2009年12月24日木曜日

ピートとパパの会話(その73 小沢が解る?Ⅴ)


ピー  「最近、何やら小沢どんの出番が多くなってきたね」
パパ 「参院選に向けての数確保が危うくなってきたからだろうね」
ピー  「それにしてもあの人は物議を醸し出すね~」
パパ 「今の混乱は、勢力争いにしか興味を示さない小沢どんが自ら
    作り出したものだと思うなぁ」
ピー  「どういうことかな?」
パパ 「数確保のための子供手当てを中心に政治が動いている」
    「子供手当ての財源確保で、ガソリンの暫定税率廃止が
    反故になった」
ピー  「財政が厳しいんだから、子供手当ても先送りしたらどうなの~」
パパ 「それは小沢どんが絶対承知しない。何たって数集めの
    目玉だからね」「事実、所得制限も撤廃されたろう」
ピー  「鳩やんは、小沢どんの傀儡だから、何の権限も与えられていない
    ようだね。今後もバンバン反故が発生しそうだ」
パパ 「今の政策は、小沢どんの数の論理のみで右に左に動いている」
    「これは、あからさまな選挙対策だねぇ」
    「さて、揺れ動く政権構造を見ると、どうも政権内にマクロ経済学者
    を抱えていない気がするねぇ」「経済政策が置いてきぼりで、
    とりあえずのバラ蒔きをどうするかでもめている」
ピー  「政権内にマクロ経済学者って必要なの?」
パパ 「景気を良くする経済政策には、理論的な裏付けがいる」
    「だから専門知識を持った経済学者が必要なんだ」
ピー 「ほう、どのようなことをするのか知らん?」
パパ 「そうだねぇ、小泉政権下での竹中平蔵氏を例に話をしよう」
    「彼は、新自由主義の経済理論を基に、小泉政権のマクロ経済政策を
    立案したんだ」「これが骨太の方針として国民に公表された」
ピー  「新自由主義~?」
パパ 「彼がよく小さな政府って言っていたよね。そのことだ」
ピー  「さっぱりわからん」
パパ 「民間でできることは民間で、と言っていたじゃないか」
    「政府は市場介入しないことを基本とするんだ」「つまり、市場
    原理主義だよ」
ピー  「あ~、それで巨大な郵政を民営化したのか~」
パパ 「そのとおり」
    「他にも規制緩和による競争促進や政府の公共サービスを縮小して
    民営化したり、外資導入とか労働者派遣法の改正とかをやった」
ピー  「小泉やんは、新自由主義路線に沿って経済を活性化しようと
    したんだね」
パパ 「そ、竹中平蔵氏の経済政策指南によってね」
ピー 「それで国の仕事をどんどん民間に移管していったのかぁ」
パパ 「だから、小さな政府と言うのさ」
ピー  「な~るほど」
パパ 「新自由主義路線は、小泉やんが最初ではなく、中曽根政権の頃に
    始まった。NTTや国鉄の民営化がそうだ」
    「外国では、サッチャー政権やレーガン政権が新自由主義経済を
    推し進めた」「これが後にリーマンショックを誘発する」
ピー  「大きな政府ってあるの?」
パパ 「あるある、1930年代の大恐慌後のケインズ政策がそうだ」
    「経済学者のケインズは、恐慌の反省から政府による経済の
    コントロールを提唱した」「ニューディール政策を始めとする
    公共事業とか、公開市場操作とか、いろいろある」
ピー  「新自由主義とは反対の経済政策のようだね」
パパ 「なんたって大恐慌の反省から出てきた経済政策だからね」
    「政府が市場経済にどんどん介入して行った」
    「また、健康保険や年金制度も整備され、福祉国家としての
    財政支出が増加していくのも特徴だ」
    「これを大きな政府と言う」
ピー  「ほと、日本の公共事業もケインズ政策の一環かぁ」
パパ 「そうなんだけど・・・日本の場合は利権と結びついちょる」
    「しかし、ケインズ政策も自由に商売をやりたい人には、
