2009年1月22日木曜日

ピートとパパの会話(その43 大阪までのフライトNo2)


パパ 「さて、日本航空123便は、これから着陸態勢に入るため、
    東京コントロールに降下要求を出すんだ」
    「Tokyo control Japanair123 request descend. とね」
ピー  「東京コントロールは、降下承認指示を出すんだね」
パパ 「そう、Japanair123 descend and maintain 10 thousand
     area QNH 3000.」
    (10000フィートへ降下せよ。QNHは3000インチ)
ピー  「QNHって何?」
パパ 「気圧高度計の修正値だ。更に進入管制との交信指示を出す」
    「Japanair123 contact Osaka approach on 124.1」
    「操縦士は、大阪進入管制と124.1で交信し、進入管制官の
    指示を待つ」「さ~、操縦士は、ここから緊張の連続だ」
ピー  「ドキドキするね。うまくいくかなぁ」
パパ 「そうこうするうちに、大阪進入管制官から指示が出る」
    「Japanair123 fly heading 350 for vector to
     final approach course, descend and maintain 7000.」
    (日本航空123,機首方位350度で飛行せよ。最終進入コース
     まで誘導する。降下して7000フィートを維持せよ)
ピー  「聞き逃したら大変だね」
パパ 「だから操縦士は、指示されたことを必ず無線で復唱するんだよ」
    「この辺から航空機は、降下して右へ左へ、もうもう指示が
    一杯出て大変なんだ」
ピー  「おいらに操縦はムリだな。美味しい匂いのする方へ飛んじゃう」
パパ 「Japanair123 turn right heading 030 descend and maintain
     3500 cleared for ILS runway 06 approach.」
    (右旋回して機首方位30度へ飛行、降下して3500フィートを
     維持せよ。ILSによる滑走路06への進入を許可する)
ピー  「ILSって?」
パパ 「電波で滑走路への進入経路を指示する航法装置だよ」
    「アウターマーカー、ミドルマーカー、インナーマーカーがあり、
    アウターは滑走路から10Km前後,ミドルは1Km,インナーは300m
    地点に設置されている」
    「航空機がこの上を通過すると、操縦室内のブザーが鳴るんだ」
ピー  「操縦士は、それで滑走路までの距離を知るのかぁ」
パパ 「そう、他にも一杯仕掛けがある」
    「いよいよ滑走路への最終進入だ」
    「進入管制官から Japanair123 contact Osaka tower 118.1と
    指示される」
ピー  「大阪空港の管制塔と118.1メガヘルツで交信するんだね」
パパ 「おお、分かってきたね」「ここから先は管制塔の受持ちだ」
    「で、日本航空123便は、アウターマーカーに接近したことを
    管制塔に知らせる」
     「Osaka tower Japanair123 approaching outermarker.」
    (大阪管制塔、こちらは日本航空123便、アウターマーカーに接近中)
ピー  「操縦士は、アウターマーカーを通過すると、
     Japanair123 outermarker. と管制塔に報告するんだね」
パパ 「管制塔は、問題がなければ 
    Japanair123 continue approach.と指示する」
    「高度は800mくらいかな」
ピー  「滑走路への進入継続承認だね」
パパ 「で、滑走路から1Kmのミドルマーカーを通過した時点で、
    機長は着陸するかどうかの最終決心をするんだ」
ピー  「決心? えらく大層なことなんだね」
パパ 「だから飛行機には怖くて乗れん」
ピー  「これから先は、操縦士の技量に頼る着陸かぁ。何か不安だね」
パパ 「この時点で滑走路が視認できなければ、着陸のやり直しだ」
ピー  「滑走路が見えない? 恐ろしい!!!」
パパ 「何かが間違っているか、変なんだ。機械の故障かも知れない」
    「その時機長は、Go around. Max power. Flap20. Gear up.
     Contact tower.」
    「(着陸やり直し!エンジン出力最大!フラップ20!車輪格納!
     管制塔と交信!)と叫んですぐさま上昇するんだ」
ピー  「手に汗にぎるね」
パパ 「乗客は酒を飲んでまだ寝ているが、コックピット内は大騒ぎだ」
    「ま、通常は管制塔からの Clear to land runway 02. 
    (滑走路02への着陸に支障なし)ということで、着陸を決心する」
ピー  「通常がいいよ。冷汗が出る」
パパ 「後は、対地接近警報シテムが、電波高度計の高度を操縦士に
    自動音声で知らせてくれる」
    「機長は、高度10mくらいで操縦桿を引いて機首を上げ、減速
    させながら着陸するんだ」「車輪が接地すると同時に機長は、
    逆噴射でブレーキをかける」
ピー  「ふ~、やっと一安心だ」
パパ 「ここで管制塔は、Japanair123 contact ground 121.0.
    (日本航空123便、地上管制と交信せよ)と指示を出す」
    「で、地上管制官は、日本航空123便をターミナルまで誘導して
    終わるのさ」
    「極簡単に羽田から大阪空港までのフライトを説明したけど、
    実際はもっと複雑な交信をやりながら飛んでいるんだよ」
ピー  「世界中同じ方法で飛んでいるの?」
パパ 「同じだよ。交信内容も殆ど紋切り型だね」
    「長くなるから国際線のやり取りは、またの機会にしよう」