2016年6月18日土曜日

告知




脾臓にできた血管肉腫。
進行が早く、転移性の高い悪性の腫瘍。

獣医師から告げられた、ピートの病名です。


血液検査で貧血が分かり、
レントゲンやエコーをはじめとする精密検査の結果、
昨日、告知を受けました。

腫瘍の範囲は、脾臓に限られているとみられ、
肝臓や腎臓、その他の臓器については、
血液検査を含め、すべて正常でした。

ただ、貧血が認められるということは、
腫瘍からの出血を意味し、
さらに、血管内部で増殖し続ける癌細胞は、
血流にのって、すでに全身に散らばっている・・・

獣医師から受けたここまでの説明で、
私は、ハンマーで強打されたような衝撃を受け、
全身の血の気が引き、
その場に立っているのが精一杯でした。
すでに、頭の中は真っ白になり、
この後の病状の話は、ほとんど覚えていません。


引き続き、今後の治療についての説明を受けました。

まず、外科的治療として、脾臓と共に腫瘍を切除する。
続いて、全身に散らばっているであろう癌細胞を
抗がん剤でたたく方法。

「間もなく、13歳のピート君に、このやり方は、お勧めしません。
やったとしても、苦しい思いを強いたうえに、
完治を望むことは、非常に厳しいと思います。」

獣医師の静かで穏やかな説明をうわの空で聞きながら、
私の頬には、涙が止まることなく流れます。


「分かりました。
積極的な治療は、選択しないことにします。」
と言う私に続き、

今まで、ずっと黙って聞いていた夫が、
「これから、どのような経過をたどっていくのでしょうか。」
と、一言。

「体内にある腫瘍が、突然、破裂出血し、
そのまま、意識がなくなってしまう可能性があります。」
それが、答えでした。


「後、どれくらい生きられるか。」を、
夫も私も、最後まで口にしませんでした。

獣医師も、余命のことは、
具体的に何もおっしゃいませんでした。
有り難かったです。




ピートの身体の現状を
理屈では、充分に解ったつもりです。
でも、まだ、その現実を受け入れられません。

ピートの年齢からして、
いつかこんな日が来るかも知れないことを
ぼんやりと覚悟してはいましたが、
それが事実となると、
到底、受け入れられるものではありません。



大好きなお友達に出逢うと、
たちまちガウガウを始めるピート。

食べ物の気配を感じると、
すぐに食活モードのピート。

パソコンに向かう私の傍で、
今も、ピートは、大の字で眠っています。


普段と何も変わらない暮らしの中で、
ピートの身体が癌に蝕まれ続けることを
認めたくありません。

何をしていても、訳もなく、ずっと涙がこぼれます。



ピートには涙を見せず、笑顔を向けてやること。
今は、これだけで精いっぱいです。