    非常に窮屈なものなんだ。政府の規制とかでね」
    「特に石油ショック以降、政府の財政悪化に伴いこの傾向が強まった」
ピー  「はは~ん、そこで新自由主義が登場したんだな~」
    「政府に任せておけない、という訳か」
パパ 「そ、新自由主義を提唱したのは、米国の経済学者フリードマンだ」
    「この経済政策は1970年代、チリの軍事政権が初めて実施したんだ」
    「これには、フリードマン自身も顧問のような形で参加した」
ピー  「で、どうだったの?」
パパ 「失業や貧困率の増加、貧富の拡大といった社会現象が現れた」
ピー  「今の日本じゃんか~」
パパ 「経済は自己責任となり、競争社会での勝ち負けの結果、経済格差が
    拡大した」「利益のみを優先し、労働者の権利や自由が阻害され、
    更に社会保障にも自己責任を押し付けられた」「勿論公共サービス
    も低下したままだ」
ピー  「国民の生活が貧しくなるのは当たり前じゃんか~」
パパ 「これが原因で、新自由主義経済を採用したラテンアメリカ諸国では、
    その後に左翼政権が誕生することとなった」
ピー  「ベネズエラのチャベス政権とかだろう。凄い反米政権だ」
パパ 「今では、新自由主義下での経済回復は無理だとの見解を示す経済
    学者もいる」「そのことは、IMFも認めているところだ」
ピー  「なのに、どうして日本は新自由主義を推し進めたの?」
パパ 「日本が新自由主義を推し進めたのは、欧米よりずっと後なんだ」
    「かつて、英国は英国病、米国は原油価格の上昇などでインフレが
    進行し、経済悪化に苦しんでいた」
    「その時のカンフル剤が新自由主義だったのさ」
    「規制を撤廃するから、やりたい奴は勝手にやれー、ってね」
ピー  「ほう、経済の無手勝流だ」
パパ 「それで、たまたま米英の経済が回復していった」
    「じゃ~、日本でもやろうと」
ピー  「その時のカンフル剤の思いがあるから、今でも経済が悪化すると
    新自由主義に走るんだね」
パパ 「実は、新自由主義の根底には’見えざる手’といった概念があり、
    個人の利益を追求して行けば、全体の景気も自然に上向くと説く」
ピー  「自由放任経済の再来だ。それで新自由主義と言うのかぁ」
パパ 「問題は、新自由主義下で経済が回復しても、派遣法等の規制緩和
    により正規労働者が増えないことだ」
ピー  「つまり、低賃金・非正規雇用労働のままだということだね」
    「それでは国民の購買力も増えないね~」
パパ 「そう、収入が増えないから国民経済は停滞したままで、依然として
    格差社会が残ったままとなる」「見えざる手なんて存在しないんだ」
    「利益は大企業の内部留保となり、社会還元されない」
ピー  「あ~、トヨタの最高益はそうやってもたらされたのか~」
    「かつての経済悪化と異なるね」「お金が循環しないんだ」
パパ 「かつての経済悪化はインフレを伴ったが、現在はデフレだ」
ピー  「国民に購買力が無いんだから、当然だわね」  
パパ 「だから、アホな政治家は、兎に角お金をばら撒いちゃえ、となる」
    「さすれば多少インフレになって、経済も上向くだろう、とね」
ピー  「こりゃ~、経済政策は政治家だけに任せておけないな~」 
パパ 「これで政権内にマクロ経済学者が必要だと分かったろう」
    「さあ、そこで経済から見た小沢どんの政権を評価して見よう」
    「さて、ピートはどう思う?」
ピー  「そうねぇ、先ず子供手当てだろう、高速道路無料化だろう・・等々
    からして~・・・」
    「かつてのケインズ政策に戻りつつあるような・・・」
パパ 「パパは、経済政策が矛盾していると思う」
    「一方で福祉政策を唱え、片方では無駄と言って公共事業の廃止を
    行う」「ケインズ政策と新自由主義が混在している」
ピー  「そうか、小さな政府と大きな政府が混在しているのかぁ」
