2010年3月11日木曜日

ピートとパパの会話(その88 教育と先生の組合Ⅰ)


ピー  「左の人は誰? ↑」
パパ 「日教組の初代委員長である羽仁五郎だよ」
    「ベストセラー’都市の論理’の著者でもある」 
ピー  「この前さ、教育について話そうって言っていただろう」
パパ 「ああ・・それで?」
ピー  「ちょっと気になってさ~」
パパ 「北海道にある先生の組合の件かい?」
ピー  「そう、一体先生の組合って組織は何なん?」
    「平和教育を考える組織って聞いていたけど・・・」
パパ 「そのようだね・・・。でも、ちとね~・・・問題が・・・」
ピー  「それにさ、国旗・国歌に反対しているだろう。どうしてなの?」
パパ 「先ず、先生の組合が何故出来たのか? だが~・・・」
    「戦後、連合国の命による民主化の一環として、1945年に
    結成された」
ピー  「組合が連合国の命で結成されたぁ?」
パパ 「日本の軍国主義教育よ、さようなら~。と言う訳さ」
    「これを機に先生達は、一つの反省と一つの権利を主張した」
ピー  「その反省と権利とは?」 
パパ 「むか~し、先生達は、教え子を天皇の名の下に戦場へ送り出し、
    その多くを死なせてしまった。と、語っていた」
    「そういう軍国主義の片棒を二度と担がないという反省が一つ」
ピー  「なるほど、昔の先生は、軍国主義教育を行っていたんだ」
パパ 「その主体が皇国史観としての天皇であり、軍国の御旗となったの
    が、日の丸と君が代だったという解釈だよ」
ピー  「でもさ、日本の国旗・国歌が軍国主義とは思えないけどねぇ?」
パパ 「日の丸は軍国当時の国体を体現しているし、君が代も然りという
    考え方だよ」
    「因みに、同じ敗戦国であるドイツ国歌は、ワイマール共和制時代
    のものだよ」「1番の歌詞はナチス時代に使用されたからペケ」
    「で、現在は3番の歌詞を国歌として採用している。旋律は同じだ」
ピー  「1番とか3番とか、どの国も似たようなもので、その国が絶頂期
    だった頃の国歌を忘れられないと見えるのう~」
パパ 「3番は、東西ドイツの統一を願う意味が含まれていたからだよ」
  これがドイツ国歌
  これはソヴィエト連邦共和国の国歌(ロシアになっても旋律は似ている)http://www.youtube.com/watch?v=kERsiFGUugI&feature=PlayList&p=E3DED6265739154A&playnext=1&playnext_from=PL&index=29  
ピー  「インターナショナルじゃないね」
パパ 「それは1943年までのソ連国歌で、現在は党の歌になっている」
    「インターナショナルは、歌った覚えのある人も多い筈だ。ヒヒ」
ピー  「それで先生の組合は、君が代 の何を問題にしているの?」
パパ 「君が代とは、’天皇の世’と言うことなのさ」
    「千代に八千代にと言うのは、天皇の世が千年も八千年も続くと言う
    意味だよん」「元々は古今和歌集の短歌だと習ったなぁ」
ピー  「君が代は、天皇家の繁栄を歌っているのか~」
    「すると、憲法で規定する主権在民と君が代は矛盾するじゃんか?」
パパ 「ま、理論的にはそう言う事になるね」
    「だから先生の組合は、一家系の繁栄のみを歌った国歌に猛反対
    するんだわさ」「それと、戦争にも使われたから余計にね」
    「しかし、この憲法矛盾は、日本と同じ立憲君主国であるイギリスや
    ベルギーでも同様に存在する」
ピー  「憲法に理論的な矛盾があるにしても、結局のところ、その国の
    歴史や国民性に重きを置かないと駄目だよ」
    「憲法解釈は、そのようにあって欲しいと、おいらは望むねぇ」
パパ 「日本の歴史と国民性かぁ、そうかも知れないなぁ」
    「そこんとこは、憲法学者と歴史学者に任すとして~・・・」
ピー  「ほと、組合結成の一つに、軍国主義教育への反省があったんだ」
