2008年10月5日日曜日

ピートとパパの会話(その21 愛と憎しみの等しい拡張)


パパ 「さて、子供に対する母親の虐待は、何故起きるのだろう」
ピー  「おいらには、全く理解できない」
パパ 「普通、どの子も可愛い筈だと思うけどね~?」
    「しかし、子供の命を絶つ母親さえいる。何故だろう?」
ピー  「心理学者が、色々分析・説明しているんじゃないの」
パパ 「そうだろうけど、原因が分かるのであれば、対策が
    立てられると思うけど、一向に減らないね」
ピー  「迷宮に入って結論が出ていない?」
パパ 「出ていないね~。本当は、心理学や精神医学では説明
    できないんじゃないのかなぁ」
ピー  「パパは、どう思っているの?」
パパ 「世の中に '現象学' という学問がある」
    「これは、物事をありのままに見るという学問だ」
ピー  「現象学? 名前からして哲学じゃないの」
パパ 「ドイツ哲学だ。フッサールとかヘーゲルとかのね」
    「パパも詳しくは分からない」
ピー  「で、その現象学で説明がつくの?」
パパ 「現象学では、母親の虐待を ’愛と憎しみの等しい拡張’と
    解釈する」
    「愛と憎しみの感情が、原点を中心としてプラスとマイナス方向へ、
    扇形に 等しく拡張していくんだ」
    「つまり、愛情が増えていくと同時に、憎しみもまた等しく
    増えると見る」
ピー  「エ~! 憎しみも増える~?」
パパ 「衝撃的だろうが、そうだ」
    「愛情と同時に憎しみも増えるから、虐待が出来るのさ」
    「物事の現象をありのままに見るとこうなる」
ピー  「でもさー、社会とか生活環境とかが作用するんじゃないの~」
パパ 「それは、結果に至る条件を並べたに過ぎない」
    「仮にそういう原因があるとしても、何故それが、わが子を
    虐待する行動へ繋がるのか、論理的にも感情的にも説明が
    つかない」
ピー  「う~ん、確かに不可解だね~」
パパ 「感情というのは、原点を中心として、シーソーのように左右へ
    揺れ動く」
    「その揺らぎの引き金となるのが、社会や固有の生活環境とかの
    条件ではないかと、パパは考えている」
ピー  「そうか、’えっ、あの大人しい人がー’ と驚くことがあるけど、
    現象学で考えれば、さもありなん、ということか」
パパ 「その逆もあり得る」「ヤクザ屋さんが涙もろいとかさ」
    「人格や感情というのは、両面で成立っている気がするね」
ピー  「何故そうなっているのかな~」
パパ 「それは、進化の過程を研究してみないと分からん」
    「しかし、最近の複雑な出来事を学問的に説明するには、
    現象学だけではチト役不足かも知れないね」
    「ま、現在の学問では、これくらいしか分からん、と言うのが
    本音だろうね」
ピー  「さよか、おいらは平和な人生を過ごしたいな」
パパ 「次回は、趣味と生活環境について語ろう」