パパ 「今日は、経済の話をしようかな」
ピー 「世の中、金融とか株とか恐慌とか、一体何なの?」
パパ 「米国発の金融不安で、恐慌状態だと言ってるんだよ」
ピー 「恐慌って1930年代のことだろ?」
パパ 「そう、それ以降ケインズというおっさんが、経済学の
建て直しを図ったんだ」「特に、古典派経済学の問題を
克服しようとしたのさ」
ピー 「ケインズって、英国の経済学者だったね」
「で、古典派経済学の問題とは?」
パパ 「所謂自由放任主義だね」「セイの法則 てーのに支配されて
いたんだ」「その法則が元で世界恐慌が起こったと、
パパは考えているんだ」
ピー 「セイの法則?」
パパ 「超簡単に言えば、供給が需要を生むという考え方だね」
ピー 「物が売れなければ価格が下るから、再び需要が起こるという
ことかな」
パパ 「そ、教科書に出てくる需要・供給曲線の価格均衡点のことね」
「価格が安くなれば必ず売れるという考え方だから、不況に
ならないと信じていたんだ」「政府も市場介入をしない」
ピー 「だから、イケイケどんどんで生産を行った結果、物が溢れて
遂に売れなくなったのか~」
「それが、1930年代の世界恐慌だね」
パパ 「ケインズおっさんは、需要と供給だけで経済を説明するのは
問題で、雇用と投資を組み入れた有効需要という考え方が
必要だと説いたんだよん」
ピー 「初めて投資と完全雇用の概念を取り入れたんだね」
「マクロ経済学の誕生だ」
パパ 「一番功を奏したのが、ケインズ理論に基づいたルーズベルトの
ニューディール政策かなぁ」
ピー 「経済学者が言うところのケインズ革命だね」
パパ 「あれは社会投資だけど、その結果、雇用も創出されて経済も
回復したんだよ。でも途中で止めちまって、また不況さね」
ピー 「経済政策って、重要なんだね~」
パパ 「その後、マクロ経済学は、インフレ解消と完全雇用の達成に
頭を抱えることになるんだな」
ピー 「それって、一昔前の経済理論だね」
パパ 「おっ、わかっちょるね」
「インフレ解消ちゅーのは、ケインズ理論を持ってしても
解決困難だったようだ」
ピー 「新たな施策は?」
パパ 「サミュエルソン教授の登場だ」
「混合経済学というのを提唱したんだ」
ピー 「混合? 2サイクルエンジンみたいだね~」
パパ 「資本主義経済に、社会主義経済の要素を取り入れたんだよ」
ピー 「ん? 社会主義経済を資本主義に~、矛盾じゃんか?」
パパ 「社会主義というのは、党が経済をコントロールするじゃない」
「その経済のコントロールという概念を取り入れたんだ」
ピー 「わかんないな・・・?」
パパ 「つまり、お金の流通量をコントロールするんだよ」
「銀行の窓口規制、公定歩合の決定、公開市場操作とかの方法に
よってね」
ピー 「一体誰がそれをするの?」
パパ 「日本であれば日銀、米国であれば合衆国銀行、英国であれば
イングランド銀行だね」
「それらの銀行が、経済のコントロールをするのさ」
「つまり、政府が市場に介入する訳だ」
「さて、それがうまく機能する筈だったが・・・」
ピー 「どうなったの?」
パパ 「規制緩和だとかね、途中でコントロールを甘くしたのさ」
「特に金融面でね」
ピー 「だって~、問題があるから経済をコントロールしたんだろ?」
パパ 「ふふ、米国主体の自由放任経済の復活が始まったんだ」
ピー 「なしてまた、そんこつをやったべや?」
パパ 「そらもう、社会主義経済の崩壊によるところが大きいね」
「米国の一人勝ち。それが、今日の放任的経済の始まりだ」
ピー 「そーれから」
パパ 「んでもって、FRBのグリーン・スパン氏が、自由経済の旗の下、
またしても1930年以前のイケイケどんどんをやらかしたんだ」
「今度は、金融商品でね」
ピー 「セイの法則の亡霊だ」「世界の迷惑だね」
パパ 「金融論でさ、信用創造の理論というのがあってさ、100円の
投資をすると、投資先が法定準備率(仮に10%)の10円を残して、
90円を新たな投資に使う」「次の投資先は、9円だけ残して
81円を何処かに投資する・・・・」
ピー 「元の100円が、市場で膨らんで行くということ?」
パパ 「うん、法定準備率分だけを残して、
投資金額を100円+90円+81円+・・・・と足していくとね、
計1000円となる」「これを信用創造というんだ」
ピー 「なんじゃそら。 お金の錬金術じゃんか」
「金融界というのは、そんなことばかりやっちょるのかー」
パパ 「日常茶飯事だね」
「例えばね、資産を現金・債券で持つか、株で持つか、
ピートならどうする?」
ピー 「おいらは、全部ご飯に使っちゃうな」
パパ 「はは、それでは儲からない」
「債券、つまり国債で持つか、或いは株式で持つかは、
その時の利子率で決まるのさ」
ピー 「利子が安けりゃ株を購入するし、利子が高けりゃ債券で持つ
ということか」「つまり運用ということだね」
パパ 「金融論では、これを流動性選好という」
「近年では、それに為替や原油、食料までもが加わった」
「米国を中心とした世界の金融界は、90年以降そんなことばかり
やってきた」
ピー 「投機マネーだね」
「それが、今回の金融危機に発展したのか~」
パパ 「そういうことだと、パパは考えている」
「今や金融商品は、ハイリスク・マイナスリターンとなった」
ピー 「誰も手を出さないということかぁ」
パパ 「米国のマクロ経済屋さんも、もう一度ケインズ経済学や
サミュエルソン経済学を読み直して見る必要があると思うな」
ピー 「ところでさ、巷で言うマルクス経済学って何なのさ?」
「資本論とかさあ~」
パパ 「あれは、単に儲けの分捕り合戦を経済学として表したものだよ」
「資本家と労働者間のね」
ピー 「えらく簡単な表現だね」
パパ 「これが、マルクス経済学の根本原理だよん」
「あとは、枝葉を付けて理論をメタボにしたに過ぎない」
「メタボの部分は、専門家に任せておけばよろしい」
「問題は、イデオロギー面を強調しすぎたことだな」
ピー 「そのイデオロギーちゅう奴のせいで、世界で何千万人もの
人が死んだのか」
パパ 「ただ、純粋に経済学としては、興味もある」
ピー 「それとさ、中国の社会主義市場経済ってなんなん?」
パパ 「一党独裁の国家資本主義経済で、超矛盾だらけだね~」
「中国のマルクス経済学者は、これをどう教えているのか、
とても興味があるよ・・・考えると笑えてくるねぇ」
「その話は、またの機会にしよう」
ピー 「次回は?」
パパ 「他では聞けない話ってどうかな」