パパ 「しかし、天皇制の維持には、軍国主義を復活さす意図があると、
    組合は未だに考えている」「つまり、教育は何時でも反動化する
    という恐怖心だ」
    「んでもって、国旗掲揚にも国歌斉唱にも反対する立場をとる」
ピー  「ほ~ん?、文部科学省の教育方針にも反対するのは何故?」
パパ 「教育方針の上意下達は、過去の軍国主義教育の強制と同じだと
    いう考え方からだよ」「上意は体制に都合の良い内容であるからして、
    民主教育に反する。だから、教育方針は教育現場で考えよう、と」
ピー  「おいらから見れば、被害妄想というか、考えすぎだと思うがねぇ」
    「今の小沢どんの方が、よほど反教育的だよ」
パパ 「ところがじゃよ、この考え方というか、先生の組合がイデオロギー
    に利用された、とパパは考えちょる」
ピー  「利用された? どういうことなのか知らん?」
パパ 「むか~し、彼の国のレーニンという人が、戦争が勃発する原因は
    帝国主義にあると言い出した」
ピー  「帝国って、また古臭い」
パパ 「帝国主義ちゅーのは、自国の経済的拡張を図るため、軍事力で
    他国を侵略するものなんだ」
ピー  「他国を軍事侵略、そらあかん」
パパ 「レーニンは、帝国主義論の中で、資本主義が最高段階に達すると
    帝国主義に向かうと説明している」「1900年頃の考え方だがね」
ピー  「資本主義の最高段階が帝国主義~? 何のこっちゃ?」
パパ 「簡単に言うと、資本主義は拡大再生産によって発展をしていく
    から、必然的に他国に市場と資源を求めざるを得なくなる」
ピー  「拡大再生産って?」
パパ 「物を生産して利潤を得、その利潤を投資に使って更なる
    生産拡大を行うことだよ」「ま、自転車操業のようなものだね」
ピー  「ほと、より多くの利潤を得ようとすると、自国だけでは市場も
    資源も足らなくなって行く?」
パパ 「すると、市場と資源を求めて帝国主義同士の戦争が始まると
    いうのが、革命家レーニンの筋書きだ」
ピー  「第二次世界大戦は、経済覇権を争う帝国主義戦争だった?」
パパ 「レーニンは、それを独占資本による経済拡張の結果だと言った」
ピー  「独占資本とは何ぞや?」
パパ 「独占資本は、20世紀初頭に登場した巨大資本形態で、銀行資本
    と産業資本の融合と集中の結果生まれた」「つまり財閥だ」
    「この財閥と国家が結びついて帝国主義が生まれる」
ピー  「ほほう、だから資本主義の最高段階が帝国主義となるのかぁ」
    「すると、帝国主義が消滅しない限り、戦争は無くならないと?」
パパ 「レーニンの考えではね」「だから平和教育を目指す先生の組合は、
    反帝国主義の観点から、イデオロギーを信奉することとなった。
    とパパは考えているんだ」
ピー  「ほう、イデオロギー綱領の抵抗し難い誘惑だな~」
    「先生の組合は、それに乗っちまったんだ」
パパ 「ところが、イデオロギーは平和主義でもなんでもないんだなぁ」
    「北方四島はソ連に軍事占領されたままだし、中国は資源確保の
    ため南方諸島の領有権を主張し、島に軍事基地を建設したし」
ピー  「なんじゃ? イデオロギーも帝国主義と何ら変わらんじゃないか~」
    「これはもう、教育の中立性を考えねば」
パパ 「その教育が、特定のイデオロギーを信奉する先生によって歪めら
    れている気がしてならない」「民主の玉の輿とかさ~・・」
ピー  「玉の輿は、教育の中立はあり得ないと言っていたよね~」
パパ 「裏を返せば、教育現場で社会主義教育を行いますよ、と宣言した
    ようなものだよ」「鳩やんが慌てて取り消したがね」
ピー  「イデオロギーに利用されるとは、そういうことかぁ」
パパ 「その後、先生の組合は階級闘争へと突き進むことになる」
ピー  「で、もう一方の権利主張とは?」
パパ 「お腹が空いたから次回にしよう」
ピー  「ごはんだね! 賛成、賛成」