2008年11月30日日曜日
2008年11月29日土曜日
ピートとパパの会話(その35 マクロ経済の話)
パパ 「今日は、経済の話をしようかな」
ピー 「世の中、金融とか株とか恐慌とか、一体何なの?」
パパ 「米国発の金融不安で、恐慌状態だと言ってるんだよ」
ピー 「恐慌って1930年代のことだろ?」
パパ 「そう、それ以降ケインズというおっさんが、経済学の
建て直しを図ったんだ」「特に、古典派経済学の問題を
克服しようとしたのさ」
ピー 「ケインズって、英国の経済学者だったね」
「で、古典派経済学の問題とは?」
パパ 「所謂自由放任主義だね」「セイの法則 てーのに支配されて
いたんだ」「その法則が元で世界恐慌が起こったと、
パパは考えているんだ」
ピー 「セイの法則?」
パパ 「超簡単に言えば、供給が需要を生むという考え方だね」
ピー 「物が売れなければ価格が下るから、再び需要が起こるという
ことかな」
パパ 「そ、教科書に出てくる需要・供給曲線の価格均衡点のことね」
「価格が安くなれば必ず売れるという考え方だから、不況に
ならないと信じていたんだ」「政府も市場介入をしない」
ピー 「だから、イケイケどんどんで生産を行った結果、物が溢れて
遂に売れなくなったのか~」
「それが、1930年代の世界恐慌だね」
パパ 「ケインズおっさんは、需要と供給だけで経済を説明するのは
問題で、雇用と投資を組み入れた有効需要という考え方が
必要だと説いたんだよん」
ピー 「初めて投資と完全雇用の概念を取り入れたんだね」
「マクロ経済学の誕生だ」
パパ 「一番功を奏したのが、ケインズ理論に基づいたルーズベルトの
ニューディール政策かなぁ」
ピー 「経済学者が言うところのケインズ革命だね」
パパ 「あれは社会投資だけど、その結果、雇用も創出されて経済も
回復したんだよ。でも途中で止めちまって、また不況さね」
ピー 「経済政策って、重要なんだね~」
パパ 「その後、マクロ経済学は、インフレ解消と完全雇用の達成に
頭を抱えることになるんだな」
ピー 「それって、一昔前の経済理論だね」
パパ 「おっ、わかっちょるね」
「インフレ解消ちゅーのは、ケインズ理論を持ってしても
解決困難だったようだ」
ピー 「新たな施策は?」
パパ 「サミュエルソン教授の登場だ」
「混合経済学というのを提唱したんだ」
ピー 「混合? 2サイクルエンジンみたいだね~」
パパ 「資本主義経済に、社会主義経済の要素を取り入れたんだよ」
ピー 「ん? 社会主義経済を資本主義に~、矛盾じゃんか?」
パパ 「社会主義というのは、党が経済をコントロールするじゃない」
「その経済のコントロールという概念を取り入れたんだ」
ピー 「わかんないな・・・?」
パパ 「つまり、お金の流通量をコントロールするんだよ」
「銀行の窓口規制、公定歩合の決定、公開市場操作とかの方法に
よってね」
ピー 「一体誰がそれをするの?」
パパ 「日本であれば日銀、米国であれば合衆国銀行、英国であれば
イングランド銀行だね」
「それらの銀行が、経済のコントロールをするのさ」
「つまり、政府が市場に介入する訳だ」
「さて、それがうまく機能する筈だったが・・・」
ピー 「どうなったの?」
パパ 「規制緩和だとかね、途中でコントロールを甘くしたのさ」
「特に金融面でね」
ピー 「だって~、問題があるから経済をコントロールしたんだろ?」
パパ 「ふふ、米国主体の自由放任経済の復活が始まったんだ」
ピー 「なしてまた、そんこつをやったべや?」
パパ 「そらもう、社会主義経済の崩壊によるところが大きいね」
「米国の一人勝ち。それが、今日の放任的経済の始まりだ」
ピー 「そーれから」
パパ 「んでもって、FRBのグリーン・スパン氏が、自由経済の旗の下、
またしても1930年以前のイケイケどんどんをやらかしたんだ」
「今度は、金融商品でね」
ピー 「セイの法則の亡霊だ」「世界の迷惑だね」
パパ 「金融論でさ、信用創造の理論というのがあってさ、100円の
投資をすると、投資先が法定準備率(仮に10%)の10円を残して、
90円を新たな投資に使う」「次の投資先は、9円だけ残して
81円を何処かに投資する・・・・」
ピー 「元の100円が、市場で膨らんで行くということ?」
パパ 「うん、法定準備率分だけを残して、
投資金額を100円+90円+81円+・・・・と足していくとね、
計1000円となる」「これを信用創造というんだ」
ピー 「なんじゃそら。 お金の錬金術じゃんか」
「金融界というのは、そんなことばかりやっちょるのかー」
パパ 「日常茶飯事だね」
「例えばね、資産を現金・債券で持つか、株で持つか、
ピートならどうする?」
ピー 「おいらは、全部ご飯に使っちゃうな」
パパ 「はは、それでは儲からない」
「債券、つまり国債で持つか、或いは株式で持つかは、
その時の利子率で決まるのさ」
ピー 「利子が安けりゃ株を購入するし、利子が高けりゃ債券で持つ
ということか」「つまり運用ということだね」
パパ 「金融論では、これを流動性選好という」
「近年では、それに為替や原油、食料までもが加わった」
「米国を中心とした世界の金融界は、90年以降そんなことばかり
やってきた」
ピー 「投機マネーだね」
「それが、今回の金融危機に発展したのか~」
パパ 「そういうことだと、パパは考えている」
「今や金融商品は、ハイリスク・マイナスリターンとなった」
ピー 「誰も手を出さないということかぁ」
パパ 「米国のマクロ経済屋さんも、もう一度ケインズ経済学や
サミュエルソン経済学を読み直して見る必要があると思うな」
ピー 「ところでさ、巷で言うマルクス経済学って何なのさ?」
「資本論とかさあ~」
パパ 「あれは、単に儲けの分捕り合戦を経済学として表したものだよ」
「資本家と労働者間のね」
