2008年9月4日木曜日
ピートとパパの会話(JAZZ編その13)
パパ 「今日は、ジャズとアルテックスピーカーの音色の話だよ」
ピー 「音色って何なん?」
パパ 「メチャ難しい質問だ」
「ま、楽器やスピーカーが持っている固有の音の聴こえ方
だろうね」
ピー 「音質は?」
パパ 「音に歪があるとかないとかの状態を表すことかな」
ピー 「で、アルテックの音色は?」
パパ 「残念ながら、あまり音色が無いんだよ」
ピー 「ん?」
パパ 「モニタースピーカーはね、音色が着くと音の評価ができない
から、無色になるように設計されている」
「録音された音が、そのまま出てくるんだ。仕掛けも何もない」
「ま、素うどん のようなものだ」
ピー 「なんだ、つまらんスピーカーだね」
「家庭用スピーカーは、種も仕掛けもあるんだね」
「おいらは、家庭用の方がいいな」
パパ 「それにモニタースピーカーは、 キンキンした相当きつい音
がするよ」「だから、声を張上げるようなボーカルは、
聴くのに慣れが必要だ」
ピー 「よくそんなので聴くね」
パパ 「興味の無い人には無理だろうね」
「先ず、音の大きさに驚き、そのエネルギー感に腰を抜かす」
「誰しも綺麗な音ですね、とは絶対に言わない」
「物凄い音ですね、と皆さん言わはりますわ」
ピー 「自虐的だな、おれっちオーディオやめた」
パパ 「但し、録音によるんだけどね。慣れてくれば、一聴して
アルテックに向く音源かどうか分かるようになる」
ピー 「だから、アルテック派は、再生装置に合った曲しか
聴かないんだな」
パパ 「綾戸知恵のCDに、スピニング・ホイールという曲が
あるんだけど、雷が落ちたような音がするよ」
「ド迫力というか、凄いエネルギー感だ」
「但し、知恵はんのボーカルは喧しくて聴けない」
ピー 「ま、あの人は、普段から喧しいけどね」
パパ 「バックの楽隊屋がエエ音を出しているというか、
演奏だけなら聴いていられるよ」
ピー 「そうだ、楽器の音はどうなのさ」
パパ 「スネアドラムとかシンバルの瞬発音は、リアルで、しかも録音
されたままの音が飛んでくる」
ピー 「あー、小太鼓の音か」
パパ 「スネアのブラッシングの音とか、物凄く大きく聴こえるん
だけど、家庭用スピーカーで聴くと、何故か音が引っ込ん
じゃうんだよね」
「ビル・チャーラップ・トリオのス・ワンダフルに入っている
マイ・シャイニング・アワーという曲のブラッシングの音が
最高の出来栄えだね」
「ブラッシュワークはケニー・ワシントンだとさ」
ピー 「上にある水上スキーの写真だね」
パパ 「このレコードは、ジャケットが60年代風だから買ったんだ」
「中身の曲は、最近聴きだしたばかりだ」
ピー 「ジャケ買いだな」「おっ母に叱られるぞぉ」
パパ 「このジャケット、水上スキーとジャズとがどういう関係
なのか分からん」
「写真は2本スキーだから、安定が悪くてスピードが
出せないぞ」
「曳波の立ち具合からして、20ノット以下のスピードだな」
ピー 「2本スキーの方が安定すると思うけど」
パパ 「軸足が2本では、重量バランスが悪いんだ」
「1本スキーは、コマの芯のように安定してフラつかない」
「通常は、30ノット約55Kmくらいのスピードで滑るんだ」
「転倒すれば、ベニヤ板に叩きつけられたような衝撃を受け、
水面をバウンドしながら何回転も転がる」
「気絶しそうになるから、ライフジャケットは絶対必要だ」
ピー 「チョイト父っつあん、話が横にズレとるばい」
「ジャズに付き物のラッパの音はどうなのさ」