    「でも、ええとこ取りだから良いのじゃないかい」
パパ 「財政が伴わん」
    「経済を浮揚さすなら、理論を基に政策を決定すべきだ」
ピー  「なるほど、サッチャーやレーガン、小泉やんのようにだね」
    「咬み付き亀が、不景気の時にゃー、思い切って財政出動を増やさな
    いと景気回復できん、と言っているのはケインズ政策なんだね」
パパ 「ま、考え方としてはそうだが、多分に勢力争い臭い」
    「小沢どんも、マクロ経済学者を政権に入れるべきだよ」
    「それと、テクノクラートである官僚の意見を聞かないと駄目だ」
    「何と言おうと彼らはね、外交・経済の専門家だ」
ピー  「そういう専門家は政権内に居ないの?」
パパ 「今度、郵政の件で元官僚を入れたよ」
ピー  「民主は脱官僚じゃなかった?」
パパ 「あのね、郵政は民営から実質国営に戻ったんだ」
    「その国営企業の運営には官僚が必要なのさ。何の矛盾も無い」
ピー  「ん?」
パパ 「民主党が目指すところの大きな政府を思い出してご覧よ」
    「咬み付き亀が元官僚を指名したのは当然だと理解できる」
ピー  「あ、そうか」
パパ 「郵政は民営のままだとか言って誤魔化そうとするから、
    話の辻褄が合わなくなる」
    「郵政は、民営化によってサービスが低下したからね~、
    元に戻す動きが出るのも当然だ」
    「ニュージーランドの郵政も国営に戻ったし」
ピー  「なるほど、経済理論的に考えれば本質が見えてくるねぇ」
    「結局、経済政策としては、ケインズの方向に向かうのかなぁ」
    「それに、脱官僚が行えるほど政治家のレベルは高くない
    ということだね」「もう何が良いのか分からなくなったい」
パパ 「問題は、小沢どんが参院選を狙った数集めをしているだけで、
    政府としての良質な経済政策が見えてこない点だ」
    「財政はバラ蒔きだし、このままだと参院選後に大増税が必要だ」
ピー  「う~ん、参院選で過半数を取れば、当面数の心配も無くなるし、
    小沢どんはそれから経済対策に乗り出すつもりなんだなぁ」
パパ 「それでは遅いんだな~、経済は」
ピー  「どうして?」
パパ 「世界的に経済のスピードが早くなっている。それに対応しないと
    日本は外資の餌食となる」
ピー  「それは心配だね」
パパ 「結局国民のためではなく、党利党略で動いているのが実体だ」
    「本当にケインズ並の経済政策を行うのなら、小泉政権下で行った
    規制緩和を、出来るだけ早く再規制すべきだよ」
    「そこに自民党政権との違いを示す政治主導があると思うけどねぇ」
ピー  「行き過ぎた競争社会を元に戻すんだね」
パパ 「そういうことを、政権交代当初に公式宣言すべきなんだけどな~」
    「友愛じゃー、訳解らん」「政治は三文オペラじゃないけん」
ピー  「時既に遅しだ」
パパ 「だけどね、小沢どんが言っている脱官僚とケインズ政策とは相矛盾
    する」「大きな政府なんだから、運用は官僚主導でないと無理だ」
ピー  「天下りが増えるじゃん」
パパ 「それと官僚主導とは、全く別問題だね」「天下りは組織内の雇用対策
    として認識・解決されるべきだ」
ピー  「一体全体、何時になれば政権が落ち着くのかなぁ」
パパ 「無理だね。理由はだね~、小沢どんは土着の利益誘導型、
    長妻っちは福祉国家型、咬み付き亀はケインズ風の公共投資型、
    福島おばはんは社会主義経済型だ」
    「ごらんのとおり、政権の柱となる経済的な基本が共有できていない」
ピー  「だから各大臣の言う事が異なるのか~」「世界の笑い者だな~」
パパ 「政権内部が見えてきたろう」「これが外交にも影を落としている」
    「米国がイラつくのも、あたり前田のクラッカーだよ」
ピー  「当然のパイプか。漫才だな、ハハ」