ピー 「えらく簡単な表現だね」
パパ 「これが、マルクス経済学の根本原理だよん」
「あとは、枝葉を付けて理論をメタボにしたに過ぎない」
「メタボの部分は、専門家に任せておけばよろしい」
「問題は、イデオロギー面を強調しすぎたことだな」
ピー 「そのイデオロギーちゅう奴のせいで、世界で何千万人もの
人が死んだのか」
パパ 「ただ、純粋に経済学としては、興味もある」
ピー 「それとさ、中国の社会主義市場経済ってなんなん?」
パパ 「一党独裁の国家資本主義経済で、超矛盾だらけだね~」
「中国のマルクス経済学者は、これをどう教えているのか、
とても興味があるよ・・・考えると笑えてくるねぇ」
「その話は、またの機会にしよう」
ピー 「次回は?」
パパ 「他では聞けない話ってどうかな」
2008年11月24日月曜日
2008年11月23日日曜日
2008年11月22日土曜日
ピートとパパの会話(その34 植物の生態系実験)
パパ 「今日は、植物の生態系について語ろう」
ピー 「地球規模の生態系かな」
パパ 「いや、何処にでもある庭の植物の盛衰についてだよ」
「庭に何も手を加えずにいると、どうなると思う?」
ピー 「雑草だらけになってお仕舞い!」
パパ 「そう言って終わっちゃうだろう。よく観察しなきゃ」
「先ずさ、宅地開発された土地に一戸建てを建てたとしよう」
「庭は、ガレ場状態で植物なし」
「さーて、最初に根を下ろす植物は何かな~?」
ピー 「草じゃんか」
パパ 「殺風景な表現だね~」
「草もそうだけど、先ず最初にタラの木が芽を出す」
ピー 「あのテンプラにするタラの芽かいな」
パパ 「そうだよ、春先の珍味ね」
「春、タラの芽を探すには、ガレ場がいいんだよ」
「その状態で1年もすると、次にススキが芽を出してくる」
ピー 「生態系が入替わるんだ」
「ススキも荒野に繁茂しているね」
パパ 「タラは、そのまま成長するんだけれど、人間が芽を
摘みたおすから、そのうち枯れちゃうんだ」
ピー 「人間の生態系への介入だね。自然が狂っちゃうんだ」
パパ 「それくらいでは、まだ狂わない」
「その後、ススキが大繁殖してくる」「見た目は趣があるけど、
単一植生なんで、庭としては面白くない状態になる」
ピー 「単一ではね~。で、どうするのさ」
パパ 「ススキを引き抜けばいいんだけど、毎年同じことの繰り返し
になる」「ここは時間を掛けて、自然を利用するのさ」
ピー 「自然の利用?」
パパ 「そう、自然だ」「単に日陰を作ればいいだけだよ」
「例えば、樹木を植えると、その周りに日陰が出来て、ススキは
自然に消滅していく」「樹木の成長を待つんだから、数年を
要するけどね」
ピー 「そうか! 森の中にはススキが生えていないね」
「自然を観察することによって、ススキは日陰に弱いという
性質が分かるのか~」
パパ 「そうだよ、単に花が綺麗、自然が綺麗だけじゃなくてさ、観察
をすることで、自然の営みというものが見えてくるんだ」
ピー 「しかし、時間の掛かる観察を何故するのさ」
パパ 「自然ちゅーのは、放置して置くとこうなる、人間が手を
加えるとこうなる、ということを知りたかっただけさ~」
「それを庭でやったわけよ。ま、箱庭だけどさ」
ピー 「何かの役に立つのかね」
パパ 「さーね、今のところ知るという満足感だけだね。ははは」
「で、ススキが絶えた後に無数の雑草が生えてくる」
「庭木も適当な大きさに剪定をしたりする」
ピー 「すると?」
パパ 「冬季はタイガのような風景になるし、暖かくなるとサバンナや
ステップやパンパのような風景なる」
ピー 「中学で習ったな。タイガ、サバンナ、ステップ、パンパ」
「おいらは、巨木がまばらなタイガが好きだな。寒いけどね」
パパ 「それで、雑草も適当な高さに成長してくると、
庭が湿潤になってくる」
ピー 「湿潤ね。そこから何かが出てきそうだな」
パパ 「可憐なホタルブクロが生えてくる。しかも自然にだよ」
ピー 「ホタルブクロが自然に生えてくるには、湿気が必要なんだね」
パパ 「そう、しかも雑草との混植が必要条件なんだよ」
ピー 「それがよく分からないね」「お互い生存競争にならないの?」
パパ 「ならないんだな~、それが」
「多分、雑草は湿潤を提供し、ホタルさんも何かを提供して
いるんだろうね~。 適度な日陰とかさ」
ピー 「ホタルブクロだけでは湿潤にならないの?」
パパ 「ホタルブクロは、成長と共に徒長してくるから、湿潤さを保つ
日陰を作れないんだと思う」
ピー 「それで、雑草の混み具合を利用するのか」
パパ 「それも、自分より背が低い雑草が望ましいんだ」
「観察していると、その辺の微妙さがよく分かるね」
「他に、柿の根元に茗荷を植えると、両者が共に繁栄
するとかさ、色々ある」
ピー 「昔から柿と茗荷は混植されているね」
パパ 「今、こういう自然を利用する伝承が絶えようとしているんだ」
ピー 「う~ん、長老に聞いておかないと、将来、自然のあるべき姿が
全く分からなくなりそうだね」
パパ 「それでさ、ホタルブクロだけ残して周りの雑草を刈り取って
しまうと、ホタルブクロも枯れてしまうんだな」
「環境が変わって、生態系のバランスが狂ってしまったんだ」
ピー 「湿潤じゃなくなったんだね。砂漠化だ」
パパ 「リンドウなんかも、雑草の中から自然と生えてくるよ」
「庭を管理せずに放っておくと、自然発生的に色んな植物が
生えてくる。しかも、環境の変化で植生が微妙に変わる」
「そういう自然の趣を楽しむのも、なかなか乙なものだ」
ピー 「花鳥風月か~、パパも風流だね」
「常に雑草を刈り取っているとどうなるのさ」
パパ 「自然庭園としては、何の趣も無い庭となるね」
「ホタルブクロやリンドウといった可憐な植物ほど、
先に絶えてしまう」「ま、適度な管理がいいと思うよ」
ピー 「適度な管理で、適度な自然環境にして置くのがいいのかな」
