パパ 「今回は、ダムと生態系の話だ。それと植物ね」
ピー 「パパは、ダム建設に反対なの」
パパ 「ダムの必要性によるね」
「今日は、ダム建設の話じゃなくて、ダムと生態系
についてだよ」
ピー 「ほうほう」
パパ 「ダムの目的は、何だと思う」
ピー 「う~ん、発電、灌漑、治水かな」
パパ 「ダムが出来たことによって、洪水なんかも無くなるよね」
ピー 「大雨でも安全に暮らせる」
パパ 「ところがさ、洪水が無くなることによって問題が起こるんだ」
ピー 「分かった! 上流から肥えた土が流れてこなくなり、
土地が痩せてくるんだ」
パパ 「ちゃう! それは、一般論だ。実は、考えもしないことだ」
「日本の淡水魚の約半数が、洪水が起きないと産気づかない
んだよ」「だから、ダムが出来たことによって洪水が
無くなり、魚の数が減少してきたんだ」
ピー 「な、なぬ~! 洪水で産気づく~?」「そんなこつ?」
パパ 「じゃから、人工的に洪水を起こしたりするんだよ」
「洪水というより、一時的に水位を上げるんだけどね」
「するとまた、魚の数が増えてくる」
ピー 「本当かな~」
パパ 「実際は、貝類等も絡んでいて、もう少し複雑なんだけどね」
「これは、淡水生物の研究者に聞いた話だよ」
ピー 「面白いことがあるもんだね~」
パパ 「ダムに関係することで、もう一つあるよ」
「水力発電所では、発電効率を上げるためにダムの底の水を
使うんだ」
ピー 「底の水~?」
パパ 「ダムの底にある水は、冷たくて重いから発電機の水車を
回す効率が良いんだ」「するとまた問題が起こる」
ピー 「ダムちゅーのは、問題ばかりじゃんか」
パパ 「で、底の水は冷たいから、下流で冷害が起きるんだよ」
ピー 「ダムから放流された冷たい水を田圃に引き込んでいるんだね」
パパ 「そう、だから電力会社にお願いして、底の水を使わないように
して貰ったんだよ」
ピー 「何かさ、おいら達の知らないところで、色々な事が起こって
いるんだね」「生態系って微妙だね~」
パパ 「その研究者は、琵琶湖の渡り鳥と魚の関係も話していたな」
「最近、琵琶湖に居ついて渡りをしない鳥が増えてきたんだ」
「普通は、帰るタイミングを逸したのかなと思うけど、
研究者の見解は違うんだな~」
ピー 「渡りが面倒臭くなったんだろう」
パパ 「ちゃう、琵琶湖の鮎が増えて、夏でも餌が豊富になったんだ」
「だから、餌を求めて渡りをする必要が無くなったんだよ」
ピー 「どうして鮎が増えたのさ」
パパ 「日本人のパン食のせいだ」
ピー 「パン~?」
パパ 「昔、日本人の多くは、ごはんと小鮎の佃煮で朝食を
済ませていた」
ピー 「そうか、ごはんと小鮎の佃煮は合うんだよね」
パパ 「最近、パン食が増えたために鮎が売れなくなったんだ」
「で、漁師が鮎漁をあまりしなくなった結果、鮎が琵琶湖に増え、
鳥は餌を求めて渡りをする必要が無くなった。という事を
話していた」
「竹生島で鵜が増えたのも、この理由かも知れない」
ピー 「うん? でもさ、それは人間との関係で鮎が増減したんだろう」
「佃煮以前の古代の渡り鳥がどうだったかだよ。?」
パパ 「よい質問だね。琵琶湖は、全国の河川へ稚鮎を供給しているんだ」
「そのため、琵琶湖周辺で消費される量以上に鮎がいるんだよ」
「で、その内の佃煮分が余ってきたのさ」「古代よりも遥かに
多くの鮎がいるんだ」
「鳥は、その余り分を食うことで、渡りをしなくても暮らせる」
ピー 「そういうことか。まだ一部の渡り鳥だろうけど」
「今回の話の因果関係はさ、間の話が無くて急に変な結果が
出てくるよね」「俗に言う風が吹けば桶屋が儲かる式の話に
聞えるけど、一体全体、風と桶屋の因果関係って何よ?」
パパ 「え~とね、風と桶屋は、確か論理学に出てくるんだよね」
「昔の引用だけど・・・
(風が吹けば、砂埃がたつ)
(砂埃がたつと、それが目に入り三味線を弾く盲人が増える)
(盲人が増えれば、三味線が沢山いる)
(三味線が沢山いると、皮を張るのに猫が沢山殺される)
(猫が沢山殺されると、鼠が増える)
(鼠が増えると、桶が沢山かじられる)
(∴ 風が吹くと桶屋が儲かる)」
「これを、アリストテレスの連鎖式という」
「ま、思わぬところに影響が出ると言う意味合いかな」
ピー 「琵琶湖の例で言うと、パン食が増えると鳥が居座るだな」
パパ 「まっ、ま~ね~・・・・・」
「長くなりそうだから、植物の生態系は次回にしよう」