2008年10月30日木曜日

ピートとパパの会話(その27 都会人の田舎暮らし-①)


パパ 「さて、都会人の田舎暮らしだよん」
ピー  「楽しいな~♪」
パパ 「では、田舎暮らしの条件設定だ」
    「標高1000m以上の高原での生活を想定してみよう」
    「土地は、300坪くらいでいいかな」
    「家は、ログハウスとするか」
ピー  「おいらは、薪ストーブも欲しいな」
パパ 「ところでだ、ログハウスちゅーのは、家としての
    精度に欠けるね」
ピー  「ん? なんでよ」
パパ 「隙間風が入ってくるログもあるし、一番の問題は、
    セトリングとメンテナンスの煩わしさだ」
ピー  「セトリング? 何よそれ」
パパ 「ログハウスは、建築後3年間ほど木が乾燥して収縮
    するんだ」「それをセトリングという」
    「高さ3mで18cm収縮するね。2階建てだと36cmだ」
ピー  「え~! 本当なの?」
パパ 「これは、ログの宿命だ」「ログハウスの窓枠は、上の
    方に板が張ってあるだろう。これは、ログの収縮で
    窓がつかえないように、中に隙間を空けてあるんだ」
ピー  「あれは、窓飾りじゃないの?」
パパ 「ちゃう、ログが収縮して最終的にピタっと窓枠に当たる
    ように施工してあるんだ。言わば隙間の目隠しだよ」
    「このピタっといくかどうかが、ログビルダーの腕の
    見せどころなんだ」
ピー  「ほう~、ログハウスちゅーのは、難しいんだね」
パパ 「そうだよん、ログには、なが~いボルトが何本も
    通っていて、セトリングが始まると締めていくんだ」
ピー  「メンテナンスが大変そうだね」
パパ 「ログに住むなら自分でメンテしなきゃ」
    「ログハウスは、丸太ログや角ログ等色々な種類があるよ」
    「角ログは、工場でマシンカットされたものを現地で組むんだ」
ピー  「現代の在来工法とおなじだね」
パパ 「丸太ログは、主にログビルダーによって、チエンソーで丸太を
    カットしながら組立てられていくんだよ」
    「所謂ハンドカット・ログだ」
    「ログビルダーでは、アラン・マッキーが超有名だね」
    「彼は、ログの名工であり、作品は芸術と呼ぶに相応しい」
ピー  「ハンドカット・ログの方が豪快な感じがするね」
パパ 「でもね、丸太は、実際に住んでみると威圧感を感じたり
    するから、建てる前に見学に行った方がいいね」
    「組立て方法も、ラウンドノッチとかサドルノッチとか
    色々ある。どれにするかは、好みの問題だ」
ピー  「何か一般住宅より難しそうだね」
パパ 「まーね、ログが日本に入ってきた頃は、誰も
    セトリングなんか知らなかったからね」
    「で、在来工法と同じように窓枠を施工したもんだから、
    時が経って、あちこちのログで窓が開かなくなった」
ピー  「えらいこってすな~」
パパ 「ほんで、西洋人のログビルダーを雇って、やっとこさ
    日本人がログの建築技術を習得したんだよ」
ピー  「なんかアバウトな家ちゅー感じだな~」
パパ 「ポスト・アンド・ビームという工法もあって、
    これだと日本建築のように柱を立てるから、セトリング
    は少なくて済むだろうね」
ピー  「ログハウスというのは、憧れだけで住むと酷い目に遭うね」
パパ 「また、建築基準法で制限を設けている地域もあるから
    注意が必要だよ。特に市街地はね」
ピー  「他に問題は?」
パパ 「ログに塗る防腐剤が必要だ」
    「ドイツ製の高級品がお薦めだね」
    「一斗缶で3万円以上するけど、耐久性が違うんだ」
    「ログは、数年に一回再塗装が必要になってくるよ」
ピー  「ログハウスって、以外に面倒なんだね」
パパ 「住宅メーカーの家のようにはいかないよ」
    「むしろ、自分で何もかもやれるようになっている住まいだ」
    「元々自給自足が前提の開拓地用の簡易住宅だからね」
ピー  「図工の成績が5でないと、ログは難しいね~」
パパ 「ハハハ、面白いことを言うね」
    「他に、ログのカビ対策とか、色々な問題が出てくるぞ~」
    「田舎暮らしは、それらを楽しみながらやっていくのさ」
ピー  「な~んか、普通の都会人にとってはシンドイな~」
パパ 「あっ、窓も外国製がお薦めだね。ダブル・ハングといって、
    上下に開閉する窓だ」
    「これは、2重~3重窓になっていて、窓枠も木製だ」
    「日本のようなアルミサッシでは、高原の冷気を防げない」
    「防音効果も抜群だ」
ピー  「益々難しい住宅だね~」
パパ 「いやいや~、これらは田舎暮らしの真骨頂だよ~」
    「自然との一体感が出てくる生活だ」
ピー  「ヘンリー・D・ソローの’森の生活’だね」
パパ 「次回は、薪ストーブと高原における水周りを考えよう」
ピー  「薪ストーブ大好き、水周りって水道やトイレかな」