「ターシャの庭だね」
パパ 「最近、心配事があるんだ」
ピー 「植物の生態系で?」
パパ 「昔、町内に自生していたオナモミやイネ科のジュズダマを
見かけなくなったと思わないかい?」
ピー 「オナモミって、ひっつきむしと呼んでいたやつだね」
「そういやー、何処へいったんだろう」
パパ 「ジュズダマは、自生している場所を見つけてあるんだけど、
オナモミは見かけないな」
ピー 「そ~れで、散歩の時にキョロキョロしているのか~」
パパ 「以前、オナモミの実を採ってきて、庭で保存栽培して
いたけど、雑草と一緒に刈られて無くなってしまった」
ピー 「しっかし、パパも変わったことをするね」
パパ 「今やオナモミは、希少植物じゃけんね。保護しなきゃ」
「そうだ、面白いことを教えよう」
「ウツボカズラという食虫植物があるだろう」
ピー 「ひょうたん型をしていて、中に消化液が入ってるやつね」
パパ 「あの中にキャベジンとか太田胃酸を入れておくんだ」
「すると、消化が促進されてメチャ大きく成長する」
「時々精力剤を入れるのもいい。これは隠し技だ」
ピー 「ま~た、そういう冗談を言う」
「次回は何?」
パパ 「考え中・・・。色々あるからね~」
「ピートは、とりあえず自然観察をやりなさい」
2008年11月17日月曜日
ピートとパパの会話(その33 ダムと生態系)
パパ 「今回は、ダムと生態系の話だ。それと植物ね」
ピー 「パパは、ダム建設に反対なの」
パパ 「ダムの必要性によるね」
「今日は、ダム建設の話じゃなくて、ダムと生態系
についてだよ」
ピー 「ほうほう」
パパ 「ダムの目的は、何だと思う」
ピー 「う~ん、発電、灌漑、治水かな」
パパ 「ダムが出来たことによって、洪水なんかも無くなるよね」
ピー 「大雨でも安全に暮らせる」
パパ 「ところがさ、洪水が無くなることによって問題が起こるんだ」
ピー 「分かった! 上流から肥えた土が流れてこなくなり、
土地が痩せてくるんだ」
パパ 「ちゃう! それは、一般論だ。実は、考えもしないことだ」
「日本の淡水魚の約半数が、洪水が起きないと産気づかない
んだよ」「だから、ダムが出来たことによって洪水が
無くなり、魚の数が減少してきたんだ」
ピー 「な、なぬ~! 洪水で産気づく~?」「そんなこつ?」
パパ 「じゃから、人工的に洪水を起こしたりするんだよ」
「洪水というより、一時的に水位を上げるんだけどね」
「するとまた、魚の数が増えてくる」
ピー 「本当かな~」
パパ 「実際は、貝類等も絡んでいて、もう少し複雑なんだけどね」
「これは、淡水生物の研究者に聞いた話だよ」
ピー 「面白いことがあるもんだね~」
パパ 「ダムに関係することで、もう一つあるよ」
「水力発電所では、発電効率を上げるためにダムの底の水を
使うんだ」
ピー 「底の水~?」
パパ 「ダムの底にある水は、冷たくて重いから発電機の水車を
回す効率が良いんだ」「するとまた問題が起こる」
ピー 「ダムちゅーのは、問題ばかりじゃんか」
パパ 「で、底の水は冷たいから、下流で冷害が起きるんだよ」
ピー 「ダムから放流された冷たい水を田圃に引き込んでいるんだね」
パパ 「そう、だから電力会社にお願いして、底の水を使わないように
して貰ったんだよ」
ピー 「何かさ、おいら達の知らないところで、色々な事が起こって
いるんだね」「生態系って微妙だね~」
パパ 「その研究者は、琵琶湖の渡り鳥と魚の関係も話していたな」
「最近、琵琶湖に居ついて渡りをしない鳥が増えてきたんだ」
「普通は、帰るタイミングを逸したのかなと思うけど、
研究者の見解は違うんだな~」
ピー 「渡りが面倒臭くなったんだろう」
パパ 「ちゃう、琵琶湖の鮎が増えて、夏でも餌が豊富になったんだ」
「だから、餌を求めて渡りをする必要が無くなったんだよ」
ピー 「どうして鮎が増えたのさ」
パパ 「日本人のパン食のせいだ」
ピー 「パン~?」
パパ 「昔、日本人の多くは、ごはんと小鮎の佃煮で朝食を
済ませていた」
ピー 「そうか、ごはんと小鮎の佃煮は合うんだよね」
パパ 「最近、パン食が増えたために鮎が売れなくなったんだ」
「で、漁師が鮎漁をあまりしなくなった結果、鮎が琵琶湖に増え、
鳥は餌を求めて渡りをする必要が無くなった。という事を
話していた」
「竹生島で鵜が増えたのも、この理由かも知れない」
ピー 「うん? でもさ、それは人間との関係で鮎が増減したんだろう」
「佃煮以前の古代の渡り鳥がどうだったかだよ。?」
パパ 「よい質問だね。琵琶湖は、全国の河川へ稚鮎を供給しているんだ」
「そのため、琵琶湖周辺で消費される量以上に鮎がいるんだよ」
「で、その内の佃煮分が余ってきたのさ」「古代よりも遥かに
多くの鮎がいるんだ」
「鳥は、その余り分を食うことで、渡りをしなくても暮らせる」
ピー 「そういうことか。まだ一部の渡り鳥だろうけど」
「今回の話の因果関係はさ、間の話が無くて急に変な結果が
出てくるよね」「俗に言う風が吹けば桶屋が儲かる式の話に
聞えるけど、一体全体、風と桶屋の因果関係って何よ?」
パパ 「え~とね、風と桶屋は、確か論理学に出てくるんだよね」
「昔の引用だけど・・・
(風が吹けば、砂埃がたつ)
(砂埃がたつと、それが目に入り三味線を弾く盲人が増える)
(盲人が増えれば、三味線が沢山いる)
(三味線が沢山いると、皮を張るのに猫が沢山殺される)
(猫が沢山殺されると、鼠が増える)
(鼠が増えると、桶が沢山かじられる)
(∴ 風が吹くと桶屋が儲かる)」
「これを、アリストテレスの連鎖式という」
「ま、思わぬところに影響が出ると言う意味合いかな」
ピー 「琵琶湖の例で言うと、パン食が増えると鳥が居座るだな」
パパ 「まっ、ま~ね~・・・・・」
「長くなりそうだから、植物の生態系は次回にしよう」
2008年11月16日日曜日
