2009年4月25日土曜日

ピートとパパの会話(その54 企業教育とは・・その②)


パパ 「さてと、今回も企業教育といこう。第二弾だ」
ピー  「またかいな」
パパ 「前回は、入社から定年までの企業教育の内容について
    語ったよね」
ピー  「あまり身に付かなかったとか」
パパ 「実際の仕事に関わる教育は、それなりの効果が出るよ」
    「問題は、管理職向けのマネージメント教育だな」
ピー  「何が問題なの?」
パパ 「実は、原因がよく分からないんだけど、管理職教育を受けると、
    その日から突然創造性が無くなる。合理的な考え方も出来ない」
ピー  「うん? 逆じゃないの?」
パパ 「結局、管理職というのは、労働組合の保護もなくなるし、
    企業内での立場が弱くなって、上ばかり見るようになるんだな~」
    「それが原因じゃないかと考えちょるんだ」
ピー  「ってことは、教育の問題じゃないね?」
パパ 「かも知れないな。失敗を恐れるようにもなる」
    「で、何か新しいことを始める場合、他所はどうやっているの?、
    前例は?、となる」
ピー  「非常に保守的だね~」
パパ 「一般社員の頃は、立場を恐れることなく自由な考え方が出来たし、
    その分色々な提案も自由に出来た」
ピー  「それは、教育以前の組織の在り方の問題だな」
    「組織の管理職が、失敗の責任を恐れて下からの提案を棄却
    するんだ」
パパ 「上からの指示も実行するのに時間がかかる」
ピー  「責任の回避手段を確定してからでないと実行しないんだ」
    「それでは新しいことが出来ないね~」
    「それが管理職教育の問題点にすり替わっているんじゃないの?」
パパ 「鋭い指摘だ」「組織の矛盾が教育を阻害しているというか・・・」
ピー  「う~ん、ビジネスモデルだけが教育じゃないよ」
    「そういう問題解決法も教育内容に入れるべきだ」
パパ 「今日のピートは、なかなか冴えちょるね」
    「パパは、ビジネスモデルの教育にも問題があると考えているんだ」
ピー  「ほう、どんな?」
パパ 「ビジネスモデルは、欧米企業の考えたものが基本になっている」
    「それが日本に紹介されると、大抵の経営者は大層有難がって、
    即導入せよ、となる」
ピー  「それで欧米の企業教育会社が儲ける。という構図かな」
パパ 「そういうこと。しかし、問題はそれじゃない」
    「日本企業でビジネスモデルを考え出す事が出来ない点だ」
ピー  「パパが言いたいのは、ビジネスモデルを考え出す教育をしないと
    駄目だということだね」
パパ 「そうだす。でも難しいぞ~、文化の違いでもある」
ピー  「文化の違いって?」
パパ 「考えてごらんよ。日本人は、和服じゃなく洋服を着ている」
    「産業革命以降、現代ビジネスの基本を考え出したのは欧米だ」
    「日本は、先進欧米のビジネス方法や技術を吸収して発展した」
ピー  「基本は欧米が持っているということ?」
    「だけどさ、日本には自動車産業とか家電とか世界のトップ企業が
    沢山あるじゃない」
パパ 「それらは全て欧米が創り出したものだ」
    「日本の技術は、それらを改良して付加価値を付けたに過ぎない」
    「日本は、欧米の上に乗っかってビジネスをしているだけさ」
    「そこにだね、日本人が和服じゃなく、洋服を着だした本質的な
    意味合いがある」
ピー  「ふ~む、本質かぁ」
パパ 「あのね、パパの奇人変人仲間は、よくまーこんな事を考え出す国と
    戦争をしたもんだ。と何時も言う」
ピー  「第二次世界大戦だね。でもどういうこと?」
パパ 「例えば、憎っくきB29に搭載していた無線機は、ボタン一発で
    自動同調した」「日本は専門の通信兵がメーターを見ながら
    手動で無線機の同調操作を行っていた」
ピー  「米国は合理的だねぇ」「そら戦争に負けるわ」
パパ 「パパも趣味で米軍の無線機をメンテナンスしたことがあるけど、
    物凄くシステム化されていて合理的な設計だったね」
ピー  「なるほどね~、そいう独創的な発想はどこから生まれるのかな~」
パパ 「それを見つけ出さない限り、欧米には敵わないよ」
    「日本も欧米のビジネスモデルを追っている教育だけじゃ無理」
ピー  「でも、アニメとかゲーム産業は、日本のお家芸だろ」
パパ 「戦後の新しい産業だからね」「しかし、技術の本質は欧米にある」
    「ただ日本が勝ち誇っているのは、その開発体制にあると感じて
    いるんだ」
ピー  「ほう、独創的な開発体制なの?」
パパ 「ちゃう、オーナーのおやっさんが、たまたま自由な体制で開発
    させたのさ」
    「サラリーマン的な勤務体制を排除したんだ。それが実を結んだ」
ピー  「何のこっちゃ?」
パパ 「ある時、あるメーカーに所属している管理職と話していたんだ」
    「ほたらね、その管理職が愚痴を言い出して、奴ら開発担当者は
    毎日ブラブラしくさって、どうにかでけんもんかね? と相談を持ち
    かけてきたんだ」
ピー  「ほうほう」
パパ 「で、彼等を会社員として勤務評定したらあかん。彼等は自由な中で
    仕事をしてこそ新しい発想を生み出す。ブラブラも仕事の内だよ」
    「彼等を投資の対象だと見ればいい。と言ったんだ」
ピー  「すると?」
パパ 「ま、滅私奉公のサラリーマン的な発想をすると、納得がいかない
    と思うよ。でも、社長が許しているからしゃーないねぇ」
ピー  「オーナー企業だからこそ自由が許されたのかも知れないね」
パパ 「日本は、企業の実情に沿ってサラリーマン的な企業体質や教育を
    見直した方が良いのかも知れないな」
ピー  「成果主義を導入するとか?」
パパ 「よし、次回は成果主義について語ろう」
ピー  「パパの本職は何なん?」
パパ 「単なる水飲みサラリーマンじゃった」
    「ほら、士農工商サラリーマンって言うじゃない」
ピー  「またそういう冗談を言う」