パパ 「ラッパも滅茶苦茶に喧しい。街宣車のようだ」
「これは、音が鮮明すぎるのが原因だけど、実際に録音され
ている音がそうなんだから、そのように聴くしかないね」
ピー 「ジャズは、ラッパの曲が多いけど何故かな」
パパ 「ジャズは、元々喧しい飲み屋で演奏されていたんだ」
「そういう所で音が良く通る楽器と言えば、ラッパなんだ」
「だからさ」
ピー 「そうか~、コルトレーンとかロリンズが好きな人には、
アルテックが奏でるジャズは最高の雰囲気だろうね」
パパ 「パパは、音の分析が趣味だから良くわからないね。ホホ」
ピー 「ベースの音なんか、どないな音がするの?」
パパ 「うまく設計されていないスピーカーは、ベースの音階が
不明瞭なんだけど、それが鮮明に聴こえる」
「但し、家庭用スピーカーのようなボンボンした低音は出ない」
「低音は、中高域の音を濁すから、必要最小限に留めてあるよ」
「実際、自然界でボンボンした低音なんて存在しないしね」
ピー 「う~ん、おいら達は、何を聴かされているかわーらんね」
パパ 「アルテックで聴くブロンバーグの電気ベースは、どえらい
迫力だよ」「ウッドベースも胴鳴りの音を含め、極めて
鮮明に聴こえる」「音が、スピーカーという小さな点からじゃなく、
バックの壁一面から出てくるような感覚だよ」
「部屋全体がコンサートホールになる」
ピー 「ピアノはどうなのさ」
パパ 「ピアノの音は、難しいぞ~」
「スタインウェイは、鍵盤の中高音に3本の弦が張ってあるん
だけど、 少しずつずらして調律してある。理由は、また別途ね」
「そのズレを、普通のスピーカーで聴いて分かるかな~・・・」
「アルテックで聴くピアノは、カキーンという音が出てくる」
「ただね、バド・パウエル時代のピアノは、録音技術が貧弱で
駄目だな」「良くなるのは、50年代中期に入ってからだ」
「それと、アルテックでピアノを聴くと、アナログ録音か
ディジタル録音かの判別ができる」
ピー 「アルテックのモニタースピーカーって、何でも分かるんだね」
パパ 「元々は、米軍潜水艦のソナー用として開発されたんだよ」
ピー 「・・・何か分からないんだけど、最初から家庭用の音で録音
しておけば駄目なの」
パパ 「前回も言ったけど、レコードやCDという音源は、放送局から
一般家庭まで使うんだよ」「家庭用だけでは宣伝効果が薄い」
「それに、音楽媒体を正しい音で作成しておけば、
どんな再生装置にも対応可能だ」
ピー 「家庭用スピーカーの音色ってのは統一できないの」
パパ 「そりゃ無理だ」「各メーカーのマーケット戦略によって
音色が違ってくるし、それに、限られたコスト範囲でしか
製造・販売できないからね」
「JBLでも、家庭用スピーカーをスタジオモニターと称して販売
しているが、これは差別化の為に付けた名ばかりのものだね」
「しかし、聴いてみた感じ、普及品よりは良い音がした」
ピー 「話を聞いていると、スピーカーが音の決め手だね」
パパ 「一度でもプロフェッショナルの現場で使うアルテックの
スピーカーを聴けば、そらもう、病みつきになる」
「特にジャズファンはね」
「それに、アルテックは、機材の組合わせが自由にできる」
「パパのスピーカーシステムも、好みの組み合わせにしてあるよ」
「クロスオーバー周波数を決める機器は、必要部品を計算で求め、
自分で組立てたものなんだ」
ピー 「これ、話が尽きないんじゃないの?」
パパ 「無間地獄だ」
「次回は、オーディオから見た日本と米国の 物作りの違い
を論じようぜ」
ピー 「よくまー、続くね」