2008年11月29日土曜日

ピートとパパの会話(その35 マクロ経済の話)


パパ 「今日は、経済の話をしようかな」
ピー  「世の中、金融とか株とか恐慌とか、一体何なの?」
パパ 「米国発の金融不安で、恐慌状態だと言ってるんだよ」
ピー  「恐慌って1930年代のことだろ?」
パパ 「そう、それ以降ケインズというおっさんが、経済学の
    建て直しを図ったんだ」「特に、古典派経済学の問題を
    克服しようとしたのさ」
ピー  「ケインズって、英国の経済学者だったね」
    「で、古典派経済学の問題とは?」
パパ 「所謂自由放任主義だね」「セイの法則 てーのに支配されて
    いたんだ」「その法則が元で世界恐慌が起こったと、
    パパは考えているんだ」
ピー  「セイの法則?」
パパ 「超簡単に言えば、供給が需要を生むという考え方だね」
ピー  「物が売れなければ価格が下るから、再び需要が起こるという
    ことかな」
パパ 「そ、教科書に出てくる需要・供給曲線の価格均衡点のことね」
    「価格が安くなれば必ず売れるという考え方だから、不況に
    ならないと信じていたんだ」「政府も市場介入をしない」
ピー  「だから、イケイケどんどんで生産を行った結果、物が溢れて
    遂に売れなくなったのか~」
    「それが、1930年代の世界恐慌だね」
パパ 「ケインズおっさんは、需要と供給だけで経済を説明するのは
    問題で、雇用と投資を組み入れた有効需要という考え方が
    必要だと説いたんだよん」
ピー  「初めて投資と完全雇用の概念を取り入れたんだね」
    「マクロ経済学の誕生だ」
パパ 「一番功を奏したのが、ケインズ理論に基づいたルーズベルトの
    ニューディール政策かなぁ」
ピー  「経済学者が言うところのケインズ革命だね」
パパ 「あれは社会投資だけど、その結果、雇用も創出されて経済も
    回復したんだよ。でも途中で止めちまって、また不況さね」
ピー  「経済政策って、重要なんだね~」
パパ 「その後、マクロ経済学は、インフレ解消と完全雇用の達成に
    頭を抱えることになるんだな」
ピー  「それって、一昔前の経済理論だね」
パパ 「おっ、わかっちょるね」
    「インフレ解消ちゅーのは、ケインズ理論を持ってしても
    解決困難だったようだ」
ピー  「新たな施策は?」
パパ 「サミュエルソン教授の登場だ」
    「混合経済学というのを提唱したんだ」
ピー  「混合? 2サイクルエンジンみたいだね~」
パパ 「資本主義経済に、社会主義経済の要素を取り入れたんだよ」
ピー  「ん? 社会主義経済を資本主義に~、矛盾じゃんか?」
パパ 「社会主義というのは、党が経済をコントロールするじゃない」
    「その経済のコントロールという概念を取り入れたんだ」
ピー  「わかんないな・・・?」
パパ 「つまり、お金の流通量をコントロールするんだよ」
    「銀行の窓口規制、公定歩合の決定、公開市場操作とかの方法に
    よってね」
ピー  「一体誰がそれをするの?」
パパ 「日本であれば日銀、米国であれば合衆国銀行、英国であれば
    イングランド銀行だね」
    「それらの銀行が、経済のコントロールをするのさ」
    「つまり、政府が市場に介入する訳だ」
    「さて、それがうまく機能する筈だったが・・・」
ピー  「どうなったの?」
パパ 「規制緩和だとかね、途中でコントロールを甘くしたのさ」
    「特に金融面でね」
ピー  「だって~、問題があるから経済をコントロールしたんだろ?」
パパ 「ふふ、米国主体の自由放任経済の復活が始まったんだ」
ピー  「なしてまた、そんこつをやったべや?」
パパ 「そらもう、社会主義経済の崩壊によるところが大きいね」
    「米国の一人勝ち。それが、今日の放任的経済の始まりだ」
ピー  「そーれから」
パパ 「んでもって、FRBのグリーン・スパン氏が、自由経済の旗の下、
    またしても1930年以前のイケイケどんどんをやらかしたんだ」
    「今度は、金融商品でね」
ピー  「セイの法則の亡霊だ」「世界の迷惑だね」
パパ 「金融論でさ、信用創造の理論というのがあってさ、100円の
    投資をすると、投資先が法定準備率(仮に10%)の10円を残して、
    90円を新たな投資に使う」「次の投資先は、9円だけ残して
    81円を何処かに投資する・・・・」
ピー  「元の100円が、市場で膨らんで行くということ?」
パパ 「うん、法定準備率分だけを残して、
    投資金額を100円+90円+81円+・・・・と足していくとね、
    計1000円となる」「これを信用創造というんだ」
ピー  「なんじゃそら。 お金の錬金術じゃんか」
    「金融界というのは、そんなことばかりやっちょるのかー」
パパ 「日常茶飯事だね」
    「例えばね、資産を現金・債券で持つか、株で持つか、
    ピートならどうする?」
ピー  「おいらは、全部ご飯に使っちゃうな」
パパ 「はは、それでは儲からない」
    「債券、つまり国債で持つか、或いは株式で持つかは、
    その時の利子率で決まるのさ」
ピー  「利子が安けりゃ株を購入するし、利子が高けりゃ債券で持つ
    ということか」「つまり運用ということだね」
パパ 「金融論では、これを流動性選好という」
    「近年では、それに為替や原油、食料までもが加わった」
    「米国を中心とした世界の金融界は、90年以降そんなことばかり
    やってきた」
ピー  「投機マネーだね」
    「それが、今回の金融危機に発展したのか~」
パパ 「そういうことだと、パパは考えている」
    「今や金融商品は、ハイリスク・マイナスリターンとなった」
ピー  「誰も手を出さないということかぁ」
パパ 「米国のマクロ経済屋さんも、もう一度ケインズ経済学や
    サミュエルソン経済学を読み直して見る必要があると思うな」
ピー  「ところでさ、巷で言うマルクス経済学って何なのさ?」
    「資本論とかさあ~」
パパ 「あれは、単に儲けの分捕り合戦を経済学として表したものだよ」
    「資本家と労働者間のね」
ピー  「えらく簡単な表現だね」
パパ 「これが、マルクス経済学の根本原理だよん」
    「あとは、枝葉を付けて理論をメタボにしたに過ぎない」
    「メタボの部分は、専門家に任せておけばよろしい」
    「問題は、イデオロギー面を強調しすぎたことだな」
ピー  「そのイデオロギーちゅう奴のせいで、世界で何千万人もの
    人が死んだのか」
パパ 「ただ、純粋に経済学としては、興味もある」
ピー  「それとさ、中国の社会主義市場経済ってなんなん?」
パパ 「一党独裁の国家資本主義経済で、超矛盾だらけだね~」
    「中国のマルクス経済学者は、これをどう教えているのか、
    とても興味があるよ・・・考えると笑えてくるねぇ」
    「その話は、またの機会にしよう」
ピー  「次回は?」
パパ 「他では聞けない話ってどうかな」