2008年8月6日水曜日

ピートとパパの会話(JAZZ編その4)I have a dream.


パパ 「夏休みは面白かったかい」
ピー 「非日常体験だったねー」
パパ 「ところで、前回話したマイルスを覚えている?」
ピー 「クールの誕生だろ」
パパ 「そうそう、これ以降ジャズは、ちょっと違った方向を
     向くんだ」
ピー 「ビーバップとの決別?」
パパ 「いやいや、ビーバップの即興スタイルはそのまま
    踏襲するん だよ」
ピー 「そうか、マイルスの出現で、ジャズは都会的センス
    を持つようになったんだね」
パパ 「これは、マイルスの育ちの良さからくる美学とも言える」
ピー  「クールでブルーな感性だね」
パパ 「ところがじゃ、マイルスは直ぐにゴスペルとかを取入れた
    大衆的なハードバップに移っていくんだよ」
    「その後、旋律を重視したモードジャズちゅーのを創るんだ」
    「ここでも即興演奏のスタイルは変わらないけどね」
ピー 「もう何だか分からん」
パパ 「更にクールジャズから派生した白人中心のウェスト コースト
    ジャズってのも出てくる」
     「チェット・ベイカーなんかがその筆頭だよ」
ピー 「流派の百花繚乱だね」
パパ 「だが、ビーバップから始まった即興演奏は、概ねどの流派でも
    その都度演奏が若干異なるという問題がある」
    「マイルスで言えば、同じ'ウォーキン'の演奏でも、54年と
    60年では、60年の演奏の方が遥かにエキサイティングだね」
ピー 「そりゃ問題だよ。同じ曲のCDを幾つも買わなきゃならない」
パパ 「はは、クラシックだって、指揮者によって曲の雰囲気が
    がらっと変わるよ」 「そこが面白いんだな」
ピー 「そうか、そういうものか、音楽ちゅーのは」
パパ 「そしてジャズは、この頃からキング牧師の公民権運動の
    影響を受け始めるんだ」
    「信じないかも知れないけど、この時代の黒人はゴミ以下の
    扱いを受けていたんだ」
    「演奏ギャラからして全て白人が支配していたし」
    「で、ジャズを黒人の手に取戻そうという運動が起こる」
ピー 「ジャズも時代を反映するんだね。で、階級闘争に発展?」
パパ 「ジャズはそんなに過激ではなく、平和的な運動をするんだ」
   「曲に公民権運動のタイトルを付けたりする。ベース奏者の
    チャールズ・ミンガスのようにね」
   「その後、キング牧師のワシントン大行進を経て、黒人プレーヤーも
    次第に公民権を取戻して行くのさ」
ピー 「なーるほど、表題にある有名な'I have a dream'の演説だね」
パパ 「しかし、白人であっても人種差別をしない尊敬すべき人物もいた」
    「俳優のグレゴリー・ペック、プロデューサーのノーマン・グランツ、
    ジャズ歌手のヘレン・メリルなんかだな」
ピー  「ヘレン・メリルは、日本に住んでいたこともあるんだろ」
パパ 「よく知ってるね。日本語もうまいよ」
    「その後ジャズは、フリージャズ、ロックを取り入れたフュージョン、
    そしてワールドミュージックへと進化していく」
ピー  「ふ~、まだ続くの?」
パパ 「次回は、日本人ジャズプレーヤーが抱える根本的問題やロックとの
    関係を考察しようぜ」