2009年4月14日火曜日

ピートとパパの会話(その52 楽しくない話題)


ピー  「写真のおっさんは何?」
パパ 「キューバ革命の戦士で、ボリビアで死んだチェ・ゲバラだ」
ピー  「何の関係なの?」
パパ 「社会不安が増大してくると、こういうおっさんが出てくる」
ピー  「ふ~ん・・・」
パパ 「さて、最近の景気悪化で派遣労働のことが問題になって るね」
ピー  「問題って?」
パパ 「派遣の打切りとかさ。要するに失職して食えなくなる」
ピー  「何故派遣労働ってあるの?」
パパ 「そらもう資本の論理で、コスト削減の最たるものだ」
    「低賃金で働いて貰い、正社員のような保障もしない」
    「その分製品価格が下げられるというもの」
ピー  「それは理解できるけど、どうして日本はこうなったの?」
パパ 「日本の産業構造は、輸出主体だ」
    「昔は、日本全体が低賃金だったし、充分安いコストで
    輸出が可能だった」
ピー  「ほう」
パパ 「首都圏以外は安い労働力の供給源だったし、工場を地方に
    建設することで、農閑期の季節労働者や期間工とかの
    安い労働力を確保することができた」
    「高度成長期でもあったしね」
ピー  「安い労働力ね~・・・」
パパ 「ところがバブル期に、日本の労働賃金は世界一になった」
    「で、国際競争力が低下し、日本製品は高くて売れなくなった」
ピー  「それで低賃金の派遣労働者に切替えたの?」
パパ 「日本の製造業は、自動車産業を始めとする輸出主体だろ」
    「それ以外の産業は、内需型だから多少のコスト高でも市場に
    吸収する 余力がある」「事実、内需型産業の製品価格はUPした」
ピー  「分からないな~、輸出型は何故問題なの?」
パパ 「国際価格というものがあり、中国製が一番安い」
    「日本が70年代の賃金のままなら、派遣という労働形態を取ら
    なくても、充分国際競争力があった筈だよ」
ピー  「そうか、国際競争力の問題ちゅーか、コスト競争なんだね」
パパ 「んだ、だから製造業に低賃金派遣労働を許可する必要があった」
    「しっかしまぁ、派遣会社は物凄い中間搾取をしているね」
    「不必要な会社とまでは言わないけど」
ピー  「行政サービスの一環として国ができないのかなぁ」
パパ 「あの程度ことなら、行政で幾らでも可能だよ」
    「派遣会社は儲けすぎだし、労働者に何の保障も与えない」
ピー  「となるとさ、中国の労働賃金が上昇しないと、日本の派遣労働の
    問題も解決しないということ?」
パパ 「当たり、中国だけでなく世界中の労働賃金の水準が同じに
    ならないと、この問題は根本的に解決しないね」
    「何故なら、企業はコストの低い方へ流れて行くからさ」
ピー  「う~ん、産業構造を内需型に変えていく必要があるのかなぁ」
パパ 「それだけでは、景気変動における相対的過剰人口を吸収できない
    かも知れない」
ピー  「相対的過剰人口?」
パパ 「その時の労働市場において、労働力が供給過剰の状態になって
    いることを指す」
ピー  「どうするのさ」
パパ 「簡単には分からん」「これはマクロ経済の問題だ」
    「先ず内需型にするなら、海外からの安い労働力に依存しないで、
    日本人の労働者を正規雇用すべきだね」
    「産業構造を国内自己完結型にするんだ」
    「それと、全業種で派遣労働の形態を禁止すべきだね」
ピー  「それって保護主義じゃないの」
    「で、輸出産業は?」
パパ 「コスト高になるなら、積極的に海外生産を増加させないとね」
    「輸出依存の製造業は、70年代から生産を海外へシフトしだした」
    「先ず韓国から始まり、台湾、フィリピン、そして中国」
ピー  「中国って共産圏だろ?」
パパ 「中国は、改革開放と市場経済の導入により、外国資本に製造
    拠点と品質が悪い安価な労働力を提供したんだ」
    「ま、社会主義経済崩壊の軟着陸だ」
ピー  「う~ん、一党独裁による国家資本主義かぁ」
    「資本には有利に働くが、中国の一般大衆は劣悪な労働条件下に
    置かれるね」
パパ 「おっ、ピートも分かってるじゃないかぁ」
    「大体やね、コストだけで中国やインドと競争するなんて無理だ」
    「日本は、高品質低価格で勝負に出なきゃね」
ピー  「ほんで、パパの言う相対的過剰人口は、市場の状況によって
    変化するんだろ」
パパ 「そ、景気循環によって雇用も増減する」「米国の購買力が低下
    すると、真っ先に日本や他のアジア諸国の雇用が悪化する」
    「こういう雇用調整で失業する人々を産業予備軍と呼ぶ」
ピー  「おー、資本論じゃんか~」
    「雇用される機会を待っている哀れな労働者、産業予備軍か」
    「どうにかならないの?」
パパ 「国際分業という手があるが、各国の協力が必要だね」
    「各国が保護主義に動いている現在、とても無理な話だ」
ピー  「処置なしかぁ」「マクロ経済屋はん、何とかしなはれ」
パパ 「最近、とても心配してることがあるんだ」
ピー  「何?」
パパ 「労働者の左傾化だ」「こんな過酷な労働社会が継続していくと、
    イデオロギーの芽が出てくる」
ピー  「イデオロギー? 暗いイメージがあるなぁ」
パパ 「昔、鈴木ムネオ氏と何やら組んでいたロシア担当の外交官が
    いたろう」
ピー  「ああ、佐藤さんね」
パパ 「あの人がさ、面白いことを言っていたんだなぁ」
    「資本主義の発展には二つの必要条件があって、一つは先鋭的な
    労働組合。もう一つは労働者階級に対する教育だってさ」
ピー  「え~? 資本と労働は相対批判の両極じゃない」
    「なのに資本主義の発展には労働組合が必要?それも先鋭的?」
パパ 「いやいや、資本は労働から批判されることによって、賃金や
    労働条件を見直す」「それによって社会も発展する」
    「資本と馴れ合いの労働組合では、何の発展も期待できないね」
ピー  「そういう考え方もあるのか、なるほど論理的な歴史観だ」
    「教育は?」
パパ 「労働者に教育の機会を提供すると言うことは、資本に奉仕する
    次世代の優秀な労働力の再生産を意味する」
    「ま、後進国では無理だろうね」
ピー  「だから後進国では、資本主義が発展しないのか~」
パパ 「この二つの条件が揃わないと、資本主義は滅亡するってさ」
    「低賃金の派遣労働に依存していると、この二条件を満足でき
    ないから、そのうち日本の資本主義は滅亡するぞ~」
ピー  「それは避けるべきだよ」
パパ 「極論すれば、派遣会社は派遣労働者を自身で正規雇用すべきだ」
    「社会保険も全て派遣会社が保障する。派遣の仕事が無いのは、
    派遣会社の営業責任だからね」
ピー  「派遣会社にも、社会的責任を義務付けるんだね」
パパ 「そうだよ、現状の派遣会社は労働搾取の何ものでもない」
    「この状態を放置すれば、マルキストの格好の攻撃材料になる」
    「社会が不安定になってくるよ」
ピー  「パパは社会主義が嫌いなん?」
パパ 「好き嫌いの問題じゃなく、社会主義は権力に利用されるからね」
    「テポドンの国を見てごらんよ」
    「しかし、純粋学問としては興味が沸く対象だね」
    「次回は、企業教育について語ろうか」