ピー 「ジャズ用のスピーカーってあるの?」
パパ 「何処のメーカーも、ジャズ用としては作っていないね」
「スピーカーは、大雑把に業務用と家庭用に分類される」
ピー 「どう違うの」
パパ 「業務用は、耐久性、信頼性、メンテナンス性を重要視
するね」
「更に業務用は、スタジオや放送局で使うモニター用と、
PAといってライブや劇場・映画館で使うものに分かれる」
「PA用は、音を遠くへ飛ばすことを目的に設計されるんだ」
ピー 「家庭用は、おいら達が家で聴くスピーカーだね」
パパ 「家庭用スピーカーは、何よりも耳障りが良いように設計
調整してある」「何を聴いても問題なく再生するね」
「車で言えばセダンかな」
ピー 「家庭用にもモニタースピーカーってのがあるね」
パパ 「それは名前だけだね」「本物のモニタースピーカーは、
全く素性が違うよ」
ピー 「素性って?」
パパ 「先程も言ったように、家庭用スピーカーは音質にかなりの
細工がしてあるんだ」
「低音増強や高音増強の措置を行ったり、綺麗な音で聴こえる
ように、ある周波数帯域のみを強調・減衰させたりするんだよ」
「数百万円の高級品でも、家庭用は細工を施してあるようだ」
「その細工度合いによって、各々のスピーカーの音色が
若干異なってくる」
ピー 「ふ~ん、業務用のモニタースピーカーは?」
パパ 「家庭用と違い、音質に影響を及ぼすような細工はせず、
只々高忠実度設計になっている」
「だから、世間で言う綺麗な音とか良い音はしないね」
ピー 「え~っ!、どうして? モニタースピーカーだろ」
パパ 「ふふ、モニタースピーカーはね ' 正しい音 ' がするんだよ」
「ここが重要」
「スタジオでは、スピーカーで音をモニターしながらレコードや
CDを作るから、正しい音が出ないと音楽編集も正しくできない」
ピー 「その正しい音って?」
パパ 「録音時の音が、ありのまま再生されることだよ」
「だから録音がマズイと、その音がモロに出てくる」
「家庭用スピーカーでは、この音のマズさを聴き取れないんだ」
「それに、出来上がった音楽媒体は、放送局や劇場でも使用
するから、変な音で作成されていると問題になるんだよね」
「演奏者にも失礼だよ」
「海外製品なんかで粗悪品もあるけどね」
ピー 「エエ加減な音では駄目なんだね~、プロは厳しいなぁ」
パパ 「家庭用スピーカーは、そこまで緻密な音楽再生を必要としないから、
音の繊細さに乏しいね」
「これは、本物のモニタースピーカーを聴いて初めて分かることだよ」
ピー 「だからおっ母が、普段聴いているスピーカーは霧がかかったように
聴こえる、と言っていたのかぁ」
パパ 「そうだよ、おっ母も時々本物のモニタースピーカーで聴いているから、
耳が肥えてきたのさ」
「正しい音とは、物凄く鮮明に聴こえることでもある」
「でも、本物で聴くと緊張するし、家庭用のスピーカーの方が遥かに
リラックスして音楽を楽しめるよ」「音じゃなく曲を聴くんだから」
ピー 「うちにある家庭用スピーカーって?」
パパ 「米国インフィニティ社のKAPPA90だよ」「2個で重量80Kg、300Wの
パワーまで耐えられる」
ピー 「そんな重いのが家庭用?」
パパ 「そう、単なる家庭用で、低音が良く出るように設計されている」
「高音も伸びやかで綺麗な音質だ」
「逆説的に言えば、音のクォリティに欠ける・・・のさ」
「人工的な音で、正しい音が出ていない」
「BGMとしてジャズを聴くなら素晴らしい音だけどね」
「ま、デザインが気に入ったから購入したんだ」
ピー 「スピーカーは外国製の方が良いの?」
パパ 「マニアの間ではそうだね」
「小型スピーカーで良い音がしたのは、英国のモニターオーディオ社
のものだったな。とても上品な音だったから印象に残っているよ」
「まぁしかし、実際に聴いたところ、家庭用は数万円から
数百万円まで、内外製品ともそんなに変わらん音だ」
「某リン社の600万円級の家庭用ステレオだって、実際に聴いた感じは
ラジカセの音と余り変わらんぜ、と言うとまた叱られるな」
ピー 「JBLはどうなのさ?」
パパ 「そうくると思った」
「日本でJBLと言えば、ジャズ向きの最高峰のように宣伝されている
んだけどね・・・・」
「家庭用のものは、他の一般スピーカーと変わらない音だよ」
「でも、昔のパラゴンとか数百万円級は別だ。エベレストなんかも
地響きがするような音だったよ。未だにこれを越える音には
遭遇しないね」
ピー 「JBLでジャズを聴くと良い音がするの?」
パパ 「ジャズだけでなく、どのジャンルの音楽でも楽しく聴けるよ」
「JBLの小型スピーカーで、1本だけ素晴らしいものがあったね。
後でその時の模様を紹介するよ」
「次回は、もう一方の雄、アルテックのスピーカーについて語ろう」
ピー 「アルテック?」
パパ 「そうだよ、滅多に聞けない与太話じゃけんね。ははは」