2008年11月14日金曜日
ピートとパパの会話(その32 犬連れ登山)
パパ 「今日は、ピート達の話題だよ」
ピー 「おいら達の話題?」
パパ 「そう、犬連れ登山についてだよ」
ピー 「おいらの最高登攀は、1643mの飯盛山だよ」
「ガレ場も随分登ったよ」
パパ 「でもね、犬連れ登山に猛反対している人がいるんだ」
「その反対の仕方がさ、容認派の人を攻撃的に罵倒
しているんだな」
「Googleで‘犬連れ登山’と検索すれば、一番に出てくるよ」
「山の案内や山岳写真を生業としている人らしい」
ピー 「どんな内容なん?」
パパ 「レトの雑誌でお馴染みの、シェルパ斉藤という人が
いるだろう」「彼のことをバカという表現をしているね」
ピー 「何よそれ」「ネットという公の場でだろう」
「名誉毀損じゃないの」
「パパは、検察審査委員をしていたと言っていたね」
「こういう事案は、どーざんすか?」
パパ 「検察側が、不起訴相当と結論を出した場合、不服があれば
検察審査会に判断を仰ぐことになるね」
「それにしても、異様なほど反対するんだな、この人」
ピー 「おいら達が登山することへの反対理由は何よ?」
パパ 「生態系への影響だとさ」
「家庭犬は、未知のウィルスを持っている可能性があるから、
野生動物を絶滅さすようなことが起こるちゅーんだよ」
ピー 「だって~、おいら達は、色んな予防注射もしているし、
健康診断でウィルスチェックもしているよ」
「逆だと思うね。北きつね君のエキノコックスの例もあるしさ」
「おいら達には考えられないな~」
パパ 「そう、ピート達家庭犬の方が、野生動物より遥かに
衛生的だと思うんだけどね~」
「それに元々動物達は、野生・家庭の区別なんかなくて、
自然界で普通に行き来していたと思うよ。人類・猿人も含めてね」
ピー 「昔のネアンデルタール人とかクロマニヨン人だろう」
「古くは、北京原人にジャワ原人。はは、面白いね」
「パパの先祖は、どの原人?」
パパ 「パパはね、その昔、モンゴルから移動して来たんだよ」
ピー 「移動すること事態、生態系の破壊だよ」
「大体ね、登山ブームか何か知らないけど、大勢で山へ入って
人間が一番の自然破壊者だよ」
「この人が、本当に自然を守ろうと思うなら、山の紹介なんか
しちゃーいけないんだよね!」
「山を愛するとか、自然を守ろうとか言っているけど、
本を書いて紹介するなんぞは、単なる観光業者じゃんか」
パパ 「そうなんだけどね~、何を言ってもムキになるんだ」
「本人は、犬が嫌いな訳ではない、と言うんだけどね」
「でも、何が何でも犬連れ登山は絶対反対なんだ。この人は」
ピー 「ふ~ん、何か屈折している感じだね」
パパ 「ま、理解できる内容もあるんだけれど、感情的な異様さを
感じるんだなぁ」
ピー 「困りましたな~、それは」「おいらは、山で会いたくないな」
パパ 「でだ、パパは色々考えたんだな~、この異様さの本質を」
「これは、ピート達の問題ではなくて、彼の宗教観だという
結論に達した」
「ただ彼は、自分でこのことに気が付いていないんだなぁ」
ピー 「宗教観! パパにしては珍しい概念を持ち出すね」
パパ 「彼は山岳家なんだよ。つまり、山は神聖な領域なんだな」
「元からそこに棲息する動物や植物は、彼にとっては聖なる
ものなんだよ」「それ以外の人間が持ち込む動植物は、
彼にとっては汚(けが)れたものなんだなぁ」
ピー 「山岳密教の自然観じゃんかー」「山伏だね」
パパ 「しかしだ、彼は猟犬が入山することには寛容なんだな」
「猟犬は、数が少ないから問題が起こらないというんだが」
「それとて、彼が言う未知のウィルスを持ち込む可能性は
排除できないよ」「動物を追い回して、諸に接触するんだよ~」
ピー 「山猟は、古来から神聖なものとして認識されるから、猟犬の
入山については寛容になれるんだね。マタギの世界だ」
パパ 「そう、山の猟は神聖なんだ」
「ちょっと横道にそれるけど・・・パパはね、富士山にリフトか
ロープウェイをつけろと言っているんだ」
「そうすれば、老若男女誰もが日本一の山に登頂できる」
「すげー観光収入にもなるよ」「頂上の土産物屋も大繁盛だ」
「しかし、この案には皆さん反対するんだなぁ」
ピー 「富士山にリフト~、そりゃ駄目だ」
「富士山は霊峰だよ」
パパ 「そこだよ! 彼にとって全ての山は霊峰なんだ」
「そこに家庭犬が入り込むというのは、考えられないんだよ」
「犬は嫌いじゃないって言ってるけど、やはり犬に対して
偏見を持っているよ」
「ファミリーとして認識できないんだ」
ピー 「なるほどね~、根底に無意識の宗教観があるとなると、
何を言っても聞く耳持たないだろうね」
パパ 「彼が、そのことに気付けばいいんだけどね~」
「そこで、対策だ」
ピー 「ま~た、変なことを言い出すんだろう?」
パパ 「ま、常識人には変なことだが・・・」
「要は、この人の宗教観を満足させればいいんだよ」
「で、ピートが首にしめ縄と紙垂(しで)をつけて登るんだ」
「さすれば、山中で誰かに出会っても、何かの奉納だと思う」
ピー 「何それ、おいら笑っちゃうよ」
パパ 「笑っちゃいけない、神聖な犬になったんだから」
ピー 「何が何でも反対の人に遇えばどう言うのさ」
パパ 「麓の権宮司に頼まれて、霊峰の頂上にて玉串奉奠の儀を
執り行うのであ~る、と言えばエエねん」
「ピートは、こま犬のふりをすればよろしい」
「相手が神様では、誰も文句を言えない」
ピー 「厄払いに登ると言えばいいんだね」
「おいら、神社のこま犬かい」
「でも、こま犬のルーツは、古代オリエントの獅子だよ~」
パパ 「ま、これは冗談だとしてさ、
次回は、殆ど誰も気付かない自然の話をしよう」
「ダムと自然の不思議、それと植物の植生環境について
若干の考察をしてみよう」
2008年11月13日木曜日
さつまいも・・・だ!
