿易黒字でドルが溜まる
    一方だからさ」「ま、買えという米国の要求を受け入れた形だが」
ピー  「米国の要求?」
パパ 「そうさ、米国債を買うことで、日本のドルが米国に還流される」
    「すると、米国の財政が潤うという寸法だ」
ピー  「そんな要求を日本はよく受け入れるね?」
パパ 「ま~ね、日本は安保条約で米軍に守って貰っているからね」
    「だから毎年米国債を32兆円も買わされているという説もある」
ピー  「小沢どんや鳩やんも、財政が逼迫しているのなら、米国に国債は
    買いませんと言えばいいじゃん」
パパ 「ふふ、民主党がそれを口に出せるかな~?」
    「でき得るのなら、民主党が言う対等な日米関係という意味合いを
    認めよう」
ピー  「すると何だね、日本人の金で米国が潤っているのか~」
パパ 「日本だけでなく中国も買っている。中国が保有する米国債は、
    日本よりも多い」「日本は泣寝入りに等しいが、中国は逆に国債を
    売却するぞと言って、米国への脅しに使っている」
ピー  「なるほど、中国の国家戦略らしいや」
パパ 「米国は、国内が不景気になると、日本に米国債とBIS規制で圧力を
    掛けてくる」「日本に米国の財政赤字を負担させよう、とね」
ピー  「BIS規制って?」
パパ 「銀行の自己資本比率に関する規制で、国際業務を行っている銀行は
    8%以上に設定されている」「8%未満だと国際業務が出来ないし、
    国内でも4%未満の銀行には早期是正措置が求められる」
ピー  「それは何かの役に立つ規制?」
パパ 「目的は、銀行が破綻した時の被害拡大の防止なのだが・・・」
    「自己資本比率というのは、自己資本÷総資産×100で求める」
    「仮に不良債権を処理しようとすると、会計上自己資本の減少となり、
    必然的にこの比率が低下する」
ピー  「すると、不良債権を抱えていると銀行の評価が下るのか~」
パパ 「じゃけん銀行は、不景気になると貸し渋りを行ったり、貸し剥がし
    と言って、不良債権化する前に今すぐ全額返せと迫る」
    「自己資本比率が下ると、株価にも影響が出るからね~」
ピー  「この比率に支配されているから、貸し渋り貸し剥がしを行うのか~」
パパ 「日本の銀行は1993年にBIS規制の適用を受けたんだが、自己資本
    比率を維持するために、海外での積極的な融資が出来なくなった」
    「これは、日本の銀行の弱体化を狙った米国の戦略だと言う人もいる」
    「で、弱体化させた後、安値で乗っ取る・・・」
ピー  「知らなんだ。でも本当かな~」
パパ 「実は、これが橋本内閣の金融ビッグバンや小泉改革と連動してい
    て、外資の規制緩和で日本の銀行が米投資会社に乗っ取られ、
    約300兆円が米国に吸い取られたとか。日長銀、日債銀、拓銀、
    興銀とかね」
ピー  「え~? 金融自由化や小泉改革は米国の戦略だった~?」
パパ 「ま、政府もそういうつもりじゃ無かったと思うけど、米国の経済戦略
    に乗せられたんだ」「日本の安全な預金が、ハイリスクの投機的な
    市場へと流動化させられたんだな~」「サブプライムとかさ」
ピー  「ふーむ、仕組まれた損失か~」「ひょっとすると、デフレも、か?」
パパ 「更に米国は、郵貯と簡保の350兆円を日本から巻き上げる算段を
    したらしいが、咬み付き亀が国営に戻したから免れた?・・・とかさ」
ピー  「へっ? 郵政民営化とはそういうことだったの~??」
パパ 「噂だけどね・・・」「噂と言えば、福田首相が突然辞任した理由は、
    米国から日本の外貨準備に相当する100兆円を要求され、抗し切れ
    なくなって、なら辞めると言ったとか・・・これは真偽不明」
    「日本の対米経済関係は、こういう噂に暇が無い」
ピー  「米国はそのお金で財政の建て直しをする訳か~、サブプライムの~」
    「背後で何か非常に大きな力が働いている印象を受けるねぇ・・・」
パパ 「現在、新BIS規制を検討しているから、日本の銀行には更なる困難が
    待ち受けている」
ピー  「まだ何か起こるのかい」
パパ 「通貨の空売りや金融派生商品を専門に扱う米国のヘッジファンドも
    要注意だね。彼らには法規制が無いに等しいし、それ故にアジアで 
    通貨危機を引起した前例がある」「利ざやの食逃げだ」
ピー  「どうして法規制をしないの?」
パパ 「米国の国益に反するからさ。ただそれだけ」
ピー  「油断も隙もないねぇ、ったく」
パパ 「何れにしろ、このような恣意的な裏の動きを見抜けなった日本は、
    余りにもお粗末君だよ」「そういうことが無いように、しっかり
    やろう、というのが民主党政権のはずだがねぇ?」
ピー  「こりゃ~、相当な国家戦略を立てないと、日本経済はズタズタに
    されるね」
パパ 「資本主義世界だからね。米国が悪いとかじゃなく、
    それに対抗し得る戦略を持ち合わせない日本が問題なのじゃよ」
ピー  「でも何か矛盾を感じるなぁ」
パパ 「参院選目当てのバラマキ予算を組んでいるようでは、世界に対抗
    できないな」「今の政権は、国家戦略が全く見えないから心配だよ」
ピー  「財務大臣は、イラ菅で大丈夫なのかなぁ?」
パパ 「彼は経済の素人だ。国会答弁を聞いていたが、話にならないなぁ」
    「こんな状態での政治主導なんて、とても無理だと思うがねぇ」
ピー  「マクロ経済専門の官僚に任せばいいのに。その方が安心だ」
    「そして、それを政治がコントロールすればいいんだ」
パパ 「経済を困窮さす国家からは、企業が逃げていくよ」
    「米国は、軍事同様、経済政策を世界戦略として捉えている」
    「小沢どんや鳩やんも、それに対抗し得るだけの国家経済戦略を
    立てなければ駄目だと思うがねぇ」
ピー  「現状は、献金問題でアヘアヘだな~」