2009年4月22日水曜日

ピートとパパの会話(その53 企業教育とは・・・)


パパ 「さてと、今回は企業教育について語ろう」
ピー  「パパも企業で教育を受けたの?」
パパ 「そらもう企業では、入社から定年に至るまでの
    教育プログラムが用意してある」
ピー  「で、その教育ちゅーのが役に立つの?」
パパ 「教育内容によるね」
    「例えば女子社員の場合、入社時に接遇訓練があった」
ピー  「何よそれ?」
パパ 「お茶の入れ方とかお客に対する応対とかの訓練さ」
    「現在では均等法の関係で法律違反だ」
    「こういう企業教育で一番有名なのは、帝人教育部だな」
ピー  「パパが受けた教育は?」
パパ 「入社時は、情報部門に放り込まれてソフトウェアや
    ハードウェアについて1年間教育されたね」
ピー  「パソコン教育だね」
パパ 「いやいや、パソコンとは比べ物にならない専門教育じゃった」
    「行列算法やブール代数、OR、計量経済モデルを使ったシミュ
    レーションもやったな」
ピー  「まだ覚えているの」
パパ 「わしゃ専門じゃないけん、全部忘れたとしておこう」
    「まぁ、管理職になるまでは、このような業務に直結した
    専門教育を毎年受ける」「マーケティング、生産管理、
    工程管理、システム設計、プログラミング、等々」
ピー  「管理職になるときの教育は?」
パパ 「管理職試験を受けるため、色んな教育を事前に受講する」
    「その後、テーマを決めて実際にやるんだ。原価削減とかね」
    「大体3ヶ月から半年かかって成果を纏めて取締役の前で
    発表するんだ」
    「その間、何冊もビジネス書を読んで、レポートを纏めたりも
    するんだ」「ここでは、経営ということを学ばせられる」
ピー  「大変だね~」
パパ 「しかも一発勝負だからね。試験に落ちれば二度と機会は無い」
    「凄いプレッシャーだ」
    「ノイローゼや行方不明になったり、自殺者も出たな」
ピー  「え~! 自殺者!」
パパ 「だからさ~、最近は推薦制度というか、もう少し易しくなった」
ピー  「それは教育じゃないよ。管理職は大変だね」
パパ 「ま、資本主義の矛盾が一番集中する立場だからね」
ピー  「ふ~ん、としか言いようがないよ」
パパ 「37歳を過ぎると、1ヶ月仕事を離れて教育を受けるんだ」
ピー  「1ヶ月間も教育?」「それも仕事をせずに~?」
パパ 「そ、世界の30社程を例にとって、経営スタディをする」
ピー  「どんなことをするの」
パパ 「企業倒産の原因や企業戦略の分析を行うんだ」
    「例えば、米国のヘッドスキー社の倒産原因の分析を行って、
    倒産を避けるにはどうすべきであったかを討論するんだ」
    「身近なところでは、モスバーガーの戦略分析もあった」
    「中でもテキサス・インスツルメンツのスタディは面白かったね」
ピー  「どんなの」
パパ 「あの会社は、コンシューマーエレクトロニクスに手を出すと
    失敗するんだ」
ピー  「大衆電化製品かな、でもどうしてさ」
パパ 「経営者が、技術者に電子腕時計を作れと命令したんだ」
    「しかし、技術者ちゅーのはそんなものより人工知能なんかを
    やっているほうが面白いんだな~」
ピー  「だからやる気が出ずに失敗したんだね」
パパ 「そう、コンシューマーエレクトロニクスから撤退したんだ」
    「それで株価が上がった」
ピー  「失敗したのに何故?」
パパ 「株主にしてみりゃー、これであの会社は良くなると見たんだ」
    「そういう教育を1ヶ月間やるんだ」「予習が大変だったよ」
ピー  「ご苦労さんだね」
パパ 「音楽教育もあったんじゃよ」
ピー  「企業が音楽教育?」
パパ 「日本のビジネスマンは、仕事の話ししかでけんので、あかんちゅー
    わけよ」「で、ヴェートーベンの第五をやったんだ」
ピー  「第五!」
パパ 「それも指揮者のスコアを見ながら聴くんだ」
    「実際にオーケストラの指揮者がスコアの見方を教育するんだ」
    「すると、次にどの楽器が鳴って、どのように展開して行くのかが
    分かる」
ピー  「ほほう、新たな感動が沸いてくるちゅーわけだね」
パパ 「ま、情操教育というより、緊張をほぐすために組み込んだだけさ」
    「そうだ! 東京交響楽団を指揮したいと思わんかい?」
ピー  「出来ないよー」
パパ 「百万円出せば東京交響楽団の指揮が出来る」
ピー  「嘘だろう」
パパ 「本当だ。3人ほどで組んで指揮すればいいんだよ」
    「金額も三分の一で済む」
    「さすれば、履歴書に東京交響楽団指揮と書ける」
ピー  「怪しい話には乗らない!」
パパ 「本当だって~」
    「さて、本題に戻ってと」
    「しかし、80年代の管理職教育は、グループを統率するリーダー
    としての教育に重点を置いていたね」
ピー  「イケイケドンドンの時代だ」
パパ 「90年代に入るとビジネスのスピードが速くなり、それに伴って
    企業教育も速攻的な市場独占のビジネスモデルに変化して
    いった」
ピー  「バブルを経て時代が変化したんだね」
パパ 「退職前になると、退職後の人生についての講習が2週間ある」
    「大きなお世話だよ。ったく」
ピー  「そんな講習も実施しているの」
    「それで企業教育というのは、どうだったのさ」
パパ 「数え切れないほどの教育を受けたけど、な~んも覚えとらんし、
    役に立った覚えもないような・・・」
ピー  「へっ、じゃー何のために企業は社員教育をするの?」
パパ 「ま、企業としての体裁だろうね。無駄とは言わんがね」
    「実際の教育というのは、OJTで色々実践的に学んでいくものだと
    思うよ」「総じて企業教育の本質は、如何に銭を集めてくるかを
    教えるだけだね」
ピー  「結局銭の問題か~」
パパ 「会社の先輩で、そういう企業体質が嫌になり、大学の先生に
    なった人が何人かいる」
ピー  「分からんでもないな」
パパ 「その人が言うには、俺は理学部数学科出身だが、企業に入って
    平方根ひとつ解いたことが無い。そういう企業の変な実態というもの
    を学生に教えたい。だから大学の先生になる。ということじゃった」
ピー  「次回は何?」
パパ 「考え中・・・色々ある」