2008年11月12日水曜日
2008年11月9日日曜日
ピートとパパの会話(その31 知られざるオーディオ世界)
ピー 「上の写真は?」
パパ 「パパのオーディオ実験装置だよ」
「さて、久しぶりにオーディオ談義をしよう」
ピー 「今回のテーマは何?」
ピー 「今回のテーマは何?」
パパ 「知られざるオーディオの世界を紹介するよ」
ピー 「どんな世界なん?」
パパ 「先ず、スピーカーの世界だ」
「例えば、スピーカーは大抵壁際に置くだろう」
「その壁との距離を問題にする人がいる」
「毎日少しずつ前後に動かし、一番良い音がする位置を
求めるんだ」「ま、50cmくらいの間なんだけど、
その位置を決定するのに2年ほどかけるんだ」
ピー 「驚くね。そんなことで音が変わるの?」
パパ 「さーね。パパには聴き分けられないね」
ピー 「だとすれば、どうでも良いことのようだけど」
パパ 「実際は、距離によって音の干渉が変化するから、あながち
無意味とは限らないんだ」
「それに、低音の位相は遅れるので、問題と言えば問題だね」
「だから、低音スピーカーをやや前方に設置したスピーカー
ボックスもあるよ」
ピー 「位相って?」
パパ 「音の波形を時間軸で表したものだ」
「音は、周波数によって異なる時間遅れを生じるんだ」
「この時間の遅れを、位相が遅れるというんだよ」
ピー 「全く理解でけんが、音がどう聴こえるのさ?」
パパ 「要するに不自然な音になる」「スピーカーの位置を動かす
ことによって、それを是正するんだ。数ミリずつね」
ピー 「数ミリずつ! だから2年もかかるのかぁ」
パパ 「この2年かけた人は、秋葉原のカリスマ店員でね、雑誌にも
よく顔を出しているよ。音の殺し屋と呼ばれている」
「この人には、色々なことを教えて貰ったなぁ」
ピー 「ここまで来ると、普通のオーディオ趣味じゃないね」
パパ 「最近、レコードが流行っているけど、古いレコードは
録音特性の規格が色々あるんだよ」
ピー 「いつ頃の話よ」
パパ 「1958年以前のLPレコードを聴く場合の話だよ」
ピー 「古!」
パパ 「普通のオーディオ趣味じゃないけんね」
「昔のレコードは、各社各様の録音特性で制作されているんだ」
「それが、1958年にRIAA特性という規格に統一された」
ピー 「そんなの初耳だね」
パパ 「普通の人は知らないね」
「その頃のジャズのLPレコードなんかが問題となる」
「マイルスの原盤レコードとかね」
ピー 「音質が問題になるの?」
パパ 「音質もだけど、現在のプリアンプの再生規格と合わない」
「高音がきついとか、低音が出すぎるとか、音が自然じゃ
ないんだな」「だから、そのレコード会社の録音規格に
合わせて聴く必要があるんだ」
ピー 「ほと、レコード・コレクターなんちゅーのは、どないして
聴いてはるの?」
パパ 「各々のレコード会社に合わせて聴く装置を持っているんだ」
「マッキントッシュのC8というプリアンプがそうだね」
「ヴィンテージ物だから20~30万円するよ」
「或いは、自作のプリアンプを使っている人もいてはるね」
ピー 「そのプリアンプをガチャガチャ切替えて聴くんだね」
「手の込んだことだね~」
パパ 「正しい音で聴くには、どうしても必要な装置だね」
「規格もRIAA, NAB, COL, RCA, FFRR, AESと
6種類あるんだよ」
「この規格とレコードの録音規格とをピッタリ合わせて
聴かないと駄目なんだ」
「そうしないと、このレコードは録音が悪いという誤った
判断をすることになる」
ピー 「録音規格の見方は?」
「どの規格で録音されているかは、当時のレコードに印刷
してあるけど、無ければ会社名で判断するしかないね」
ピー 「レコード・コレクターというのは、面倒なんだね~」
パパ 「60年代からのレコードは、RIAA規格に統一されているから
このような心配はないよ」
「さて、流行の真空管についても問題ありきだ」
ピー 「真空管なんていう前近代的なものをまだ製造しているの?」
パパ 「現在でも、ロシアを始め旧共産圏の国々で製造しているよ」
「ロシアでは、スベトラーナというメーカーが有名だ」
「スベトラーナと言うのは、スターリンの娘の名前だよ」
「中国は、曙電子」「チェコとかユーゴも製造しているね」
ピー 「ヘ~、よく知っているね」
パパ 「そこで問題がある」「旧共産圏の製品は、過去の米国、
日本、西ドイツ製に比べて品質が劣るんだな~」
「だから、自由主義圏の真空管は、プレミアが付いて高額
なんだ」「共産圏で一番安いのは、ご多分に漏れず中国製・・・」
ピー 「中国製ね~・・・いやだな」
パパ 「もっと問題なのが、真空管が骨董品となってきたことだね」
「そうなると悪徳商人が、安い真空管に高額な真空管の
名前を刻印してぼろ儲けをするんだよ」
ピー 「防止できないの」
パパ 「今のところ、真空管を覗き込んで、電極構造から偽物を判断
するしかないね」「それには、何より経験が必要なんだ」
ピー 「普通の人は、騙されるね」
パパ 「そうだよ、オークションなんかが一番危ない」
「偽物真空管は、本物と特性が違うからアンプが壊れる
可能性もある」
「一番良いのは、信用のおける専門店での購入だ」
ピー 「パパは、信用のおける店を知っているの?」
パパ 「何軒も知っているよ」
「更に変なのは、同じ電気的特性で製造されているのに、
メーカーによって音が変わると言うんだな~」
「でもそれによって、真空管屋さんが成立っていると言っても
過言じゃないね」
ピー 「世界的な統一規格の意味が無いじゃん」
パパ 「そういうことを言って、特定メーカーの製品価格を
吊り上げて儲けるんだよ」「評論家も関わっているね」
「まだまだ酷い話があるけど、長くなるからこの辺に
しておこう」
ピー 「次回の話は何?」
パパ 「一杯あるからね~、何にしようかな」
2008年11月6日木曜日
ピートとパパの会話(その30 車編)
ピー 「上の写真は誰ぞ?」
