2008年11月2日日曜日

ピートとパパの会話(その28 都会人の田舎暮らし-②)


ピー  「さぁー、ログハウスも出来たし、薪ストーブに火をつけるか」
パパ 「ちょっと待ったー、外気温は零度だ」
    「ログハウスを暖めるのに半日以上かかるよ」
    「それまでに凍えてしまう」
ピー  「えぇ? 直ぐ温まるんじゃないの~」
パパ 「駄目だね、その間待てないから、皆さん石油ストーブ
    を焚いて凌いでいる」
ピー  「また、何かありそうだな~?」
パパ 「高原生活は、そんなに楽じゃないんだよ」
    「標高1000mとなると、日本じゃ生活限界だね」
    「で、薪ストーブについて、物の本には良いことばかり
    書いてあるんだけど、大変な費用がかかるんだよー」
ピー  「何の費用? だって木を燃やすんだろう。灯油より
    安く済むんじゃないの~?」
パパ 「なかなか! その燃やす木が問題なんだ」
    「常駐するとなると、薪代が、シーズンで10万円くらい
    かかる」「夏場にクーラーが要らない分、冬場に
    膨大な費用が発生するんだよ」
ピー  「オエ! そんなこと知らなんだ」
パパ 「実際、何十年も薪ストーブを使ってきた人に聞くと、
    お金を燃やしているようなもの、と言っていたね」
ピー  「ふ~、そりゃ天下の一大事じゃの~」
    「パパの雰囲気からして、燃やす木にも何かありそう
    だね?」
パパ 「大ありだね。薪には、クヌギとかの落葉広葉樹が
    いいんだ」「針葉樹は、タール分が多くて煙突が
    詰まるんだよん」
ピー  「煙突~? 詰まる~?」
パパ 「そうだよ、煙突が詰まって爆発を起こすんだ」
    「結果、毎年何件かの火事が発生しているんだ」
ピー  「なっ、なぬー、そげな恐ろしげなこつ!」
パパ 「んだ。タールが詰まらないように、防止薬剤を
    一緒に燃やしている人もいる」「これだと針葉樹
    でも何とか燃やせるね」「しかし、ススの発生は、
    止められない」
ピー  「広葉樹と針葉樹では、燃やし方が違うの?」
パパ 「そう、針葉樹を燃やす場合は、火力を強めて一気に
    燃やさないと、タール分が煙突に固着するんだ」
ピー  「広葉樹は、チロチロ燃やすのにいいのかぁ」
    「燃えろペチカだね」
    「タールやススがこびりついた煙突はどうするのさ?」
パパ 「自分で道具を揃えて、2年に一度くらい煙突掃除を
    する人もいる」「プロの煙突掃除屋さんもいるよ。
    三拍子のチム・チム・チェリーの歌に出てくる人だ」
ピー  「おいらが掃除をすると、ススで黒ラブになっちゃいそう」
パパ 「また、煙突の設置具合は、燃焼効率に影響するから、
    出来るだけ垂直にした方がいいんだよ」
ピー  「ところで、燃やす木は、何処で調達すればええの?」
パパ 「高原だと、近場で薪として売っている。一束400円
    くらいかな」「燃焼時間は、一束で一時間もたないん
    じゃないかな~」
ピー  「ギョッ! だからお金を燃やしていると言うのかぁ」
パパ 「薪ストーブ派の人達は、毎年薪を集めるのに大変な
    努力をしているんだよ」
    「木を切ると聞けば、飛んで貰いに行くんだ」
    「或いは、チェンソーを持って行って自分で伐るんだ」
    「高原のあちこちで、チェンソーの音や薪割りの音が
    響いているよ」
ピー  「啄木鳥のドラミングならいいけどね」
パパ 「大体皆さん、薪小屋を作って2年分くらい貯木・乾燥
    させているね。それが趣味の人もいる」
ピー  「森の生活だねぇ」
パパ 「それと、買った木は既に薪になっているけど、
    貰った木は自分で薪割をしないと駄目なんだ」
ピー  「自分で~? 薪割~?」
パパ 「薪を作るには、チェンソーが要るんだな」
    「それも、エンジンのね」「電動は、馬力が無い」
ピー  「チェンソーって、森の木こりだね」
パパ 「大木を伐るには、外国製の大型チェンソーが必要だね」
    「ハスクバーナーとかスチール社のチェンソーが有名だ」
    「20cmくらいの丸太までなら、日本製の小型で充分だ」
ピー  「伐り方にもウンチクがあるんだろ」
パパ 「木を伐り倒すなら、先ず倒す方向に受口となる切れ込み
    を入れるんだ。そして、反対側から伐って倒すのさ」
    「伐ったり輪切りにするには、慣れが必要だね」
ピー  「輪切りにした木をオノで割って薪にするんだろう」
パパ 「そう、オノだ。最近は、洒落込んでアックスと言う」
    「ま、大変な重労働だね。とにかく1年中薪割りと草刈だ」
    「薪割りに疲れてしまって、エンジン薪割機を買う人もいる」
ピー  「もうもう、田舎生活ちゅーのは疲れるね」
パパ 「そういう困苦を楽しむことが、都会人の田舎スタイル
    となっているんだなー」
    「元々田舎に住んでいる人は、こんな苦労をしていない。
    ちゃんと循環型生活になっているし、標高1000m以下を
    居住範囲としている」「高地に住もうとするのは、都会人の
    単なる田舎趣味だね」
    「都会人の生活スタイルは、殆ど消費オンリーだよ」
    「現地の人から見れば、彼等の高原生活は、都会人一流の
    ファッションだと写るだろうね」
ピー  「ファッションね~・・・」
パパ 「しかしね、ログや薪ストーブでの田舎暮らしは、
    退職後10年くらいで限界が来ると思うよ」
    「それ以上は、体力的にも健康的にも厳しいね。特に
    高原での生活は」
ピー  「70歳で限界を迎えるのかぁ」
    「終の棲家は、ファッション高原では駄目なんだねぇ」
パパ 「次回は、高原での水周りについて語ろう」