2008年8月30日土曜日

ピートとパパの会話(JAZZ編その12)


ピー 「今日は、アルテックの話だったね」
パパ 「アルテック(ALTEC)というのは、米国の音響メーカーだよ」
    「主に業務用音響機器の製造・販売で世界的に有名だ」
    「劇場や映画館、録音スタジオに機器を納入している」
    「長野オリンピックの音響設備もアルテックの機器だった」
ピー 「アルテックとパパとの関係は?」
パパ 「数年前、秋葉原のビンテージオーディオを扱っている店で、
    ALTEC 604Cというモニタースピーカーの音を聴いたのが
    事の始まりだよ」「それ以外は無関係だ」
ピー 「ほう、どんな音だったの?」
パパ 「そらもう、度肝を抜かれたね」「ジャズのサックス演奏
    だったけど、音が極めて鮮明で、これぞジャズという
    音色だった」
ピー 「それで購入したの?」
パパ 「いや、パパが購入したのは、銀色のスピーカーボックスに
    入った604Eという口径38cmのモニタースピーカーだ」
    「スピーカーボックスの名称は612Aで、通称銀箱と
    呼ばれている」
    「604Eは、少し前までスティービー・ワンダーのスタジオ
    でも使用されていたんだよ」
ピー 「で、音質は?」
パパ 「家庭用の甘いサウンドに慣れた耳には、恐ろしく鮮明で、
    強烈なハイパワー・サウンドとして聴こえる」
    「例えば、中島みゆきの'希望の星'は、曲の出だしに太鼓が
    鳴るんだけど、その音圧に飛び上がるほど驚くよ」
    「しかし、家庭用スピーカーで聴くと、何でもない太鼓の音だ」
    「これが同じCD音源から出てくる音とはとても思えない」
ピー 「音が大きいのかな」
パパ 「音の大きさではなく、恐ろしいほどのエネルギー感だね」
    「そらもう、実際に体験しないと分からない音だけど、自動車で
    言えば、F1とセダンが競争しているくらいの差がある」
    「世界がまるで違う感じだ」
ピー 「プロフェッショナルの現場では、そんなのが使われているの?」
パパ 「そうだよ、ALTEC 612A+604Eは、50~60年代の米国及び日本
    のスタジオ標準モニターだった」「このスピーカーによって、
    多くのヒット曲が編集され、世に送り出されたんだ」
ピー 「ジャズもそう?」
パパ 「勿論だよ。マイルスやコルトレーンも、604Eでプレーバック
    される音を聴きながらジャズを演奏したと思うよ」
ピー 「そうか~、マイルスも聴いていたスピーカーかぁ」
パパ 「うん、全ての曲が604Eで作られたとは限らないけどね」
    「そもそもモニタースピーカーと言うのは、音の監視を行う
    スピーカーのことなんだ」
    「だから非常に繊細な音が出るんだよ」
ピー 「どういう事が分かるの?」
パパ 「この前、604Eで 'アニタオディ' のボーカルを聴いていたんだ」
    「その時、左右から出る声の音質が異なって聴こえたんだよ」
ピー 「ステレオだから左右で音質が異なって当然じゃん?」
パパ 「ボーカルは、声が左右に分かれていても、同じ音質で聴こえる
    のが普通だよ」
    「で、右側から出る声が、ほんの少しサ行がきついんだ」
    「この時、右スピーカーからは、同時にシンバルの音が出ていた」
    「つまり、トラックダウンを行うミキサーが、シンバルの音を
    強調するために、ほんの少し右側の高音部を持上げる操作を
    したんだ」
    「だから、右側から出るアニタの声も、その操作につられて
    高音部が少し持ち上がり、サ行がきつくなったのさ」
ピー 「モニタースピーカーで聴くと、そんなことまで分かるの?」
パパ 「そ、制作者の意図が聴き取れる」
ピー 「やっぱり曲じゃなくて音だけを聴いてるねー」
    「だから大袈裟なスピーカーでないと満足できないんだよ」
パパ 「なるほど、自分では気が着かないことだなぁ」
ピー 「大体素人ほど大袈裟な装置で聴いているんじゃないの~?」
    「604Eは、音を編集するスピーカーであって、その為の単なる
    道具だと思うね」「音楽を楽しむスピーカーじゃない気がする」
パパ 「おっ、パパの言ってきたことを理解していると言うか、
    辛口の意見でもあるな~」
    「最近さ、604Eで編集された音を604Eで聴いても、
    何の意味も無いんじゃないかって、思ってもいる」
    「何故なら、家庭用スピーカーで聴いても問題が無いように
    604Eで編集するのであって、その集大成は家庭用スピーカーで
     聴いてこそ意味を持つ、と思う」
ピー 「604Eで音楽を聴くのは、単なる分析趣味だよ」
パパ 「そのとおりだね、機材マニアの部類だ。ハハハ」
    「ただね、アルテックのモニタースピーカーの音色は、
    ジャズに向くんだな~、これが」
    「次回は、ジャズとスピーカーの音色について話そう」