パパ 「35年前のパパだ」
「フルオープンのJEEPに乗っているところだよん」
ピー 「へ~、今のパパから想像もできないね」
「顔付も違うし、頭の毛も沢山あるじゃんか」
パパ 「長年資本主義の荒波に揉まれると、現在のようになる」
ピー 「最悪だね」
パパ 「ほっといてちょーらいか!」
「今日は、車の話題だよ」
「パパが、初めて買った車はJEEPだ」
「エンジンは、2200ccもあるのに、たったの54馬力だった」
「エンジンもボディも米国ウィリス・オーバーランド仕様
だよ」「車体にOHIO USAの銘板が貼ってあった」
ピー 「だから左ハンドルなのか」
パパ 「こういう車をフルオープンで走らすと、爽快な気分だね」
「フルオープンのJEEPというのは乗り方があってね、
身体を後ろに反って、ふんぞり返って運転するんだ」
「乗用車を運転するように、決してお上品に座って運転
してはいけない」「助手席の人もそうだ」
ピー 「おいらも乗ってみたいな!」
パパ 「JEEPの運転は、難しいよ~」
「ミッションは、フルシンクロでないからガリッと音がする」
「チェンジレバーが3本あって、全部で16段のギアーを
道路状況に応じて切替えて運転するんだ」
ピー 「16段? F1みたいだね」
パパ 「回転半径がとても大きいし、早めにハンドルを切らないと
曲がれない。しかも、自分でハンドルを戻さないと駄目だ」
ピー 「現在の自動車と随分違うね」
パパ 「そういうことを知らないで本物のJEEPを運転すると、
事故を起こしかねない」
「JEEPは軍用車だから、色んな仕掛けがあるんだけれど、
長くなるから止めとこう」
ピー 「高原の雪道なんかどう?」
パパ 「スピードを出すと、乗用車と同じように危険だ」
「4WDというのは、スタックし難いというだけだよ」
「但し、低速運転では、驚くべき走破性能を有するね」
ピー 「どんなことかな?」
パパ 「階段を登ることなんかボロクソだ。何回も登ったね」
「神社の石段を登って社の中へ入ったりさ」
「突然鳥居からJEEPが現れるので、皆ギョッとするんだ」
「よく叱られたよ~」
ピー 「よくない行動だな~」
パパ 「延暦寺へ行くのに、横川からJEEPで入って、急斜面の土手
を這い上がって有料道路へ入ると、無料になった・・・
ということは忘れたな・・・へへ」
ピー 「時効と言いたいんだろうが」
パパ 「いやいや、そんなことあったかな」
「東海自然歩道も随分走ったな~」
ピー 「な、なぬ~! あれは歩道だよ!」
パパ 「パパの知り合いで、冬の東海自然歩道を4WDで走り、雪で
身動きが取れなくなって、ヘリコプターでサルベージして
貰った人がいるよ。費用が60万円掛かったと言っていた」
ピー 「パパの仲間って、一体どういう人々なん?」
パパ 「奇人・変人が多いな。皆、普通じゃない」
ピー 「う~ん、冗談とも思えないフシがあるな」
パパ 「オフロードを走る場合、4WDでもターボ車は駄目だね」
ピー 「なして駄目だべや?」
パパ 「高回転型のエンジンだからね」
「オフロードは、低速でないと走行できないわな」
「ターボ車は、圧縮比が低いから低速回転ではトルクが
出ない」
ピー 「ガタガタ道や山道でエンストするということかな」
パパ 「そこで、アクセルを踏み込んで回転を上げるとする」
「ターボが効いて回転は上がるんだけど、今度はタイヤが
空転して前へ進まないんだな」
ピー 「なるほど」
パパ 「ま、このような場面は、ガレ場や東海自然歩道を走るような
極端な場合だけどね」
ピー 「でもそういう極端が、4WDの値打ちなんだろ」
パパ 「比叡山周辺には、このようなオフロードが一杯あったけど、
パパ達が無茶苦茶走ったものだから、全面通行止めになった」
「谷川もJEEPでジャブジャブ入っていったね。そこの川原に
山椒魚がいたんだな~」
ピー 「自然破壊じゃんか」「乗ったのはJEEPだけ?」
パパ 「ドイツ車にも乗ったけど、輸入車というのは、同等の日本車
と比較して、2ランクほど性能が落ちるね」
ピー 「ドイツ車って、ベンツとかビーエムとかアウディだろ」
パパ 「その中の一つに乗っていたけど、同クラスの日本車と競争して
全部に負けた。2ランク下の日本車と同等性能だったね」
ピー 「ほんまかいな?」
パパ 「ドイツ車に乗っている人は、このことに気付いていても、
誰も言わないんだな~」
「高速道路で150Km以上出すと、ハンドルがフワフワして
恐怖を感じたね」「ポルシェでも同じだと言っていたな」
ピー 「ドイツ車は、最高品質を誇っているんじゃないの?」
パパ 「それは迷信だ」「日本車こそ、世界最高品質を誇る」
「大体やね~、高速道路で故障しているのは、殆ど外車だ」
ピー 「そう言えばそうだね」
パパ 「アメ車は、毎月どこかが故障しているし、ラテン系の車は、
納車時にもう故障している。英国車は、何時故障するか
心配で乗っていられない」「ドイツ車は、電気系統が弱点だ」
ピー 「それ本当?」
パパ 「パパとその仲間の経験談だ」
「ドイツ車では、実際に電動ウィンドーが開かなくなったね」
「アメ車のチェロキーは、雨漏りがするとも言っていたな」
「しかし、ラテン系のアルファ・ロメオは、不思議と作りが
良かった」
ピー 「アルファ・ロメオ?」
パパ 「そう、イタ車だ。メーター類なんか全てクロームメッキだ」
「最近のプラスチック内装の車とは、全然雰囲気が違うね」
「日本車のように、単なる移動用途じゃなく、ほんに運転を
楽しむ車じゃったね」
「シートも日本車に無い洒落たバケットシートだったよ」
「2000GTVだったけど、デザインも良かった~」
ピー 「ラテン系の車は、なかなかイカしたデザインだね~」
「あの流れるようなラインは、日本車やドイツ車にはないね」
パパ 「日本車のデザインは、曲線の使い方が下手糞だよ」
「妥協の産物的デザインだね。おっさん車だ」
「それと、日本車は、優等生すぎて面白くないんだなぁ」
