2008年11月9日日曜日

ピートとパパの会話(その31 知られざるオーディオ世界)


ピー  「上の写真は?」
パパ 「パパのオーディオ実験装置だよ」
    「さて、久しぶりにオーディオ談義をしよう」
ピー  「今回のテーマは何?」
パパ 「知られざるオーディオの世界を紹介するよ」
ピー  「どんな世界なん?」
パパ 「先ず、スピーカーの世界だ」
    「例えば、スピーカーは大抵壁際に置くだろう」
    「その壁との距離を問題にする人がいる」
    「毎日少しずつ前後に動かし、一番良い音がする位置を
    求めるんだ」「ま、50cmくらいの間なんだけど、
    その位置を決定するのに2年ほどかけるんだ」
ピー  「驚くね。そんなことで音が変わるの?」
パパ 「さーね。パパには聴き分けられないね」
ピー  「だとすれば、どうでも良いことのようだけど」
パパ 「実際は、距離によって音の干渉が変化するから、あながち
    無意味とは限らないんだ」
    「それに、低音の位相は遅れるので、問題と言えば問題だね」
    「だから、低音スピーカーをやや前方に設置したスピーカー
    ボックスもあるよ」
ピー  「位相って?」
パパ 「音の波形を時間軸で表したものだ」
    「音は、周波数によって異なる時間遅れを生じるんだ」
    「この時間の遅れを、位相が遅れるというんだよ」
ピー  「全く理解でけんが、音がどう聴こえるのさ?」
パパ 「要するに不自然な音になる」「スピーカーの位置を動かす
    ことによって、それを是正するんだ。数ミリずつね」
ピー  「数ミリずつ! だから2年もかかるのかぁ」
パパ 「この2年かけた人は、秋葉原のカリスマ店員でね、雑誌にも
    よく顔を出しているよ。音の殺し屋と呼ばれている」
    「この人には、色々なことを教えて貰ったなぁ」
ピー  「ここまで来ると、普通のオーディオ趣味じゃないね」
パパ 「最近、レコードが流行っているけど、古いレコードは
    録音特性の規格が色々あるんだよ」
ピー  「いつ頃の話よ」
パパ 「1958年以前のLPレコードを聴く場合の話だよ」
ピー  「古!」
パパ 「普通のオーディオ趣味じゃないけんね」
    「昔のレコードは、各社各様の録音特性で制作されているんだ」
    「それが、1958年にRIAA特性という規格に統一された」
ピー  「そんなの初耳だね」
パパ 「普通の人は知らないね」
    「その頃のジャズのLPレコードなんかが問題となる」
    「マイルスの原盤レコードとかね」
ピー  「音質が問題になるの?」
パパ 「音質もだけど、現在のプリアンプの再生規格と合わない」
    「高音がきついとか、低音が出すぎるとか、音が自然じゃ
    ないんだな」「だから、そのレコード会社の録音規格に
    合わせて聴く必要があるんだ」
ピー  「ほと、レコード・コレクターなんちゅーのは、どないして
    聴いてはるの?」
パパ 「各々のレコード会社に合わせて聴く装置を持っているんだ」
    「マッキントッシュのC8というプリアンプがそうだね」
    「ヴィンテージ物だから20~30万円するよ」
    「或いは、自作のプリアンプを使っている人もいてはるね」
ピー  「そのプリアンプをガチャガチャ切替えて聴くんだね」
    「手の込んだことだね~」
パパ 「正しい音で聴くには、どうしても必要な装置だね」
    「規格もRIAA, NAB, COL, RCA, FFRR, AESと
    6種類あるんだよ」
    「この規格とレコードの録音規格とをピッタリ合わせて
    聴かないと駄目なんだ」
    「そうしないと、このレコードは録音が悪いという誤った
    判断をすることになる」
ピー  「録音規格の見方は?」
    「どの規格で録音されているかは、当時のレコードに印刷
    してあるけど、無ければ会社名で判断するしかないね」
ピー  「レコード・コレクターというのは、面倒なんだね~」
パパ 「60年代からのレコードは、RIAA規格に統一されているから
    このような心配はないよ」
    「さて、流行の真空管についても問題ありきだ」
ピー  「真空管なんていう前近代的なものをまだ製造しているの?」
パパ 「現在でも、ロシアを始め旧共産圏の国々で製造しているよ」
    「ロシアでは、スベトラーナというメーカーが有名だ」
    「スベトラーナと言うのは、スターリンの娘の名前だよ」
    「中国は、曙電子」「チェコとかユーゴも製造しているね」
ピー  「ヘ~、よく知っているね」
パパ 「そこで問題がある」「旧共産圏の製品は、過去の米国、
    日本、西ドイツ製に比べて品質が劣るんだな~」
    「だから、自由主義圏の真空管は、プレミアが付いて高額
    なんだ」「共産圏で一番安いのは、ご多分に漏れず中国製・・・」
ピー  「中国製ね~・・・いやだな」
パパ 「もっと問題なのが、真空管が骨董品となってきたことだね」
    「そうなると悪徳商人が、安い真空管に高額な真空管の
    名前を刻印してぼろ儲けをするんだよ」
ピー  「防止できないの」
パパ 「今のところ、真空管を覗き込んで、電極構造から偽物を判断
    するしかないね」「それには、何より経験が必要なんだ」
ピー  「普通の人は、騙されるね」
パパ 「そうだよ、オークションなんかが一番危ない」
    「偽物真空管は、本物と特性が違うからアンプが壊れる
    可能性もある」
    「一番良いのは、信用のおける専門店での購入だ」
ピー  「パパは、信用のおける店を知っているの?」
パパ 「何軒も知っているよ」
    「更に変なのは、同じ電気的特性で製造されているのに、
    メーカーによって音が変わると言うんだな~」
    「でもそれによって、真空管屋さんが成立っていると言っても
    過言じゃないね」
ピー  「世界的な統一規格の意味が無いじゃん」
パパ 「そういうことを言って、特定メーカーの製品価格を
    吊り上げて儲けるんだよ」「評論家も関わっているね」
    「まだまだ酷い話があるけど、長くなるからこの辺に
    しておこう」
ピー  「次回の話は何?」
パパ 「一杯あるからね~、何にしようかな」