2008年8月19日火曜日

ピートとパパの会話(JAZZ編その8)


ピー 「パパは、いつごろからジャズを聴いとるのよ」
パパ 「ジャズを聴きだしたのは21世紀に入ってからだよ」
ピー 「まだ数年じゃんか」
    「切っ掛けは?」
パパ 「オーディオをやり出し、音質テストの為に 
    ジャズを聴き出したんだ」
ピー 「音質テストとジャズ?」
パパ 「そう、楽器が少ないから音の響きを捕らえ易いんだ」
    「トリオとかは最高だね」
    「それにソロが多いから、音階が明確に分かる」
ピー 「クラシックでは駄目なの」
パパ 「クラシックは楽曲が複雑で、音の判別が難しいね」
    「そもそも100程の楽器から音が出るし、その音が複雑に
    絡み合い、歪を起こしたように聴こえるんだ」
ピー 「その歪って何?」
パパ 「楽器が多いと音同士が干渉し、音を濁したり、
    存在しない音が発生して嫌な音になるオーディオ特有の
    現象だ」
    「その点、楽器が少なければ音も心地よく聴こえる」
ピー 「オーディオマニアにとって、ジャズとはテスト音楽に
    すぎない?」
パパ 「そう、だからオーディオマニアにはジャズ好きが多い」
    「問題は、曲を聴かずに音のみを聴いていることだな」
    「ところが、本人達はジャズを聴いているつもりだから
    始末が悪い」
ピー 「ジャズが好きなのでは無く、ジャズの音が好きなんだね」
    「変わった人々だな~」
パパ 「例えば、一曲をほんの数十秒しか聴かない。これを好みの
    音にブチ当たるまで、何枚もCDを取替えて聴くんだ」
    「だからオーディオマニアは、自分の装置に合った曲しか
    聴かない」
    「これをオーディオ病と言う」
ピー 「それこそ教条主義だよ」
パパ 「その心配はあるね。考え方が自己中心的で他を認めない」
ピー 「で、パパはどうなのさ」
パパ 「同じようにオーディオ病に掛かっている」
    「しかし、クラシックを聴いた後でジャズを聴くと、
    何と感性に乏しい音楽~・・・と感じることもある」
ピー 「何とか曲として聴いている? まだ救いようがありそうだな」
    「でも、音しか聴かないのに、どうしてジャズの歴史的背景
    なんか知っとるのよ」
パパ 「ジャズの本質を知るためさ」「この不思議な音階の正体は、
    一体何だろうという好奇心だね」 
    「それが解れば、ジャズには特別興味を引かれない・・・」
ピー 「マイルスも?」
パパ 「彼は、黒人としては特異な存在だ。だから興味があった」
ピー 「例えば?」
パパ 「'お坊ちゃま'、というくだりだね」 
    「これは、他の黒人には無い特徴だ」
    「そこから色々と思惟を巡らし、本質を導き出すのさ」
    「すると、マイルスが死を迎えるまでの、彼の中での
    ジャズの変化について、さもありなん、と理解し得る」
ピー 「何か論理的で、情緒的な音楽を聴く雰囲気じゃないな~」 
    「奇才バルトークの数学的音楽表現を分析しているようで、
    訳分からん」
パパ 「はは、そうかも知れない。これは趣味の問題だ」
ピー 「で、マイルスの内なるジャズの変化とは?」
パパ 「彼は'マーケティング能力'があった、というのがヒント」
    「後は自分で答えを導き出しなさい」
ピー 「マイルスは何度も日本に来ているね。日本が好きなのかなぁ」
パパ 「そりゃ、日本は本国の5倍のギャラを出すからね」
    「日本が好きなのでは無く、¥が好きなんだ。というと、
    下世話になるな」
ピー 「京都のジャズ喫茶、' しあんくれ~る ' のママとできていた、
    と言う噂も聞いたよ」
パパ 「これこれ、噂を信じちゃいけないよ」
ピー 「で、パパは、どれくらいジャズの曲を知ってるの?」
パパ 「演奏者数名、曲は数曲だな」
ピー 「なぬー! それでよくジャズが語れるね」
パパ 「それで充分さ、本質が解っていれば、いくらでも語れる」
    「例えば、新撰組を語るとき、近藤勇・土方歳三・沖田総司・
    芹沢鴨くらいで事足りるじゃないか。それと歴史的考察」
    「ジャズでは、その発祥要素、変化点とそれに影響を及ぼした
    人物を知っていれば良いんじゃないかい」
    「あとは流派の違いだけだな」
ピー 「ジャズ本は、主に流派の違いを記述しているね」
パパ 「誰が何して何とやら~~、だろ」
    「本質的に捉えていないから、余り興味がないね」
ピー 「しかし、ジャズマニアは、演奏者を何人知っているか、
    何曲知っているか、何流か、に重点を置くんだろ」
パパ 「ま、それも大切だろうがね」
ピー 「だけど、家にはやたらレコードやCDが多いぜ」
パパ 「元々は、ジャケットをインテリアにするために、色々物色して
    買い溜めたものだよ」「一度も聴いていないものもある」
ピー 「ちょっとあんさん、動機が変じゃないの」
パパ 「大体やね~、初心者にはどの曲を聴いていいのか分からんよ」
    「そういう時は、ジャケットのデザインで判断するんじゃ」 
    「これをジャケ買いと言い、それを趣味にする人もいる」
ピー 「奇奇怪怪だね、世の中広い!」
パパ 「ほほ、オーディオにはもっと奇奇怪怪な世界があるよ」
ピー 「面白そうだね。次回に聞かせてよ」