ピー 「運転を楽しむ車じゃないんだね」
パパ 「JEEPのフルオープンは、異次元の運転感覚を楽しめるよ」
「今、一番乗ってみたい車は、軍用JEEPと往年のイタリア車、
ランチア・ストラトスだね」
ピー 「おいらは軽四で満足~」
パパ 「さて次回は、久しぶりに驚嘆のオーディオ談義だ」
2008年11月5日水曜日
2008年11月4日火曜日
ピートとパパの会話(その29 都会人の田舎暮らし-③)
ピー 「高原生活は、大変だということが分かったけど、
まだ何かあるんかいな」
パパ 「まだまだ。今回は水周りの話だよん」
「とにかく高原の冬は、マイナス10℃以下の極寒になる
からして、その対策が生存の可否を握っているね」
ピー 「おいらは、北欧系なんだけど、面倒な生活は嫌だね」
パパ 「いや、対策をしっかりしておけば問題ないよ」
「北極圏にだって生活している人はいる」
ピー 「何かさ、パパの話を聞いていると、サバイバル風
なんだよね」
パパ 「ま、それくらいの覚悟が必要だね」
「先ず、水道の引き込み管は、深さ90cm以上に埋設
しなければ、冬場に凍結して水が出なくなる」
ピー 「皆さん、そんなことまで勘定に入れてるのかな~」
パパ 「温暖地の工務店は、多分知らないな。こういうことは、
現地の工務店に任せるべきだよ」
「それと、最低2箇所に浸透式の水抜き詮を設置する
必要があるよ」「これがないと、全面凍結だ」
ピー 「恐ろしいね、高原生活ちゅーのは」
パパ 「都会の文化生活を、そのまま持ち込むからだよ」
「昔の井戸があれば、水周りは解決するのさ」
「で、長期間家を留守にする場合は、水抜きをして
出かけるんだよ」
ピー 「何とまー、面倒臭いことだね~」
パパ 「こんなの高原生活の序の口だ」
「もっと大変なのは、水道管の立ち上げ部分にヒーターを
捲かねばならないことだよ」
「でないと、日中でも水道管が凍結する」
ピー 「ちょっと待ってよ。水道管を暖める必要があるの?」
パパ 「んだ。水道管にヒーターを這わせて、断熱材で
グルグル捲きにするんだ」「サーモスタット付きだから、
常にon/offを繰り返している」
ピー 「えらい重装備なんだね、高原ちゅーところは」
パパ 「まぁ、このヒーター代だけで、月2万円かかるかなぁ」
「それと、サーモスタットがよく故障するんだよ」
ピー 「水を飲むだけで、月2万円! やってられないね」
「そこへ薪代がプラスだろう。冬場の常駐は厳しいね~」
パパ 「最近の寒冷地住宅は、水道管を家の中から立ち上げて、
凍結を防ぐようになっているけど、ヒーターは必要
だろうねぇ」
「給湯器も同じようなパイピングが必要だし、24H電源を
入れておかないと凍結するよ」
ピー 「う~ん、おいらは井戸水でいいや」
パパ 「高原住宅のトイレなんだけど、昔の日本式が多いね」
「所謂ポットン式だ。簡易水洗になってはいるけどね」
ピー 「どうして? 最新の水洗式の方が快適じゃんか」
パパ 「そらもう、凍結防止のためだね」
「常駐していて、常に室温が凝固点以上ならいいけどね」
ピー 「旅行で家を空ける場合なんか、どうするのさ」
パパ 「水洗タンクに専用のヒーターを入れて凍結を防ぐか、
完全にタンクの水を流して空にしておくのさ」
「それと、水洗便器の消臭ますに、常に水が溜まって
いるだろ」「そいつが凍結して便器が割れる可能性が
あるんだな」
ピー 「なんや、えげつないことになりそうだね~」
パパ 「そう、えげつないことに・・・」
「で、皆さん考えたんだな~」
「便器に車のラジエーター用の不凍液を入れておくんだ」
「さすれば、長期間不在でも凍結しない」
ピー 「不凍液ね~、変わった使用法があるもんだ」
パパ 「生活の知恵さ」
ピー 「ウォッシュレットなんかどうなの?」
パパ 「そうくると思った」
「凍って壊れてしまうよ」
「寒冷地用のウォッシュレットは、タンクにヒーターが
付いているんだ。そういう仕様のものを設置しないと
壊れて使えなくなるよ」
ピー 「旅行中でも大丈夫なの?」
パパ 「通電さえしておけば凍らない」
ピー 「電源を切れば?」
パパ 「凍るから水抜きをしておく必要がある」
「問題は、ウォッシュレットのタンクは水抜きをしても、
何処かに水が溜まっているんだな。そいつが悪さをする」
「だから、常駐者以外は、ウォッシュレットをつけていない」
ピー 「寒冷地は大変だ。おいら、ハワイがいいな」
パパ 「それに、田舎は下水道が無いから、汲取りの
バキュームカーが走っているよ」
「あたり一面、田舎の香水を撒き散らしている」
ピー 「田舎の香水? そんな車、街じゃ見かけないね~」
パパ 「最近は、合併浄化槽を設置した地下浸透式トイレもあるよ」
「これも清掃メンテナンスが必要だ。自分でするか、プロに
頼むかだね」
ピー 「メンテナンスを一括して引受けてくれる所はないの」
パパ 「あるよ。都会人用の管理会社だ」「年間費用が必要だが、
何か故障しても、直ぐ来てくれるよ」
「都会人向けに開発した居住地には、必ずあるね」
ピー 「便利じゃんか」
パパ 「それとね、高原は大抵積雪があるから、樋をつけると
雪の重みで破壊されるんだ。だから、樋がついている住宅を
見かけないね」
ピー 「こんな色々なこと、本には載っていないね」
パパ 「そらもう、本には楽しいことしか載せないよ」
「危険なのは、全て電気に頼っていることだね」
「高原ちゅーところは、積雪で電線が切れて停電することが
度々ある。落雷もそうだよ」
ピー 「そうなると、凍えてしまうね」
パパ 「命が危ない。大抵の人は、薄着で電気毛布を使っているし、
寝ている間にあの世へ行っちゃう」
ピー 「気をつけないと」
パパ 「だから、予備として、電気を使わない暖房器具が必要なんだ」
ピー 「どんなもの?」
パパ 「薪ストーブがあればいいが、無ければ電気を必要としない
石油ストーブとかね」「懐中電灯や灯油ランプも必要だね」
「一番いいのは、一目散に下界へ降りることだね」
ピー 「おいら、灯油ランプ好きなんだ」
パパ 「灯油ランプは、パパも使っているよん。暗いけど」
ピー 「しかしまあー、高原って、生活するには最悪の地域だね」
パパ 「最近は、整備されているから大丈夫だろうけど、熊や猪
との遭遇もあるね」「鹿との遭遇は、日常茶飯事だよ」
「結局、夏は高原。冬は下界での生活が理想だね」
「遊牧民のように」
ピー 「車は、4WDが必要かな?」
パパ 「勿論だね」「んじゃー、次回は車の話をしよう」
2008年11月3日月曜日
2008年11月2日日曜日
ピートとパパの会話(その28 都会人の田舎暮らし-②)
ピー 「さぁー、ログハウスも出来たし、薪ストーブに火をつけるか」
パパ 「ちょっと待ったー、外気温は零度だ」
「ログハウスを暖めるのに半日以上かかるよ」
「それまでに凍えてしまう」
ピー 「えぇ? 直ぐ温まるんじゃないの~」
パパ 「駄目だね、その間待てないから、皆さん石油ストーブ
を焚いて凌いでいる」
ピー 「また、何かありそうだな~?」
パパ 「高原生活は、そんなに楽じゃないんだよ」
「標高1000mとなると、日本じゃ生活限界だね」
「で、薪ストーブについて、物の本には良いことばかり
書いてあるんだけど、大変な費用がかかるんだよー」
ピー 「何の費用? だって木を燃やすんだろう。灯油より
安く済むんじゃないの~?」
パパ 「なかなか! その燃やす木が問題なんだ」
「常駐するとなると、薪代が、シーズンで10万円くらい
かかる」「夏場にクーラーが要らない分、冬場に
膨大な費用が発生するんだよ」
ピー 「オエ! そんなこと知らなんだ」
パパ 「実際、何十年も薪ストーブを使ってきた人に聞くと、
お金を燃やしているようなもの、と言っていたね」
ピー 「ふ~、そりゃ天下の一大事じゃの~」
「パパの雰囲気からして、燃やす木にも何かありそう
だね?」
パパ 「大ありだね。薪には、クヌギとかの落葉広葉樹が
いいんだ」「針葉樹は、タール分が多くて煙突が
詰まるんだよん」
ピー 「煙突~? 詰まる~?」
パパ 「そうだよ、煙突が詰まって爆発を起こすんだ」
「結果、毎年何件かの火事が発生しているんだ」
ピー 「なっ、なぬー、そげな恐ろしげなこつ!」
パパ 「んだ。タールが詰まらないように、防止薬剤を
一緒に燃やしている人もいる」「これだと針葉樹
でも何とか燃やせるね」「しかし、ススの発生は、
止められない」
ピー 「広葉樹と針葉樹では、燃やし方が違うの?」
パパ 「そう、針葉樹を燃やす場合は、火力を強めて一気に
燃やさないと、タール分が煙突に固着するんだ」
ピー 「広葉樹は、チロチロ燃やすのにいいのかぁ」
「燃えろペチカだね」
「タールやススがこびりついた煙突はどうするのさ?」
パパ 「自分で道具を揃えて、2年に一度くらい煙突掃除を
する人もいる」「プロの煙突掃除屋さんもいるよ。
三拍子のチム・チム・チェリーの歌に出てくる人だ」
ピー 「おいらが掃除をすると、ススで黒ラブになっちゃいそう」
パパ 「また、煙突の設置具合は、燃焼効率に影響するから、
出来るだけ垂直にした方がいいんだよ」
ピー 「ところで、燃やす木は、何処で調達すればええの?」
パパ 「高原だと、近場で薪として売っている。一束400円
くらいかな」「燃焼時間は、一束で一時間もたないん
じゃないかな~」
ピー 「ギョッ! だからお金を燃やしていると言うのかぁ」
パパ 「薪ストーブ派の人達は、毎年薪を集めるのに大変な
努力をしているんだよ」
「木を切ると聞けば、飛んで貰いに行くんだ」
「或いは、チェンソーを持って行って自分で伐るんだ」
「高原のあちこちで、チェンソーの音や薪割りの音が
響いているよ」
ピー 「啄木鳥のドラミングならいいけどね」
パパ 「大体皆さん、薪小屋を作って2年分くらい貯木・乾燥
させているね。それが趣味の人もいる」
ピー 「森の生活だねぇ」
パパ 「それと、買った木は既に薪になっているけど、
貰った木は自分で薪割をしないと駄目なんだ」
ピー 「自分で~? 薪割~?」
パパ 「薪を作るには、チェンソーが要るんだな」
「それも、エンジンのね」「電動は、馬力が無い」
ピー 「チェンソーって、森の木こりだね」
パパ 「大木を伐るには、外国製の大型チェンソーが必要だね」
「ハスクバーナーとかスチール社のチェンソーが有名だ」
「20cmくらいの丸太までなら、日本製の小型で充分だ」
ピー 「伐り方にもウンチクがあるんだろ」
パパ 「木を伐り倒すなら、先ず倒す方向に受口となる切れ込み
を入れるんだ。そして、反対側から伐って倒すのさ」
「伐ったり輪切りにするには、慣れが必要だね」
ピー 「輪切りにした木をオノで割って薪にするんだろう」
パパ 「そう、オノだ。最近は、洒落込んでアックスと言う」
「ま、大変な重労働だね。とにかく1年中薪割りと草刈だ」
「薪割りに疲れてしまって、エンジン薪割機を買う人もいる」
ピー 「もうもう、田舎生活ちゅーのは疲れるね」
パパ 「そういう困苦を楽しむことが、都会人の田舎スタイル
となっているんだなー」
「元々田舎に住んでいる人は、こんな苦労をしていない。
ちゃんと循環型生活になっているし、標高1000m以下を
居住範囲としている」「高地に住もうとするのは、都会人の
単なる田舎趣味だね」
「都会人の生活スタイルは、殆ど消費オンリーだよ」
「現地の人から見れば、彼等の高原生活は、都会人一流の
ファッションだと写るだろうね」
ピー 「ファッションね~・・・」
パパ 「しかしね、ログや薪ストーブでの田舎暮らしは、
退職後10年くらいで限界が来ると思うよ」
「それ以上は、体力的にも健康的にも厳しいね。特に
高原での生活は」
ピー 「70歳で限界を迎えるのかぁ」
「終の棲家は、ファッション高原では駄目なんだねぇ」
パパ 「次回は、高原での水周りについて語ろう」
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